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2010年12月16日
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2011年度予算編成における重点政策・施策の要望書[市民ネット]

平和を希求、人権を尊重、自治を実現。安心・安全が市民の心に響く長野市政を
平成23年度予算編成における重点政策・施策の要望書

 

                                         2010年12月16日

                                       長野市議会・市民ネット

                                            池 田    清

                                            布 目 裕喜雄

 

 

Ⅰ.はじめに

 

(1)市民参画による自治・協働のまちづくり

 政権交代により、さまざまな法改正や制度改革が進められようとしています。先行きに不透明さがあるものの、地方分権から地域主権が大きく打ち出され、市民にとって最も身近な基礎自治体である長野市への期待がより高まっています。時代が大きく動く時こそ、新しいまちづくりの時です。

 参加と協働をキーワードに、長野のまちづくりの新しいステージをつくる。さまざまな変化に確実に対応し、市民生活を守り育む。このことを第一に、市民の「夢」と「希望」を「形」にする長野市政の実現が問われていると考えます。


(2)ノーマライゼーションの具現化

 老いにも若きにも、男にも女にも、ハンディキャップを持っている人にも、暮らしの隅々にセーフティネットが行きわたり、ともに平和を希求し、人権を尊び、自治を実現していく、そうした「まちづくり」を長野市政に求めたいと思います。

 平成21年度まちづくりアンケートにおける「特に力を入れてほしい施策」として上位に上った「安定した雇用の確保」「バスや鉄道などの移動手段の確保」「医療体制の整備・充実」「介護予防の充実、介護サービスの充実」「子育て支援の充実」「利用しやすい行政サービスの提供」等、市民から見てメリハリの利いた政策・施策展開が求められるところでもあります。


(3)情報公開と説明責任

 市長の標榜する「市民党」「みんなの声がつくる『ながの』」のスタンスが、すべての市政運営に謙虚に貫かれることを強く願うものであります。そのためには情報公開と説明責任が不可欠です。

 「グローバルに考え、地域から行動する」…私たち市民ネットは、H23年度の予算編成にあたり、広がる地域格差、所得格差を是正し、市民が明るく豊かに安心して住み続けられる地域づくりを進める立場から、重点政策及び重点施策について、「選択と集中」のもとに限定し、次の通り要望します。

 

Ⅱ.11の重点政策と重点施策

 

1.環境都市・ナガノを世界に発信。

 公約である「すべての政策に“環境”の屋根をかけ」「カーボンニュートラルシティの実現をめざす」具体的な取り組みが求められるところである。

 

①「地球温暖化対策地域推進計画」を策定するにあたり、温室効果ガス1990年度比25%減を達成できる方向性を加味できるよう見直す。エコでスローな生活スタイルへの転換をハード・ソフト両面で展開できる取り組みを促進する。


②公共施設への太陽光発電システムの積極的な導入に努める。市が補助金を出す民間福祉施設等の建設にあたっても太陽光発電システムの導入を支援する。発電状況を示すパネルを設置するなどして市民の関心を高め、温室効果ガスの削減などの意識啓発に努める。


③バイオマス資源の有効活用のため関係する林業、農業、食品工業関係者との連携を強めるとともに、新たなエコビジネス創出のためより積極的な支援を行う。公共施設へのペレットボイラー、ペレットストーブの普及をさらに図るとともに間伐材の有効利用に務める。


④エコビジネス分野への新規参入については税制面などでの優遇措置を講じる。


⑤脱マイカー施策を、世界的な取り組みとなっている「カーフリーデー」(マイカーの立ち入り規制を含む)などを参考に具体化する。


⑥家庭ごみ処理手数料の有料化に伴い、継続的に意識啓発に取り組むとともに、不法投棄監視体制を強化する。


⑦「ポイ捨て等を防止し、ごみのないきれいなまちをつくる条例」制定においては、意識啓発に重点を置き、罰則規定に慎重に対応する。

 

 

2.都市内分権は市民自治の観点から民主導へ転換。

 財源・権限を住民自治協議会に移譲し、住民自治協議会を真の住民自治組織へ。住民自治の地域代表としての区長の役割を重視する。住民総参加を目標とする住民自治協議会活動の新たな創造、住民自治に根差した地域コミュニティの再生を具現化する。

 

①「地域やる気支援金」を拡充するとともに、事務局機能の確立に向け十分な財政支援を行う。


②住民自治協議会は地域の実情に即したものとなるよう議論と活動の醸成に十分な時間をかける。また、一括交付金は地域からの意見を尊重して地域間格差を生じることのないよう万全を期す。


