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06年3月議会(その1) 8日に一般質問…まちづくりの視点・人権施策etc. |
3月1日から始まっている3月議会は、冒頭の「市長施政方針」、2006年度予算案をはじめとする73の議案提案を受け、今週6日から代表質問・一般質問が行われました。議会の過半数を超える26人が質問、イオン進出断念に伴う農業振興策、「選択と集中」により編成されたとする新年度予算案の内容、都市内分権の具体化、福祉施策、子育て支援策、浅川問題、長野広域連合で大豆島に新たに建設を予定するごみ焼却場の問題などが課題となったように思います。8日、本会議で一般質問を行いました。質問事項は次のとおりです。質問全文は下段に掲載。答弁を含めたポイントは4月5日付けページをご覧ください。
■コンパクト・シティから地域コミュニティ30の顔をもつコンパクト・タウンへ
■部落差別撤廃を柱とした人権施策の拡充について
■平和都市宣言の意義と戦時計画となる国民保護計画の作成について
■スポーツ施設利用にあたってのネット予約の課題について
■指定管理者制度について
■防犯条例について
かねてより制定に疑問を呈してきた「防犯条例」については時間がなく、質問を見送りました。市長をはじめ「もっと前向きに踏み込んだ答弁」を期待していましたが…。答弁を含め整理中です。まとまりしだい掲載します。
13日から20日までは、予算案や条例案が各委員会に振り分け付託され、審議することになります。私が所属する建設企業委員会は16日から20日です。
13日〜15日 総務委員会/経済文教委員会
16日〜20日 福祉環境委員会/建設企業委員会
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質問の内容 06.03.08 |
43番、市民ネット 布目裕喜雄です。
通告に従い質問します。なお、「防犯条例」については、時間があれば自席で行います。
最初に「コンパクト・シティから地域コミュニティ30の顔を持つコンパクト・タウンへ」についてです。
(1)イオンをはじめとする大型店の進出問題に対し、市長は「総合的なまちづくり」の視点から「出店を促すことはできない」と表明、イオンの出店は困難との判断を示すとともに、カインズ・高見沢・原信については「出店可能な地域での検討」を求めました。近隣市町村を含め広域での影響の大きさ、既存商店街への打撃、農業振興の観点から、また国におけるまちづくり3法の見直しなどから「出るべくして出た結論」と受け止めています。市長は、これからの課題として、土地利用の理念を盛り込んだ明確なまちづくりのビジョンを示す必要性を強調し、「身近な生活圏を中心とした拠点地域が、それぞれにバランスの取れた発展と相互に機能しあうコンパクト・シティの形成を目指す」としました。今日、コンパクト・シティがまちづくりのキーワードだといわれます。昨年12月の経済産業省・産業構造審議会中間報告が、中心市街地の空洞化、衰退が依然として止まらないことから、郊外開発にはブレーキをかけ、中心部再生にアクセルを踏む、中心市街地に都市機能を集積させ「コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり」をめざすとした流れに符合するものとなっています。
(2)開発から保全へ、市街地の拡大から中心市街地へ、都市機能のあり方、まちづくりを転換させる方向は、遅きに失した感がありますが、了とします。しかし、モータリゼーションの進展により車社会がいわば当たり前となり、バイパスや環状道路の整備が今なお現在進行中であることを考えると、けっして楽観できる状況にはありません。国の「郊外から中心市街地へ」といった転換を後追いするだけでは、地方都市である長野市の未来図を作ることはできないと考えます。合併して広域となった長野市のまちづくりを考えたとき、国の方針転換を超える発想の転換、もう一つのまちづくりの視点を持つ必要があるのではないかと思います。
