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2012年4月16日 市民ネット行政視察報告[葛飾区・川崎市・四日市市・名古屋市]

随分前になりますが、1月25日~27日、改革ながのと合同で行政視察を行いました。葛飾区では放課後子ども事業=「わくわくチャレンジ広場」、川崎市は常設型住民投票条例と自治基本条例、四日市市は議会基本条例と通年議会、名古屋市ではPFI事業による清掃工場の建設・運営をテーマにしました。それぞれ、中身の濃い視察をすることができました。政務調査費を活用しての視察である事から、報告書をまとめました。いまさらの報告書ではありますが、自分の頭を整理する意味で参考までに掲載します。
 川崎市では「公契約条例」も視察テーマにしたかったのですが、時間の関係で見送りに。議会事務局には、公契約条例の視察調整をお願いしてきました。

1月25日(水)=東京都葛飾区…放課後子ども事業「わくわくチャレンジ広場」について
(1)放課後子どもプラン事業で、学童保育とは別に、放課後の楽しい居場所として学校施設を活用した放課後子ども事業「わくわくチャレンジ広場」(略称=わくチャレ)を全小学校・49校で実施。地域の児童指導サポーター(有償)が支える。学童保育(長野市でいうところの児童館・児童センター)との連携、サポーターの確保・育成の課題をテーマに視察。
(2)H14年度からモデル事業を開始。当時の教育長の肝いりでスタート。背景として前年の大阪市の池田小学校の児童殺傷事件、栃木県での下校時児童の連れ去り事件などを背景とする。葛飾区の運営の特徴は①地域の代表者による運営委員会で基本的な運営方針を定め、②活動は地域の「児童指導サポーター」で運営していることにある。子どもたちの安全や社会性の向上等に大きな成果を上げるとともに、地域コミュニティの活性化にも役立っているとされる。
(3)運営委員会の委員、児童指導サポーターはともに区長と教育長の委嘱による。広場の運営は1400人に及ぶ児童指導サポーターとして登録されるスタッフが1日当たりメインルーム・校庭・体育館の3カ所に2名ずつ、計6名が見守りにあたる。サポーターは有償ボランティアでリーダー(1名)は時給1200円、サブリーダー(5名)は時給800円。活動は月~金の放課後から午後6時まで、土曜日と三季休業中は午前9時から午後6時まで。詳細は運営員会で決めるため学校ごとに異なるが時間延長は実施していない。登録時に賠償責任・傷害保険料として400円の負担があり、登録後の参加は自由参加とされる。
(4)49校の全小学校で実施されているが、学年は3年時からと4年時からで41校、1年時からは6校である。児童の登録数は80.8%だが、平均参加率は年間17.6%にとどまる。事業費はH22年度で1憶5900万円、内94%にあたる1億5000万円がサポーターの報償費に充当する。国(1/3)・都(1/3)の補助額は8700万円。
(5)課題として、これまで子どもの自由な遊びを見守ることを基本としてきたが、学習やスポーツ・文化活動を取り入れ、内容を充実させること。サポーター等の人材の確保、学校敷地内に70施設ある学童保育クラブとの連携、対象学年の拡大があげられている。「わくチャレ」は教育委員会地域教育課、学童保育クラブは子育て支援部と担当が分かれているため、相互の連携が必要とする。因みに江戸川区の「すくすくスクール」は一つにして対応しているとのこと。長野市の「子どもパーク」(学校施設を活用した放課後事業)と「子どもプラザ」(児童センター)のそもそもの連携が課題となっていることと同じ悩みがありそうだ。
(6)特筆してよい点は、児童指導サポーターの研修体制であろう。安全研修会(年1回)やスポーツ講習会(全7回)、リーダー養成のための講演会(全4回)などに加え、地区別サポーター交流会(2地区全2回)やブロック別リーダー交流会(6ブロック全6回)に取り組まれている点である。また、19校に元教員を中心にアドバイザーを配置する。これも有償で学習の場合980円/時間、文化・スポーツは800円/時間とされる。
(7)全体的に、学童保育クラブの運営実態と合わせて「わくチャレ」の現状を見る必要があると思われる。葛飾区「わくチャレ」は長野市「子どもパーク」に該当する事業となるが、早くから全校で場所を確保し実施されている点は、児童指導サポーターの在り様を含めて、学ぶ点が多い。