③役員など一部の住民だけでなく、一般住民が幅広く参画する住民自治協議会となるよう継続的な支援を行う。


④住民自治協議会の活動交流の場となった「住民活動フォーラム」の取り組みは、自治協議会の自立を促しながら拡充する。さらに住民自治協議会の部会毎或いは活動分野毎に自主的にかつ互いに切磋琢磨できる活動交流の仕組みをつくる。

 

 

3.「効率・採算」から「市民必要度・満足度」を基本にした行財政改革へ。

 

 公共サービス基本法の趣旨を活かし、「民営化ありき」ではなく、行政が行う公的サービスの質と量を向上する。受益者・利用者負担の増は経済情勢や家計負担の状況を見極め、過度な負担としないよう「凍結」を含め見直す。

 

①公契約において、ILO94号条約(公契約における労働条項)を重く受け止め、地域の公正労働基準を上回るような契約とする。野田市の条例制定をはじめ、長野県における公契約条例検討会の設置等を踏まえ、長野市公契約条例の制定に取り組む。


②自主財源の増大を図り、地方交付税の適正配分を確保するとともに、国の公共投資に伴う地方自治体の負担転嫁を改めるよう、税財源移譲を国に強く働きかける。


③財政構造改革プログラムは再検証するとともに、市民サービスを低下させないよう特に留意する。


④指定管理者制度のモニタリングに、利用者アンケートのほかに市民が参画する第三者機関として(仮)「行政サービス検証委員会」を設置し、市民の声が反映されるシステムを具体化する。また、行政評価システムにおいて、施策評価・政策評価へと確実に拡充させるとともに、市民・第三者による行政評価のシステムを構築する。


⑤指定管理者の選定にあたり、選定過程の情報開示と説明責任を十分に行うとともに、地域振興にかんがみ地元民間事業者の活用を図る。また、指定管理者が変更される場合、従業員の雇用継続が図られるよう指導監督をより強化する。さらに指定管理者の法令順守違反に厳正に対応する。


⑥公民館への指定管理者制度導入は、住民自治協議会の成熟度を見極め拙速な取り組みとせず、公民館運営主体の現場の声を踏まえ、直営を維持する。


⑦利用者負担の見直しは、地域経済情勢にかんがみ、家計支援の観点から、凍結を含め見直し、各種行政サービスの利用促進向上策を優先し取り組む。

 

 

4.市有施設の再生・再構築へ。ハード・ソフト両面から見直す。

 焦点である第一庁舎及び新たな市民会館の建設は、現在地において、それぞれ市民サービスの拠点、芸術文化活動と市民活動の拠点と位置付け、基本計画の策定にあたり、規模・機能について十分な市民の理解と合意を形成しつつ進捗を図る。

その他の6つの投資的建設事業となる大規模プロジェクトにおいて、効率的な財源配分に十分配意し、市民負担の軽減に努める。

 

①新庁舎の建設にあたっては、障がい者団体など利用する側の幅広い市民の意見を反映させ、使い勝手の良いワンストップサービスを提供し、環境モデルとなるコンパクトな庁舎を計画する。新市民会館と一体で、用がなくても訪れたくなる、市民の憩いの場となるスペースを設ける。


②新市民会館の現在地での建設にあたっては、合併特例債に多くを依存することなく、建設検討委員会、市民ワークショップ、さらに芸術文化団体をはじめとする関係団体、幅広い市民の意見を反映しながら、建設基本計画を立案する。日常的な芸術文化活動を育み、創る場であることにウェイトをおいた規模・機能を確保するとともに、専門家と市民の知恵を再結集し管理運営計画を立案する。


③芸術文化の振興を優先施策に加え、重点化を図るとともに、(仮称)文化振興事業団の創設を検討する。


④第一庁舎・市民会館問題について、さらなる市民会議の開催をはじめ、十分な情報開示のもとに双方向で市民との合意形成を図る。


⑤権堂地区の再開発は、文化交流施設に拘泥せず、中心市街地における権堂地区の位置付けを明確にし、権堂地区全体の活性化をめざし、ゼロベースで検討し直す。


⑥長野駅周辺の整備は、東口・西口の役割機能分担を明確にし、ひと優先・公共交通優先・景観優先のコンセプトのもとに、十分な検討のもとに慎重に対応する。


⑦学校施設の耐震化事業は最大限前倒しで実施できるよう促進する。また学校施設以外の市有施設、特定建築物及び住宅の耐震化を促進する。


⑧市立美術館の建設について、県立美術館の今後のあり方を見据えつつ検討に着手する。


⑨すべての市有施設、未利用地の有効性を検証するとともに、市民サービスの向上につながる施設・土地の有効活用に向けた対策を講じる。

 

