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2013年5月13日 3月議会の質問から…鷲沢市政3期の自己評価を質す

 新年度予算などを議決した3月議会、一般質問で質したことを中心に報告します。

 3期目の鷲澤市長にとっては、今期最後の新年度予算案編成となる3月議会。私は、鷲沢市政の自己評価を質しました。

進退は表明せず…参院選後の進退表明へ
 市長は施政方針の中で、「中心市街地の再生に向けた取組、集中的な観光キャンペーンの展開、長野市版都市内分権の推進のほか、市立長野高校の開校、農業公社の設立、小・中学校の耐震化、下水道事業や長野駅周辺第二土地区画整理事業、周辺町村との合併、長野市民病院の黒字化など、一定の成果が上がり、道筋が現れてきている施策」がある一方、「公共交通機関の整備、ごみ焼却施設の建設、中山間地域の活性化など、まだまだ道半ばの施策」があり、「残りの任期も全力を尽くす」、そして「変革の年となるH27年に向け、自信と勇気と責任をもって歩む」と並々ならぬ決意とも受け取れる表明を行いました。
 鷲澤市長が、今日現在、自ら後を託せる人材がいない限り、この議会で進退について表明するものとは思ってはいませんでしたが、案の定、表明せず…。揺れる心情は察するものの、首長のケジメとして早期に進退表明されることを求めました。首長としての「品格の問題」であると指摘しました。
 最近になって市長は「参院選後の内閣の状況を見て判断」というトーンに変えています。参議院でのねじれが解消し、「自公政権安泰となれば続投の意思あり」との態度表明に映ります。ポスト鷲沢の候補者選びが難航している中での判断なのでしょう。まだ情勢は見極める必要がありますが、支援できる対立候補が現れることを切望します。他力本願ですが…。

「みんなの声がながのをつくる」の公約の実現度は?
 私は、鷲沢市長が市民の小さな声、声なき声に真摯に耳を傾け誠実に対処する姿勢に課題を残していると受け止めています。
 質問に対し市長は、「私の政治姿勢の根幹。市民に参画しやすい環境の充実を図るため、広報ながのやホームページ、メールマガジンなどで最新の市政情報をわかりやすく提供してきた。また、まちづくりアンケートやパブリックコメント、元気なまちづくり市民会議など、あらゆる機会を通して市民の要望や意見を聴くことができたと考える。市民の要望に誠心誠意努めてきたことは私の自負であり自己評価」 と答弁。
 「自負するところ」とまで述べるとは意外?でした。市民の声の把握や市民参画の仕組みはありますが、十分に機能しているのか。重要施策に関する住民投票への対応や市民アンケートへの対応には、後ろ向きといわざるを得ません。パブコメについても、あり方の見直しを表明したこともあったはず。率直な反省の弁を聴きたかったのですが、かないませんでした。

「箱モノばかり」との批判にどう応える?
 大規模な施設建設が目白押しとなっている中、福祉や教育、生活環境の改善にしわ寄せがあってはならないという趣旨で質問。【写真は南長野運動公園総合球技場のイメージ図】
 市長は、「民生費や教育費は新年度予算で40.5%と非常に大きい。市立長野高校や放課後子どもプランの推進、“おひざで絵本”事業のように好評を得ている事業もある。施設整備は、単に建設することを目的としているものではない。必要な施策をハード・ソフトの両面で着実に実行していきたい」と述べました。
 必要な施設整備という点で、答弁そのものに大きな異論を唱えるものではありません。しかし、施設の必要性・将来性について、もっと市民の理解と合意を広げることが必要です。また、民生費や教育費のウェイトが高いのは、生活保護費など扶助費の増、国の施策による自治体の支出増が主なもので、国基準に上乗せする事業展開は希薄といわなければなりません。
 現在、市では「公共施設白書」を作成し、老朽化した公共施設の維持・管理に必要な財源や将来課題の洗い出しを進めています。白書を作成してみたら「こんなはずではなかった」ということにならないように厳しくチェックしていかなければなりません。
 また、地区の土木工事要望等では「財政が厳しくて…」が行政の常套句となり、災害対策をはじめ生活環境の改善等のスピードに遅れが生じないようにすることも必要です。

雇用の安定に何ができたか?
 「雇用の安定」は、まちづくりアンケートで4年連続1位になっている市民の最大関心事。国の政策転換が必要なことは分かっているのですが、市として何ができているのかが問題です。
 市長は、「国全体としての経済状況の改善による景気の向上が必要」としたうえで、「雇用に直結する観光、農業など産業振興に力を入れるとともに、国の交付金を活用した緊急雇用創出事業で延べ1340人に上る失業者の就業機会をつくってきた。また若者の就労に向け就職面接会や企業見学ツアーを実施、職業相談室での就労相談に応じてきた」と強調。しかし、非正規雇用の拡大、不安定な雇用に歯止めをかけるものとはなっていません。
 新しい雇用の創出に公がもっと役割を担うべきです。

官の持つ潜在的能力を引き出し得ているのか?
 私は、市長が民営化、民間活力の導入を歴史的使命と強調するあまり、官の持つ潜在的能力を十分に引き出し得ず、市職員は委縮しているように認識しています。
 市長は、「民間活力の導入は職員の意識啓発にもつながり、大いに刺激を受けている」とするのですが、民営化・民間委託の常態化が、行政のプロとしての創造力を削がせ、発想や技量を縮こまらせてしまうことを懸念します。行政マンの熱意・意欲・想像力を十分に引き出す仕組みの構築が問われていると考えます。

「儲ける住自協」…損得が物差しではない!
 市長は、「儲かる農業」に始まり、果てには「儲ける住民自治協議会」と、損得を価値観とする行政運営を滲ませています。これで果たして良いのかと考えます。産業において、生業を生業として成立させることに異を唱えるものではありませんが、格差と新たな貧困が広がる中、損得抜きで質の高い公共サービスの維持に心を配り、心を砕くことこそが行政の使命と考えます。
 市長は「住民自治協議会が一律に“儲け”を生み出すことは難しい」としつつも、「市からの交付金や会費のみに頼るのではなく、新たな財源を獲得していくことは活動の自由度を高めるためにも必要」と弁明しました。弁明はその通りでしょう。しかし、このことを「儲ける住自協」と表現してしまうところに、一面的な経営者的発想の限界を感じるのは私だけでしょうか。

実績を強調する市長…市民との乖離は深い!
 3期務める現職の市長としては、実績を強調したいという姿勢は当然の事と思っていますが、強調する実績に市民の間には異論があることに真摯に向き合ってもらいたいものだと思います。自らの市政運営に足らざるものは何なのか、謙虚な反省とこれからの道筋を示してもらいたかったと思います。
 秋の市長選挙に向け、長野市が抱える課題について、整理し検証する作業を急ぎたいと思います。