1月26日(木)=神奈川県川崎市…「川崎市自治基本条例」と「常設型住民投票条例」について
(1)「川崎市住民投票条例」の意義と課題が主たるテーマ。常設型条例として、住民・議会・市長がそれぞれ発議できる仕組みとされているが、住民投票にかけることができる「市政にかかる重要事項」の規定や、運用上、想定される課題等について整理することが目的。
(2)川崎市では、市民の参加意識の高まりと地方分権の進展を踏まえ、H15年度から「自治基本条例」と「住民投票制度」の検討委員会を発足させる。市民委員30名と学識者4名で構成される「自治基本条例検討委員会」が先行し、学識者4名で構成される「住民投票制度検討委員会」における専門的見地からの論点整理を踏まえ、H16年12月議会で可決された「自治基本条例」の中で、「市民参加の自治運営原則に基づく重要な制度の一つとして住民投票制度が位置づけ」られたことから、H17年12月に発足する市民委員4名を加えた「住民投票制度検討委員会」で2年間協議し(市内3カ所で市民フォーラムも開催)、H20年2月に素案を公表、パブコメを経てH20年6月議会で住民投票条例案が可決成立する。市民が主役のまちづくりを実現するための自治基本条例の制定、そして、自治基本条例で定める「情報共有・参加・協働」といった自治運営の基本原則に照らし、多様な市民意見を市政運営に反映できる仕組みの一つとして「常設型住民投票制度」が位置づけられている。運用における課題は残るものの、制度的には一つの完成形に近いものである。
(3)常設型である川崎市住民投票制度の特徴は、①住民投票の対象は「現在または将来の住民の福祉に重大な影響を与える可能性のある事項かつ住民の間または住民・議会・市長の間に重大な意見の相違が認められる状況などを踏まえ、住民に直接その賛成または反対を確認する必要がある事項」であること、②投票資格者は、市内に住所を有する満18歳以上の市民とし、3年を超えて外国人登録原票に登録されている外国人を含む、③住民投票の発議は、住民、議会、市長の三者が発議できるとし、住民発議は投票資格者総数の1/10以上の署名による実施請求とする、④投票日は市内全域で行われる選挙と同一日とする、⑤投票結果は議会と市長に尊重されるものとし、市の政策決定に活かされる、などの点だ。投票の成立要件は定められていない。
(4)住民投票制度はまだ執行されてはいないが、住民投票制度そのものを「地方自治の基本である間接民主制を補完し、重要な政策の決定や実施に関わる議論を活性化する仕組みであり、この制度を通じて住民の市政参加を促進し、より安定性の高い政策の決定や実施につなげていくことができる」としている点が重要である。なお、川崎市の条例では、「議会または市長その他の執行機関により意思決定が行われた事項については、改めて住民投票が必要とされる特別な事情が求められる」ともしている。新市民会館建設をめぐる住民投票条例の可否に関する市長の姿勢、議会の議論を振り返り、しっかりと押さえておきたい事項である。
(5)所管する総務局市民情報室市民の担当では、運用上の課題として、住民投票にかける事案の判断、実際に行えるかどうか、選挙と同日で可能かなどが不安材料とする。それ以前の問題として、市民アンケートによる認知度は自治基本条例とともに15.2%と低く、認知度を高め活用される制度にしていくことが最大の課題と思われる。

1月26日(木)=三重県四日市市…「四日市市議会基本条例」の策定と通年議会等の取り組み、議会改革について
(1)議会改革のデパートといわれる四日市市議会の議会改革がテーマ。特に通年議会、議会報告会、シティ・ミーティングの取り組みに注目。毛利彰男議長自ら出席してもらい、熱意ある取り組みを聴かせていただいた。
(2)H23年3月議会で全会一致で可決された議会基本条例は、H17年に議員提案で制定した四日市市市民自治基本条例(理念条例)に規定する市民自治の考え方をもとに、議会の基本理念や基本方針など、議会に関する基本的事項を定めようとするもので、前文と36条から構成される。そして、約15年間にわたる議会改革の取り組みを踏まえ、今後の議会のあるべき姿を基本方針の三本柱、「市民との情報共有」、「市民参加の推進」、「議員間討議の活性化」として掲げる。
(3)「市民との情報共有」第20条~23条
 議会活動について積極的に情報を公開し、市民等との情報共有に努めるとし、①議会内の会議を原則公開とし、市民等の傍聴を促進する積極的な取り組みに努める。②議長が、議会における決定事項について、積極的な情報発信に努める。③議会活動について、市民等に対し報告を行う場を設け、情報提供・情報共有に努める。
(4)「市民参加の推進」第24条~26条
 議会における討議に市民意見を反映させる仕組みを構築するとし、①委員会において、公聴会制度・参考人制度を活用し、有識者等の識見を討議に反映する。②議員提案条例等に関し、パブリックコメントの実施等により、市民意見の反映に努める。③請願の審査にあたり、請願趣旨を理解するため、紹介議員または請願者からの意見聴取に努める。
(5)「議員間討議の活性化」第27条~31条
 議員間での討議を活性化し、集約された意見から政策立案・政策提言を行うとし、①あらゆる会議において、議員間での討議を中心に会議を運営し、意見集約に努める。②議員間討議を尽くし、意見集約された内容について政策提言・条例制定に努める。③学識経験者等で構成する調査機関に調査を依頼し、議会活動や政策の重要案件への参考とする。④予算・政策の策定過程で、議会で集約された意見を最大限尊重するよう市長等に求める。⑤議員の政策立案能力・政策提言能力向上を目的に、積極的に研修を実施する。
(6)「通年議会」第9条…市議会では全国初
 「議会は、定例会の回数を年1回とし、会期を通年とする」と規定、年間で347日間とする。会期を通年とすることで、議長により速やかに本会議を開くことができ、災害などの突発的な事件や緊急の行政課題に対応することができる。また、自治法179条に基づく専決処分が無くなり、日常的に行政の評価・監視が行えるようになる。
 四日市市議会では、「通年」とはいえ、3か月ごとの定例会を残し、臨時議会を「緊急議会」に、また閉会中は「休会」とすることで、ほぼ現行の流れを踏襲している。委員会は、会期中いつでも所管事務調査を行うことができるようになるため、委員会活動の活発化、より専門的な調査が可能になるとされる。「議会はこれまで受け身だったが、より能動的な議会になることができる」(毛利議長)とする。興味深い取り組みの一つである。
(7)「文書質問」第16条
 議会期間中を除き、文書により執行部に対し質問を行うことができると定める。質問内容は一般質問の内容に相当する程度とされ、議長を経由して執行部に送付、執行部は速やかに回答するものとしている。また、質問書・答弁書は全議員に配布され、市議会ホームページ等で公開される。国会で採用されている制度であるが、市議会への導入も必要であると考える。
(8)議会報告と意見交換の場であるシティ・ミーティングをセットで開催
 H18年から市民と意見交換を行う「シティ・ミーティング」を開催しているが、H23年から「議会報告会」を加え、2部構成で取り組まれる。4つの常任委員会ごとに4会場で同時開催する仕組み。
 議会報告会等の取り組みにあたり、「報告会は議会側からの議会報告の良し悪しを敏感に映しだすアンテナショップとなり、議員自身の資質も問われることになる。議会報告会は議会全体をバージョンアップしていくキーワードになる」との指摘は、傾聴に値する。
(9)長野市議会の議会基本条例の検証に活かす
 現在、議会運営員会を中心に議会基本条例の検証と議会活性化の課題について検討することにしているが、遅々たる歩みとなっている。長野市議会の活性化の取り組みの前進面を全体で共有化し、足らざる部分を大いに補強していく取り組みにしたいものである。会津若松市議会や四日市市議会の取り組みは、大きな指針と位置づけたい。