 

5.安定した雇用、安心できる福祉を最大の課題とし、
  長野市独自の暮らし支援策=セーフティネットを用意し、市民生活を護る。

 

 政権交代により、雇用・医療・福祉・介護など国の法制度の転換・充実が期待されるところであるが、国の法制度により保障されるナショナルミニマムを上回る長野市水準・シビルミニマムの確保をめざし、住んでみたい都市、住み続けたい都市をつくる。

 

①市の緊急経済・雇用対策を拡充するとともに、雇用の拡大・確保、情報提供、共同・協業化を図るなど積極的支援の具体化を図る。特に若年労働者の雇用確保、フリーター・ニート対策を強化する。


②国で施行されているハローワークを拠点とする就労・生活支援のワンストップサービスの提供について、県と連携し長野市圏域における具体化を図る。また、長野市が継承する職業訓練センター機能を拡充する。


③嘱託・臨時職員など非正規雇用職員について、官によるワーキングプアを生まないよう賃金・労働条件の改善を図る。


④更なる産業団地の造成を進めるとともに、トップセールスにより企業誘致を図る。


⑤障害者自立支援法の見直しを注視するとともに、地域生活支援事業は実施主体が市であることから「だれもがあたり前に暮らせるまち」をめざし、市単独の補助を増やす。また、市障害者基本計画については、関係者をはじめ市民の意見を十分に反映させるとともに、障害者差別禁止条例の制定を明記する。


⑥後期高齢者医療制度の廃止に向けての動きを注視するとともに、国民健康保険の広域化には慎重に対応する。


⑦長野市民病院は政策医療の役割を担い続けるとともに、医師・看護士の確保に万全を期し増床分のフル稼働を前倒しして市民の医療ニーズに応える。また、心臓外科、産科の新設を検討する。


⑧市民健康診査及び各種がん検診等の受診率を向上させ、疾病の早期発見になお一層努める。また、がん検診等における本人負担額は現行制度を維持する。


⑨市民とつくりあげた地域福祉計画を都市内分権の大きな柱と位置付け、住民自治協議会単位の地域福祉活動計画を住民参加により策定し実施していくため、積極的な支援を行う。地域活動支援員は適材適所の人材を確保し、拡充する。


⑩消費者行政の質・量の向上、拡大を図る。市民法律相談の充実をはじめ、消費生活センターの相談体制を拡充する。消費生活相談員の処遇改善を図る。

 

 

6.子育ち・子育てに夢を、地域・行政をあげて応援

 長野市の将来を背負う子どもたちは社会の宝である。「子育ち・子育て」施策は最重要課題の一つである。

 

①議会の「子育ち子育て検討会」の提言を尊重し、子ども部を設置し、出生から18歳までのライフステージ毎の子育ち子育て支援を縦軸で行う。また、子ども条例制定に前向きに取り組む。


②妊産婦の14回の検診及び超音波検査における公費助成を継続する。


③子宮頚がんワクチン、ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌予防ワクチン接種に対する市単補助制度を創設する。なお、子宮頚がん予防のための定期検診を充実させる。


④無償で実施するとした「長野市版放課後子どもプラン」は、より厳しさを増す親の就労環境を考慮し、児童館・児童センターの拡充に軌道修正し、取り組みを全市化する。また、時間延長に取り組む。


⑤情操教育を重視し、小中学校の芸術鑑賞予算の復活をはじめ芸術文化予算を抜本的に拡充するとともに、市立図書館図書購入費を復活し、また専門司書の配置を進める。


⑥フリースクールなど民間の団体とも協力して、学校をはじめ学校復帰を目標とする適応指導教室や中間教室などに通えない子どもたちの居場所及び親が相談できる場所を設ける。NPO等が行っている子どもからのSOSを直接受けとめる電話相談等への支援を実施する。


⑦保育園の民営化は、保護者及び地域との協議を継続し、拙速に進めない。また川田保育園の引き継ぎ保育にあたっては保護者の不安を招かないよう十分に配慮する。


⑧学校施設へのエアコン、扇風機の導入設置を計画的に行う。

 

 

7.歩いて暮らせるまちづくり、歩行者優先・公共交通優先のまちづくりへ。

 

 地域公共交通の再生は喫緊の課題。市民の移動権を保障する交通基本法の制定を見据えつつ、公共交通機関を都市の装置と位置付け、再生・活性化に向け、国の支援を受けつつ、市独自の支援策を講じ、市民の足を護る。

 

