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03年12月20日
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03年12月議会(12月1日〜15日) 初質問に立ちました
[2003年12月8日・一般質問]
  発言通告  1.民営化・民間委託について
          2.市町村合併・都市内分権について
          3.行政評価システムの市民参加による拡充について
          4.公共交通網の整備・確立について

質問の内容 03.12.08
 38番、市民ネットの布目裕喜雄です。
 初めての一般質問となります。よろしくお願いします。私は、変革と参加の時代にあって、県都である長野市が、情報公開・市民参加・住民主権のモデルを創造していくときだと考えています。自治体改革、市政改革のキーワードは、情報公開(知る)・市民参加(考える)・住民主権(決める)の三つにあると思います。私は、こうした視点から、市民参加、市民合意のあり方を中心に、4点にわたって、以下質問します。

第一点目は《民営化・民間委託について》です。
1.民間活力の導入、民営化、民間委託は、鷲沢市政における行政改革の目玉の一つにされています。民間の発想・感覚を市政に取り入れ、NPOとの協働など、いわゆる「お役所仕事」を変えようとしている姿勢に共感する一人です。また、公共交通網の整備などでは民間事業者との連携が不可欠なことから、その意味で民間の活力を市政にというスタンスも大いに理解するものです。
2.厳しい財政状況にあって、しかも収入を増やしていく手立てが困難な中、財政運営を立て直していくためには支出を減らすことが一番の近道です。絶えず事業の見直しを進めることを通して、また公平な行政サービスの維持を柱に、市民との協働、自治意識に支えられた責任の分かち合いを通して、支出を少なくしていくことが必要となっています。しかしながら、市長が提起する「民間委託あるいは民営化が、公共サービスの水準を下げずに行政コストを下げる切り札となる」との考えには、直ちにエールを送る立場にはありません。何故なら、民営化論では、否応なく競争原理に基づく「効率」が目標となり、「コスト削減」そのものが目的として作用するからです。そぎ取られるコストは「人」であり、「安全性」です。保育園では子どもたちの安全が、学校給食にあっては食の安全が削り取られることになりはしないのでしょうか。保護者の皆さんの不安はその一点にあります。不安を解消するための手立て、そのための情報公開や住民参加による合意形成は果たして十分なのでしょうか。
3.そこで具体的に伺います。民間委託・民営化の3条件として@サービスの質が低下しないA競争条件が整うBコストが軽減できる、が指摘されていますが、四つ目に市民合意が不可欠な条件とされるべきだと考えますが、いかがですか。第二学校給食センター調理業務の民間委託に関しては、7年間コストが削減されないという試算が提示されています。これで条件を満たすことになるのでしょうか。また県外業者の参入で雇用の確保や安全性のチェックが十分にできるのか、よってサービスの質は低下しないと果たしていえるのでしょうか。希望があれば説明会を開きますといったスタンスで、十分な市民合意が得られるのでしょうか。具体的にお答えいただきたい。
4.市行政において民間委託・民営化にふさわしい事業とは何なのでしょうか。今日、提案されている保育園、学校給食センター調理業務、水道局の徴収業務・検針業務の他に、導入を検討する民間委託・民営化の事業を明らかにしてください。また、どのように情報公開し、住民合意を得たいと考えているのか、計画を示してください。
5.私は、「まず民営化ありき」ではなく、計画段階からの十分な情報公開と市民が納得できる丁寧な合意形成を改めて強調したいと思います。保育園の民営化、学校給食センターの民間委託については、十分な住民合意を得られるまで実施しないよう、市長の英断を求めるものです。

第二点目は《市町村合併・都市内分権について》です。
1.長野市においては周辺1町3村との合併の取り組みが進んでいます。既に「任意協議会」から「法定協議会」への移行段階に至っています。今日、周辺4町村における長野市への編入合併の選択は重く受け止める必要があるでしょう。しかしながら、「この合併は政令指定都市へのステップ」という声を聞くにつけ「大きければいいというものではないでしょう」との意見をよく耳にします。合併を受け入れる側の長野市においては、市民の関心はまだまだと言えるのではないでしょうか。11箇所にわたって「市町村合併に関する市民会議」が開かれましたが、市長自身、メールマガジンで「低調」だとおっしゃっています。合併で長野市のまちづくりの基本が否応なく変わるわけですから、これでいいはずがありません。
2.私は、合併を協議するにあたり、編入合併を受け入れる長野市自身にも、一回り大きくなる中核市として自立していこうとする市民合意が欠かせないと考えています。合併にあたり、是非を住民投票で方向付ける町村が広がる中、「なぜ長野市は住民投票はしないのか」という意見をいただきます。住民投票の実施については、市民自身の選択として運動が沸き上がることを待ちたいと思いますが、せめて、合併に関する住民アンケートを実施すべきであると考えます。10年後、20年後に「この合併は間違っていた」とならないようにするため、市民の不安をしっかりと把握し、合併協議に生かしていくことが重要だと思うからです。
3.また、市は、合併にあたり「サービスの低下、新たな負担増は生じない」と説明されています。これは合併特例債を使わない前提で試算された結果なのでしょうか。例えば、4町村と合併したとして、中山間地を含めて等しく公共交通網を整備するためには新たな事業展開が必要となると思います。新市建設計画は、そんな点まで見込んでいるのでしょうか。「本当に新たな負担は生じないのですね」と念を押しておきたいと思います。行政として市民の皆さんへの公約となるものです。いかがでしょうか。
4.さて、合併協議と機を一にして「都市内分権」が模索研究されています。私は地域主権を進めていく立場から、都市内分権について賛成するものです。庁内プロジェクトの「中間報告」では、26地区の支所体制をベースに、本庁との間に7つの地域総合事務所を新たに設置し、本庁権限を移譲、分権の受け皿にするとされています。本庁・上からの分権の改革、地域・下からの自治意識の高揚といった発想で作られていると認識します。
5.構想自体、たたき台としての骨格ですから、今後さらに研究を進めることになるのでしょうが、この骨格について提言申し上げ、基本的な考えを問いたいと思います。私は、一番身近な地域における自治、コミュニティ自治を促進していくことが、地域住民の参画・協働による開かれた市政運営を進めていく鍵だと考えています。こうした観点から「中間報告」を読むと、地域総合事務所構想は「屋上屋」になりはしないかという懸念を抱きます。むしろ、現在の支所をコミュニティ自治の拠点とし、支所に権限・財源を移譲、分権を推進していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。「費用対効果、職員配置を考えた結果」とおっしゃるのかもしれませんが、まさに「長野改革」と呼べる大改革をすすめることになるのですから、市民参加による市民自治を一貫させるベストの姿を研究し、その上で「さまざまな条件を考慮するとベターな姿としてこうなる」といった「中間報告」にしてもらいたかったと思います。庁内プロジェクトであっても、議論のプロセスそのものの情報が開示されていくことが、市民にとってもわかりやすいものとなるのではないでしょうか。
6.さらに、都市内分権を具体化していくためには、市民の参加と自治意識が不可欠です。ここがしっかりしないと「上からの改革」にとどまり、「自治組織」という名の行政下請け機関を拡大するだけに終わってしまうことを懸念するからです。新しい住民自治のシステムとなる都市内分権を確立していく上で、そのプロセスにおいて市民参加をどのように制度化されるのでしょうか。具体的な考えを示していただきたい。