1月27日(金)=愛知県名古屋市…「PFI事業によるガス化溶融施設の鳴海清掃工場」について
(1)長野広域連合で建設するごみ焼却施設は、広域連合の直営で「ストーカー式焼却炉+灰溶融炉」の焼却溶融方式を既に選定しているが、選定時に一つの検討対象とされた「シャフト炉式ガス化溶融」を採用している名古屋市鳴海工場の現地視察。PFI事業として取り組まれていることにも注目。私自身は灰溶融やガス化溶融は「未完のプラント技術であり見直しが必要」だと考えているものの、プラントの安全性、事業の効率性について更に検討を深めるきっかけにしたいとの想いで視察。
(2)政令指定都市で初めての廃棄物処理PFI
 名古屋市鳴海工場は、PFI(BTO方式)を採用している。民間事業者が資金調達、設計、施工した後、公共部門に施設の所有権を移転し、その後民間事業者に施設の使用許可等を与え、民間事業者がそれにより施設を運営する方式である。新日鉄エンジニアリングをメインとする運営会社=(株)鳴海クリーンシステムが施設の運営・維持管理を行う。名古屋市からは2人の職員が常駐する。。
 直営での整備と比較し、約18%のコスト削減につながるとされる。確かに約202億円の建設事業費の内訳では、国庫補助金65.8億、起債76.5億、一般財源18.2億、事業者調達金41億で、建設時の市の持ち出し分は少ないものの、20年間、市が負担する運営経費は年間17億円、計340億円に上る。プラス市債の返済がある。コストの平準化は図られるものの、実際のトータルのコスト削減額は判断しにくいものがある。調査不足ゆえかもしれないので、より研究が必要である。
(3)シャフト炉式ガス化溶融炉
 鳴海工場の施設規模は530t/日(265t/日×2炉)で、可燃ごみ等450tと他工場焼却灰80tを処理する。シャフト炉式ガス化溶融炉は、事前処理が不要で、処理過程で溶融不適物を発生させず、ごみ全量を溶融処理できるとされる。資源物を除いたごみは何でも高温溶融処理できるため、溶融炉から排出されるスラグやメタルの資源化により、埋め立て処分が集じん灰のみとなり、最終処分量を大幅に軽減できるメリットがあるとされるプラントである。しかしながら、石灰石やコークスを常時使用するため、ごみ処理におけるCO2の排出量が多くなり環境への負荷が大きいとされる。この理由から長野広域連合では採用されなかったプラントである。
 ガス化溶融炉では、1700℃の溶融物を「出湯」する際に、機械化されているものの人力が必要であり、従業員の労務上の安全性について疑問符が付く。
(4)H21年7月から稼働している鳴海工場は、環境に配慮された現代的なごみ処理施設ではある。ガス化溶融炉の安全性について、この視察だけでは納得できる段階には正直至らない。PFI・BTO方式は、もっと研究してみたい課題の一つである。
【写真】ピットのクレーン操作室は、長野市のごみ焼却場と比べると雲泥の差です。新しいプラントは、視認性も操作性も格段に向上しています。一番下段の写真は、見学コースに備えられたビデからのもので「出湯」の瞬間です。