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05年12月27日
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05年12月議会を振り返って(その2) 耐震偽装への対応・意見書etc.

●耐震データ偽造問題への市の対応は?
 大きな社会問題となっている耐震データ偽造問題。県内でも松本市や伊那市の三つのホテルで偽造が判明、休業状態に追い込まれています。長野市の建築物は大丈夫なのか、12月議会での焦点の一つとなりました。ポイントと今後の課題をまとめてみました。

@「建築確認制度の信頼性を根幹から揺るがす重大問題」
 今回の姉歯元建築士による建築確認における構造計算書偽造は、「構造計算書の計算過程を巧妙に改ざんしたもので、建築確認制度の信頼性を根幹から揺るがす重大問題」であるとの認識を市は示した上で、「今後、コンピュータの導入も視野にいれつつ、国土交通省の社会資本整備審議会においてが建築士制度や建築確認制度などの問題点を見直し検討するとしていることから、国の動向を見極めて対応する」としました。

A「今のところ、姉歯元建築士が関与した物件はなし」
 建築確認事務が民間に開放されたのはH11年(99年)。今回の問題を受けて長野市ではH12年(2000年)以降の3階建てマンション・ホテルを調査しています。この調査対象の建築確認状況はH12年以降、民間検査機関による建築確認が8件(日本ERIが4件・ビューローベリタスジャパンが1件・長野県建築住宅センターが3件)、市が建築確認したものは137件(マンション134件・ホテル3件)で合計145件、調査の結果、「今のところ強度不足の建物はなく、問題の姉歯元建築士が構造計算に関与した物件もない」としています。一安心ではありますが「今のところ」というのが気がかりです。また「どのように実態調査をしたのか、見落としは本当にないのか」を早急に解明しなければなりません。

B「今後、構造計算書の再チェックを行う」
 安全性の再確認のために当面何をするのかについては「当面市が建築確認したものについて、現在の審査マニュアルにより構造計算書の再チェックをおこなう」としています。137の物件が対象となります。一方で建設企業委員会の私の質問で「市役所内に構造計算のプロはいない」(建築課長)とも発言していますから、再チェックの厳密性・的確性が問われることになります。また、県や松本市が建築確認事務の計算プログラムを導入して再計算する方向性を打ち出す中、市長は「長野市は計算プログラムを導入しない」と表明しました。再発防止に向けて厳密な再計算を行うことが市民に安心を約束することにつながると思うのですが、市長の発言は「それで本当に大丈夫なのか」を憂慮させるものです。

C「構造計算書は省略化せず、担当者3名による複数チェック」
 今まで構造計算書のチェックはどのように行われているのかについては、国土交通大臣の認定プログラムを使用した構造計算においては、法の規定により計算過程の表示を省略できるが、長野市は省略化せず、他のプログラムと同様にすべての計算書を提出させ、的確に審査を行うとともに担当者3名による複数チェックを行っているとのこと。実際には審査マニュアルに沿ってピンポイントでチェックする格好になっているわけで、ここに偽造が見落とされる問題が潜んでいます。この点の改善・強化が必要です。

D「民間検査機関による建築確認に行政は直接関与できない」
 H12年度から始まった民間機関による建築確認の件数は年々増加し、H16年度では長野市全体で2425件の建築確認のうち約35%、840件が民間機関による確認になっているそうです。問題は建築基準法に基づく民間指定確認検査機関が行った建築確認については、行政がその審査過程に直接関与できない仕組みになっていることです。確認後に提出される確認済報告書の中で建ぺい率等の概要はチェックできるが、構造計算についてはチェックできない制度なのだそうです。「民間機関=性善説」に立っているのですが、この基本が根幹から揺らいでいるのが今回の「耐震偽造問題」であり、「欠陥住宅問題」な訳です。「民間丸投げ」の問題点が明らかになっていると考えます。

E徹底した偽装調査と厳正な検査体制を!
 国土交通省は、コスト削減の指南役であるとされる総合経営研究所(総研)や木村建設などが関わる建物すべてを調査する方針を出し、全国の計約600棟について偽装の有無や強度を報告するよう自治体に指示しました。偽装問題は今後、間違いなく「コスト削減による欠陥住宅問題」に発展するでしょう。このことを見据えて、行政に、長野市に徹底した偽装調査、欠陥調査と厳正な検査体制の確立を求めていきます。

●5つの意見書が全会一致で可決
 国に対する意見書は4件、一つは「ボブスレー・リュージュパーク(スパイラル)等をナショナルトレーニングセンターに指定することに関する意見書」で、将来にわたり維持が困難となっている冬季五輪施設・スパイラルについて、国で競技別強化拠点施設となるトレーニングセンターに指定し維持管理に要する費用の財源措置を求めるもの。二つは、連合長野地協から提出されていた「個人所得課税における各種控除の安易な縮小を行わないことを求める意見書」で、政府税調が定率減税の廃止に併せ給与所得控除や配偶者控除など各種控除の縮小を打ち出し実質増税を狙っていることに反対を表明するもの、三つは「出資の受入、預り金及び金利等の取締りに関する法律、貸金業の規制等に関する法律の改正を求める意見書」で、多重債務者を生み出す大きな要因の一つとなっている高金利(出資法や貸金業規正法では29.2%、出資法の特例金利では54.75%)を利息制限法の上限金利(15%〜20%)にまで引き下げることを求めるもの、四つは「議会制度改革の早期実現に関する意見書」などです。県に対しては「県高校改革プランの実施計画の作成に関する意見書」を可決、高校改革プランについて、関係団体の意見や提案を踏まえ、実情を的確に把握し、県民が納得できる公平・公正な形で方向付けることと、性急に結論をまとめず十分に議論し県民の合意形成を図るよう求めました。

●「消費税増税に反対する意見書」は「時期尚早論」で否決に!
 長野民主商工会から提出されていた「消費税増税反対の意見書提出を求める請願」(総務委員かに付託)は、「国段階で明確な方向付けは無く時期尚早である」との理由で否決されてしまいました。小泉首相は「任期中の消費税率引上げはない」としつつも、政府税調も与党税調も「07年を目途に消費税を含む税制改革に取り組む」と明確に方向付けているわけで、今の内から市民の暮らし向きに着眼し、しっかり国に注文をつけなければならない課題です。「時期尚早論」では結果として税率引上げを容認しかねない議会の対応といわなければなりません。私は意見書を採択すべきとの立場で臨みましたが、38人対8人で残念ながら少数否決となりました。8人は市民ネットの2人(池田・布目)と共産党市議団です。消費税の税率引き上げに反対する意見書には、今後も「手を変え品を変え」取り組み実現したいと思います。標準サイズの文字がここにはいります。

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