それは、基本的に生活の圏域となる市内30地区の地域コミュニティに根ざした「コンパクトなタウン」の形成に重きをおく視点です。中心市街地は重要な「長野市の顔」ですが、中心地だけでなく30のそれぞれの特色ある「顔」を持つ長野市構想です。人口の減少、少子高齢社会の進展を見据えたとき、一人ひとりの市民が自らの住まいを拠点として、あるいは最寄の駅、スーパーや商店、支所や公民館などの公共施設を核として、車椅子でも杖をついてでも、日常生活に必要な衣・食をまかない、また安らぎを享受することのできるまちづくりです。働き世代にとって職場と住まいが離れているという問題はあるものの、身近な生活圏域の中でまさに生活そのものを完結できるまちづくり=「歩いて暮らせるまちづくり」をめざすことが重要になっていると考えるからです。そのためにはスピードからスローへといったライフスタイルの転換が必要です。それぞれの地域にあるスーパーや個人商店、商店街が元気を取り戻すことが必要です。生活圏域内の移動をたやすくするために地域循環コミュニティバスなどの公共交通機関が整備されることも必要です。環境面から「脱車社会」に徐々に移行し二酸化炭素の排出量を効果的に抑えていくこと、そして団塊の世代が地域社会に帰り始め、地域を第二、第三の活躍の場としてもらうことからも必要となっています。
(3)こうした視点は、都市内分権の観点からも、住民自治協議会のもとに住民参加で手作りのまちづくりを進めていこう、支所機能をしっかり強化しようとしているときだけに、より重要であると考えます。地域コミュニティに根ざし、身近な生活圏域を拠点とした30の特色ある「顔」を持つ「コンパクト・タウン」の形成に重点を置く視点に立って、第4次総合計画、都市計画マスタープランや住宅マスタープランの見直し、農業の振興、産業振興ビジョンの策定、環境基本計画の見直しを進めていくことが必要であると考えますが、どのように考えますか。
また、都市内分権の具体化にあたり、住民自治協議会立ち上げのマニュアルを作るとされていますが、行政中心の官製のマニュアルではなく、マニュアルそのものをワーク・ショップを活用し、市民が主体となり市民参加で作っていくことを提案します。時間はかかります。しかし、立ち上げが肝心です。都市内分権の意義が残念ながらまだまだ市民一人ひとりのものになっていない今日、すべてを市民参加、手作りで進めていくことが本当の自治をはぐくんでいくことになると考えます。
さらに、このワークショップを発展させ、庁内横断、かつ市民参加で仮称「コンパクト・タウン・プロジェクト」を発足させ、行政の知恵、地域の知恵を結合し、まちづくりを進めることを提案します。見解を伺います。
(4)さて、歩いて暮らせる「コンパクト・タウン」には地域に支えられる元気な地域商店街が不可欠です。現在、長野市には名称や規模がさまざまですが103の商店街があります。郊外店のあおりを受け、いずれも厳しい状況にあります。消費者ニーズや時代の変化に対応できてこなかったという問題もありますが、大型店の進出にとりあえず「ノー」の答えを出した今、個人商店、スーパーなど地域商店街の再生・再興を、行政として地域住民とともに応援していくことが必要です。そのために、まちづくり・まちおこしの視点から、行政、市民、商店街、個人店主が一体となって、仮称ですが「地域商店街再生プロジェクト」を発足させプランを作っていくことを提案したいと思います。いかがでしょうか。
次に、「部落差別撤廃を柱とした人権施策の拡充について」です。
(1)「地域改善対策特定事業にかかる国の財政上の特別措置に関する法律」いわゆる「地対財特法」の失効に伴う人権施策の展開について、「人権を尊び差別のない明るい長野市を築く審議会」はH13年12月、答申をまとめ、今日まで、この答申に基づき人権同和施策が取り組まれてきました。答申は「部落差別をはじめとするあらゆる差別を解消するため、昭和51年の『部落解放都市宣言』やH8年7月の『人権を尊び差別のない明るい長野市を築く条例』に基づいて、同和施策が展開されてきた」ことを踏まえつつ、依然として存在する部落差別を解消していくための施策の確立が必要であるとし、「特別対策事業は終了させるものの、残された課題について一般対策に工夫を加えつつ実施すべき」との基本認識を示しました。同時に、特別対策の終了、すなわち一般対策への移行は、同和問題の解決を目指す取り組みの放棄を意味しないことを強調し、従来にもまして、行政が基本的人権の尊重という目標をしっかりと見据え、同和問題を人権問題の重要な柱として捉え人権教育・啓発等に関わる施策を推進するよう求めました。
(2)さて、答申から4年、日本社会固有の差別である部落差別は解消しえたのでしょうか。人権同和教育課のまとめによれば、H14年度で3件、H15年度4件、H16年度2件、H17年度は今のところ3件となっています。当時者の事情から行政に報告されないことや隠蔽されてしまう事象があることから、いわば「氷山の一角」でしかありません。いずれにせよ、残念ながら差別事象は減少していない現実が私たちの眼前に横たわっています。