第三点目は《行政評価システムについて》です。
1.事務事業や補助金・負担金等の「事後評価」として制度化されている行政評価システムについて、試行錯誤を繰り返してきた職員の皆さんには、本当にご苦労様ですと申し上げます。しかしながら、市民の皆さんの認知度は決して高くないのではないでしょうか。私はこの制度を市民参加・市民本位で事業の適切な見直しを進めていく重要なシステムとして位置づけたいと思います。もとより、現行のシステムが完成品ではありません。今もなお、全国の自治体では試行錯誤が続けられています。膨大な事業とはいえ事務事業だけでよいのか。事後の評価だけにとどまっていて良いのか、庁内の評価システムとして完結するだけでよいのか、市民にとって使い勝手のいい、わかりやすい評価システムなのか、等々が課題となっていると思います。
2.本来、行政評価は、市の政策・施策・事務事業の3階層に渡って行われ、かつ、市民にとっての必要度・満足度を基準に事業の見直しを進めていく「物差し」として機能していくことが大切です。同時に、市民とのパートナーシップを強めていく観点から、庁内システムを市民参加システムへと進化させていくことが必要です。
3.行政評価を事業見直しの物差しにしていくという観点から、現行制度では成果志向に立って「成果指標」(目標年度と数値)が評価の基準として設定されていますが、目標とする成果の指標・数値そのものの妥当性も検証されなければならないと考えます。したがって、政策・施策を含めた行政評価へと拡大すべきと考えるがどのようにお考えでしょうか。
4.また、「行政評価が行政サイドの自己満足にならないよう、できるだけ早期に外部評価の導入を進めたい」とのことですが、「いつまでに、どのような形で」実施することをお考えなのでしょうか。私は、市民参加システムへと進化させるために、市民参加による「市民行政評価委員会」の設置を提案したいと思います。市長の考えをお聞きします。

四点目は《公共交通網の整備・確立について》です。
1.市長は「公共交通の整備は重要な都市インフラ」であると位置づけ、公共交通機関の再編に向け抜本的な見直しが必要であると指摘されています。まったくその通りだと思います。市民何人も移動する権利を保持しています。移動する権利を具体的に保障する手立てとして、公共交通網は市民の活動の基礎であり、市民が安全で円滑で快適に交通施設及び輸送サービスを利用できるよう市民・利用者の立場に立って交通政策を推進していく必要があると考えます。そこで提言が二つあります。
2.一つは、バスが有する多様な社会的意義を最大限に発揮したまちづくりを進めようということです。具体的には、国土交通省の提唱する「オムニバスタウン」構想を積極的に取り入れ、市とバス事業者と一体となって「人・まち・環境にやさしいバス交通網」を整備していく道です。全国では11都市が指定を受けています。この具体化は事業者の理解と連携が不可欠ですが、市がリードし国補助制度を有効に活用することを提言しますが、いかがでしょうか。
3.二つは、長野市の将来の発展を見据えた公共交通ネットワークの再編の基本方針を確立し、誰もが利用しやすい交通環境の目標、生活交通確保の目標などを定める、総合的で体系的な「長野市公共交通マスタープラン」(仮称)を市民参加で策定することです。公共交通の利便性を高める行政の役割、便利で快適な公共交通を目指す交通事業者の役割、そしてマイカーを控え公共交通を優先・利用する、さらに自転車を有効に活用する市民・利用者の役割、それぞれ分担し合い、よって人・まち・環境にやさしいまちづくりをすすめ、長野市全体の活性化を図りたいと願うからです。
この二つの提言について、ご所見をお聞きしたいと思います。
以上で質問を終わります。

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