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2011年5月18日 鹿島鉄道・廃線敷きを活用したバス専用道の試み…石岡市・小美玉市より

廃線となった鹿島鉄道の線路敷きにバス専用道
 昨年10月、茨城県大洗市で開催された私鉄総連自治体議員団第31回定期総会の現地調査で、鹿島鉄道廃線跡地を利用したバス専用道化事業及びローカル空港である茨城空港を視察しました。昨年8月30日から供用開始となったもので、「地方型BRT」(バス高速輸送システム)としては全国初となる取り組みで注目されています。航空自衛隊「百里基地」との官民共用空港である茨城空港で説明を受け、臨時バスで専用道に向かいました。
 実は、昨10月には簡単にまとめていたのですが、今頃の掲載になってしまいました。長野電鉄屋代線廃止が法定協で決められる前で、万が一「廃止」となった場合の線路敷きの活用の一つの案として注目できると思ってはいました。しかし今日、住民合意がないまま「見切り廃止」となり、沿線住民の間には「それでも鉄路を何とか残したい」との願いが根強く残っていることを考えると、タイミングとしては良くないと思いますが、あくまでも、地域公共交通活性化の取り組みの一つとしてチェックしておきたいという意味であることを強調しておきます。
バス代替運行の一つの形態として提案するというものではのでは決してありません。

「かしてつ跡地バス専用道化事業」とは

 参考:石岡市ホームページ「鹿島鉄道跡地バス専用道が開通しました」

■利用者減から鉄道廃止

 H19年3月に鹿島鉄道が利用者減から廃線、鹿島鉄道代替バスが運行されたが、バス利用者は鉄道時の4割程度に落ち込んだことから、廃線敷を活用して鉄道に準じる定時性と速達性をもったバスを運行することで、地域の公共交通の活性化、茨城空港への公共アクセスとしての活用などについて検討されたもの。石岡市と小美玉市の企画政策課から説明を受ける。

 
【写真上:茨城空港内で説明を受ける】
【写真下:専用道に踏切があるバス停付近の写真説明。専用道側のバスが一時停止し踏切が開くのを待つ形。一般道は信号だ】

■県が主導したバス専用道化

 県が主導する形で「かしてつ跡地利用を保管が得る勉強会」「かしてつ跡地バス専用道化検討委員会」が立ち上げられ、H20年8月には「かしてつ跡地バス専用道化計画」が策定され、石岡市と小美玉市でJR石岡駅~四箇村駅間の5.1キロの事業化を決定。H21年1月に地域公共交通再生活性化法に基づく法定協議会「かしてつ沿線地域公共交通戦略会議」を設立、総合連携計画にまとめられる。今年8月30日に供用開始し、実証運行が始まっている。

■上下分離による運行

 鹿島鉄道跡地の既存ストックをバス専用道(市道認定)として有効活用し、同時にサービスレベルの向上も狙ったものとされる。事業主体は石岡市と小美玉市。JR石岡駅と旧常陸小川駅間の7.1キロが事業区間で、JR石岡駅と四箇村駅間の5.1キロが専用道、四箇村駅~小川駅間は国道365号線を運行。事業費は約7.6億円(県0.8億、両市で6.8億)。
 バスの運行主体は関鉄グリーンバス㈱。県が取り付け部分を含め道路整備し、両市が運行費用を分担する。バス車両は新たに3台(5400万円)を購入、15台で運行。関鉄グリーンバスは鹿島鉄道と同様、関東鉄道㈱のグループ企業・子会社にあたる。廃線後の代替バスの運行主体となり、そのままバス専用道での委託運行主体に移行。

 
【写真上:BRTから…国道365号線から四箇村駅のバス専用道路に入る】
【写真下:道路側に踏切があるバスの車内から、かつては鉄道線路敷きであった専用道を見通す】

■旧踏切がネックか?速達性に課題

 公設民営方式の地方型BRT(Bus Rapid Transit)として注目されているようだ。現状では、専用道とされているものの、一般道と交差する旧踏み切り16箇所の内、専用道バスが優先されるのは3箇所のみ、バス側が一時停止する形となっている。速達性に課題を残しているようだ。また、パソコンや携帯からバスの運行状況を確認できる「バスロケーションシステム」を400万円で導入している。

 
【写真上:専用道は市道にされている。一般道との交差点はバス側が一時停止する】
【写真上:バス停に停車中】


代替バス時より利用者増
 昨年9月11日から17日の期間の乗降調査では、代替バス時(644人)に比べ、734人・114%と1割強復活している。今後は石岡駅~小川駅間で1日あたり乗降者数約1600人(H25年度目標)をめざし、利用促進と交通結節点の機能強化を図りたいとする。将来的には、ローカル空港である茨城空港へのアクセスを強める構想もあるようだ。そのたる、茨城空港も視察、現地で説明を受けた。茨城空港は「首都圏第3の空港」として今年3月にオープン。航空自衛隊「百里飛行場」を民間共用化した空港で、現在は神戸に1日1便、ソウルに1日1便、上海へ週3便の就航路線を持つ。シンプルでコンパクト、北関東地域からのアクセスを「売り物」とする空港なのだが、就航路線の現状や、羽田空港の24時間運航を見据えると、将来的な展望は極めて厳しくなるのではと思われる。
 
【写真上:バス停、斬新なデザインで統一されている。駐輪場とセットの建屋はアイデア、台数は?だが】
【写真下:専用道内での上下線のすれ違い。バス停付近で道路が拡幅され、すれ違いができるている】

■DMVとは逆発想、今後が注目

 「~かしてつがバスになって帰ってきました!~」がキャッチコピーのバス専用道。バスも「かしてつ」の「か」をデザイン化し、利用促進を狙う。鉄路廃止後の跡地利用・バス専用道化は、JR北海道の鉄路を生かすDMV構想とは逆の発想である。旧踏切の存在、一般道との交差部分における優先性の確保が、どのように克服されていくのか、利用増が定着していくのか、注目したい。
 
【写真上:茨城空港…航空自衛隊「百の基地」との供用のため、空港のテラスの窓は自衛隊側が見えないようになっている】
【写真下:官民共用空港ゆえのニアミス写真。手前が民間機、後方に自衛隊戦闘機】