昨年2月の市内の学校での子どもを特定した衝撃的な差別落書き事件、今年に入ってからは、「部落出身者」と宛名に書かれた差別手紙、被差別部落の地区内存在を訪ねる柳原支所への差別電話と相次いでいます。また、女性や子ども、障害者、高齢者の人権を守ろうとの大きな声の一方で、人権問題の柱とされるべき部落差別問題がタブー視される傾向がなしともしない現実もあります。それだけに部落差別は根の深い人権問題であり、その解決は市民的課題だといえます。
(3)部落差別はいまだ解消しないばかりか、より陰湿化、複合化している現実に立って、H13年の「答申」以降4年間の取り組みの反省と課題は何なのかを明らかにし取り組みを拡充させなければなりません。人権同和教育・啓発の取り組みが単なるスケジュールになっていないか、発覚する差別事象において差別する側、差別される側それぞれの背景、本質を深く検証しているかどうか、差別を憎みなくそうとする人間的情愛、熱意に行政がしっかりと応えているか、真摯な反省が必要ではないでしょうか。こうした課題に対する基本認識をまず問いたいと思います。
(4)その上で、5点伺います。一つに「部落解放都市宣言」「人権条例」の制定時の原点に立ち返り、部落差別撤廃を柱とした人権施策の拡充こそ必要であると考えますが、どうか。「仏作って魂入れず」にならない取り組みが必要です。二つに、答申では、人権教育・人権啓発の推進に関する法律や人権侵害救済法の制定等、国の動向を見ながら3年〜5年のスパンで必要な見直しを図ることを求めましたが、どのように考えているのか。三つに、答申は同和問題、女性、子ども、高齢者などの人権に関わる問題に主体的に取り組んでいく上で「人権専門部署の設置」を検討課題としたことについて、H15年の第5回審議会では「行政改革推進局、人権同和教育課、人権同和対策課でプロジェクトを組み検討している」との報告がされていますが、どのように検討されているのか。高齢者虐待防止法の施行も見据え、人権同和行政の推進体制として人権専門部署の一本化が必要であると考えるがどうか。四つに、部落差別が依然として解消されていないとの現状認識に立つならば、人権教育・啓発等に関わる個別事業への予算は拡充されるべきであると考えるがどうか。最後に、「足を踏まれたものの痛みは、踏まれたものにしかわからない」といわれます。踏まれた痛みを共有できるかどうか、足を踏まれた当人が別の場面で他の誰かの足を踏んではいないかを自問自答する発想を持ちえるか否かが大事だと思います。そこに教育・啓発の原点があると思うのです。差別されている当事者の痛み、悲しみ、苦しみ、そして憤り、怒りを原点とした教育・啓発にこそ、より力を注ぐときであると考えますが、どのようにお考えですか。以上、前向きな姿勢を打ち出されるよう強く求めます。
次に「平和都市宣言の意義と戦時計画となる国民保護計画の作成について」伺います。
(1)日本国憲法の前文及び第9条の意味するところは、「有事」・戦争への対処手段を武力に求めず、もっぱら平和外交による国際協調で「有事」を回避することを、戦後復興の原点としたことでした。これこそが、今日の平和と繁栄を築き上げ、戦後半世紀以上にわたって「有事法制」を必要としなかった所以です。ところが国民保護法は有事法制の一環であり、その名称とは裏腹に、協力を拒否した市民に罰則を設け私権を制限する国民統制法であり、「避難」「救援」の名のもとに、「武力攻撃事態」=有事=戦時に国民を総動員する国家総動員法となる危険性を有するものであるといわざるを得ません。故に私は有事法制に反対してきました。
(2)ところで、長野市は「平和都市宣言」を採択しています。戦争をしないまちづくり宣言ともいえます。戦争・戦時を前提とした「国民保護計画」なるものを策定すること自体、「戦争の放棄」と「全世界の恒久平和の希求」を全市民の念願として宣言した「平和都市宣言」に抵触すると考えますが、どのように考えますか。
(3)むしろ「平和都市宣言」を発展させ、ジュネーブ条約第1追加議定書59条に定める「無防備地域宣言」を採択し、非戦をアピールするとともに、市民を戦争の惨禍に巻き込まないことこそ重要であると考えますがどうでしょうか。
次に「スポーツ施設利用にあたってのネット予約の課題について」伺います。