①地域公共交通の活性化・再生における国の支援が持続的なものとなるよう、積極的な国に働きかけるとともに、「地域公共交通総合連携計画」のもと、汎用性のあるICカード乗車券導入をはじめ、生活バス交通システムの整備を着実に進める。


②長野電鉄屋代線は、鉄路の存続に向け、上下分離方式・ディーゼルへの転換等を軸に、市民の理解と合意のもとに公的支援のスキームを模索するなど、あらゆる可能性を追求する。鉄路の廃止によるバス代替運行を結論としない。


③「マイカー依存・クルマ社会」からの脱皮・転換を確かなものにするため、マイカーから公共交通への利用転換に「(仮)市民エコポイント」制度など、動機づけとなる仕組みを構築する。また、企業等の公共交通利用を促進するため、法人税の軽減措置などの政策誘導のもとに「エコ通勤」を喚起する。


④国における交通基本法の制定、また市域におけるしなの鉄道の活性化、長野以北の並行在来線の存続を見据え、総合計画・都市計画マスタープランに沿った(仮)「公共交通総合計画」を策定し、鉄道・生活バス・デマンド交通・タクシーの総合的な公共交通システムの構築を図る。

 

 

8.中山間地域=田舎の原風景を残し、続けられる農業・林業を。


①農地の集約化と大規模化を要する「儲かる農業」から、農業の多面的価値に着目し、「続けられる農業」に転換する。


②国の制度改正を見据え、「中山間地域等直接支払制度」の一層の充実を図り、対象指定地域のすべての農地に適用する。


③地域奨励作物支援事業は、品目を拡大しさらに拡充する。


④実効性のある「地産地消・旬産旬消推進計画」を策定し、消費者に生産者の顔の見える関係づくり、地域内自給の向上を推進するとともに、食の安全を確立する。


⑤森林を緑の社会資本と位置付け、荒れた山を復元するため間伐等に集中的に取り組むとともに、公共建築物における木材利用を促進する。


⑥深刻化する有害鳥獣被害に対し、抜本的な援助を行うとともに、野生動物と共存する集落づくりをめざす。


⑦やまざと振興計画の積極的な推進を図る。

 

 

9.いのち、ライフラインを護る。


①長野市地域防災計画は、災害危険箇所、避難所及び備蓄状況を総点検し、地域防災組織との連携のもとに、災害の未然防止、災害時の被害の最小化を図れるよう必要な見直しを行う。また、県と協議し同計画に原発事故への対応策を盛り込む。


②災害時要援護者支援計画は、消防局と保健福祉部で連携し実効性が上がるよう見直す。一人暮らし高齢者や障がい者、認知症患者等、地域における見守りネットワークを構築する。


③水道局浄水場の運転管理業務の民間委託の拡大にあたっては、「水の安全」を最優先する監督指導体制を確立する。


④上下水道施設の維持管理にあたり、利用者負担に過度に依拠しない経営計画を再検討、策定する。


⑤消防と救急の兼務の検討は、市域の地理的特性等を考慮し、それぞれの専任制を維持し、命の重さに地域格差が生じることのないよう地域消防体制を確立する。


⑥救急車の現場到達時間目標5分、病院への搬送時間の短縮を図るとともに、早期に全救急隊に高規格救急車及び救急救命士を配備・配置する。

 

 

10.豊かであり続ける自然とホスピタリティを活かす。


①善光寺観光を広域観光の中核にしつつも、他の観光資源を再発見し、観光客拡大と滞在型観光への転換に向けた具体的な対策を講じる。また、長野コンベンションビューローと連携し、多様なコンベンション誘致・開催を積極的に行い、より経済波及効果を高めるまちづくりを進める。


②「おもてなし」の心を観光事業関係者のみならず一般市民まで浸透させる啓発活動を地道にかつ継続的に行う。


③実質債務超過となっている戸隠スキー場の経営のあり方について、抜本的な経営改善計画を早急に講じる。

 

 

11.人権都市ながのへ、そして市役所に活力を。


①平和市長会議への参画を踏まえ、核兵器廃絶に向け、「平和の日」の取り組みの充実をはじめ、市民参加のもとに目に見える平和行政の推進をリードする。


②部落差別をはじめとするあらゆる差別をなくし、市民一人ひとりの人権を確立し認め合う市民社会の構築に向け、人権同和施策を推進する。結婚や就職をめぐり依然として深刻な部落差別に真正面から向き合い、市民はもとより運動団体とも連携した人権尊重施策を展開する。


③市民サービスの提供者としての市職員のやる気を引き出し、市役所・支所を活力あふれるサービス提供の拠点とする。また、労働組合を市役所の改革刷新の担い手と位置付け、対等・平等の関係を構築する。

 

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