(1)昨年11月から体育施設等の利用申し込みにインターネット予約が導入され、4ヶ月経ちました。健康増進につなげたい、仲間との交流を深めたいと同好会で体育館を利用してきた皆さんから、「毎週一回、午後7時から9時に定例で体育館を利用してきたが、抽選にもれてしまいなかなか取れない」「予約済みになっている時間帯でも、実際には施設が利用されていない。何とかならないのでしょうか」といった声を聞きました。そこで、裾花体育館の「使用簿」から利用状況を調べてみました。1月26日からの1ヶ月間、2時間単位で午前10時半から午後9時までの時間のコマ数は155、全体の稼働率はコマ数で99団体が利用し64%です。午後7時から9時の時間帯での稼働率は26%、4日間に1回の利用状況です。ネット上の予約状況では、ほとんどが予約済みとなっていたとのことです。使用簿に記入しないことも考えられますが、予約申し込みはされているが利用されていない、結果として空き状態になっている現状が浮かんできます。また、一つの施設を2団体が使う場合、一方は2人、他方は20人というケースもあり、当事者にしますと不公平感が否めないとの声もあります。
(2)市は、市民の誰もが身近にスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現をめざしてきました。施設を利用する市民にとっては健康増進の大きな一助ともなっています。インターネット予約は、手続きの簡素化と増加するスポーツ愛好団体、登録団体に公平な利用を図る目的で導入されたものと思いますが、利用状況の結果を見ると逆に利用の機会均等が保たれていない問題が起きているように思います。一つの団体で手分けして複数の施設を予約して押さえるというような、利用者のモラル、マナーの低下も底流にはあるようですが、現状をどのように認識していますか。利用状況の実態把握をし、改善策を講じられるよう求めたいと考えますが、いかがでしょうか。
(3)また、財政構造改革プログラムでは、例えば「無料」である社会体育館の利用に受益者負担を導入していく考え方が提起されていますが、市民の健康増進、スポーツ振興を図る観点から「無料」を維持すること、施設の維持管理で市民協力を仰ぐ体育館愛護活動などを広げることで、施設の維持管理、モラル・マナーの向上を図ることが必要だと思います。見解を伺います。
最後に「指定管理者制度について」質問します。
(1)指定管理者制度の導入によって、約2億円の経費削減が図ることができるとされました。事業計画書の段階では「約1億円」といわれていましたから、倍増したことになります。この要因は何なのでしょうか。個々の施設によって事情は違うでしょうが、おおよそ自主事業の取捨選択によるカット、人件費の抑制による効果ではないかと思われます。そもそも指定管理者を議会で指定する段階で、自主事業のメニューなどに市民サービスの向上を期待した一人としては、釈然としないものが残ります。私は、指定管理者制度は、民間のノウハウによって、今までと同じ費用でも市民サービスが向上できることに意義があると考えています。その上で経費の削減はプラスαでいいと思っています。2億円の経費削減という予算措置で、基本事業、年度事業の協定にあたり、市に「経費削減ありき」の対応はなかったのでしょうか。嘱託職員の皆さんで、継続雇用が決まりながら、事業者の雇用条件、労働条件の悪さなどから、ここに来て辞退される方が出ています。雇用面において、最低賃金ぎりぎりの雇用、パート労働など非正規、不安定雇用を助長することはないのか、伺います。
また、たとえば市民会館などの指定管理者では、事業計画書の段階では12人の人員配置として案を提出しながら、行革推進局の資料では8人の体制になっています。現在は10人体制です。「指定」をしてきた議会審議を裏切る事業者の対応になりはしないですか。人員が計画より減員されている施設における施設の安全維持管理、市民サービスの向上が期待できるとお考えですか。伺います。
さらに、指定管理者がプロパー職員を配置しない施設があります。ノウハウの提供と管理だけという対応になるのでしょうか。これで指定管理者制度の意義と公共的使命を果たせるのでしょうか。これまた伺います。
(2)加えてもう一点、今、東京や高知、鳥取、奈良など全国各地で、指定管理者の辞退や撤退が相次いでいます。スキャンダルの発覚や採算が取れないことなどを理由としています。行政にとっては想定外のことが起きているわけですが、今から対処のルールを考えておくべきです。改めて再公募する手法をとった自治体においては、もともと応募した事業者から不公平だとの声も上がっているようです。今回の条例改正=「合理的な理由がある場合は公募しない」ことを適用するのか、或いは直営とするのか、または応募団体の繰上げ指定とするのか、いくつかの選択肢があると思われますが、どのように対応する考えですか。また、松本市の温泉施設のように赤字となり新たな支援を求める事例もあります。リスク負担は一義的に指定管理者にあると考えますが、どう考えますか。
以上、提案を含め質問を終わります。
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