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2010年11月24日
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長野電鉄屋代線の存続に向けた要望書(HTML版)


11月24日、長野電鉄活性化協議会の会長あてに要望申し入れた内容をHTML版で掲載します。申し入れの状況は24日の徒然日記を参照してください。


2010年11月24日

 

長野市長 鷲 澤 正 一 様

 

長野電鉄屋代線活性化協議会

会   長 酒 井    登 様

 

長野地区公共交通対策会議

                       代表委員 竹  内 久  幸

 〃  神  山    勝

                〃  池  田    清

  〃  布  目 裕喜雄

 〃  宮  崎    一

 

               長野電鉄屋代線の存続に向けた要望書

 貴職の地域公共交通の活性化・再生に向けたご尽力に敬意と感謝を申し上げます。

 さて、長野電鉄屋代線の存続に向け実施された実証実験の結果がまとめられました。わずか3ヶ月間の実証実験とはいえ、利用者・収入ともに1割程度増加するという効果を上げることができました。

しかしながら、市民アンケートや社会的便益を評価する費用対効果の分析から、「現状のままでは屋代線が存続しても大きな社会的効果は発現されず、導入コストや運営コストが低いバス代替とした方が優位である」との方向性を導き出しています。

実証実験にバス代替運行を取り入れ、「バス代替ありき」を誘導する結果となっていることに、地元沿線からは、「増便も本当に必要な時間帯で実施されていない。実験運行としては極めて不十分」「鉄道をやめるための評価で、バス代替ありきは認められない。残すために何ができるのかが真剣に検討されていない」「わずか3ヶ月の実験運行で屋代線の将来が決まってしまうことに危機感と不信感を持っている」との厳しい声が上がっています。私たちも同感です。

 

 そもそも「長野電鉄屋代線総合連携計画」は、屋代線を「必ずしも経済効率性だけで評価するのは適切ではない」との位置付けのもとに、「貴重な社会資本である屋代線を持続可能な鉄道として、次世代に継承できるような方策を検討する」ために策定された計画です。屋代線を廃止しバス代替とする結論を導き出すために策定された計画ではありません。

 

 国においては、国民の移動権を保障する交通基本法の制定をめざすとともに、鉄道・バス・デマンド交通・タクシー等を一体で連携させ、地域公共交通ネットワークを形成していく戦略に転換しています。鉄路を鉄路として残し、地域公共交通ネットワークを新たな発想で形成していくことが求められています。

 

 言うまでもなく、鉄路は一旦廃止されると復活は困難です。河東地域のまちづくりの中で鉄路を鉄路として残すことが重要です。これには、交通事業者としての更なる経営努力とともに、沿線住民の廃線に危機感を持った熱意ある「乗って活かす、乗って残す」主体的で継続的な取り組みとともに、全市民的な理解と合意が不可欠です。3市にまたがる沿線4地区では存続に向けた機運と運動が着実に前進しています。

 

こうした観点から、屋代線の存続に向け、次の通り要望します。活性化協議会における真摯な検討をお願いするとともに、行政としての主体的で積極的な取り組みを要望するものです。

 

 

1.長野電鉄屋代線総合連携計画の期間は3年間である。計画初年度に実施された実証実験は限定的な実施であり、しかも期間が3ヶ月であったことから、充分な実証実験とはいえない。にもかかわらず、利用者が1割増加し、長野電鉄の収入も増加したことに注目すべきである。総合連携計画に盛り込んだ27の推進施策に基づき、さらに実証実験を継続し、計画が目標とする年間60万人の利用者達成に向け、全市的な取り組みのもとに、沿線住民とともに利用促進に全力を傾注されたい。

 

2.実証実験の結果等から「バス代替が優位である」との方向性は、沿線住民の理解を得るものとはならない。鉄路を廃止しバスで代替させることは、マイカーへの乗り換えを助長し、地域公共交通の衰退を加速させ、ひいては駅がランドマークになっている河東地域のまちづくりを減退させることにつながりかねない。バス代替は総合連携計画が求める目標に反する方向性といわなければならない。活性化協議会において、バス代替の方向性を結論付けず、鉄道の可能性と将来性により着目した検討を深められたい。

 

3.年度内に結論付けるとしてきた「新たな運行形態」については、上下分離型、自治体が資産の一部を保有する型、鉄道事業者が全資産を保有する型の「いずれのパターンも行政への負担は10年間で30億円を超えるものとなる」と指摘したが、行政負担の過大さを強調しつつ、結果として鉄道を存続させる基本スキームが困難であるかのような印象を与えていることは看過できない。技術開発等の進展状況や国の支援策の動向を見極め、鉄路存続を前提とした必要な公的支援についてより具体的な検討を深め、真剣に道筋を模索されたい。

 

 

以  上

 

長野地区公共交通対策会議

アルピコグループの事業再建による川中島バスの不採算路線の見直しをはじめ、地域公共交通の維持・再生が喫緊の課題となる中、「乗って残そう、乗って活かそう公共交通」を合言葉にバスや鉄道、タクシーなど公共交通機関の再構築と利用促進を目的に発足しました。長野地区労組会議や交通運輸に携わる労働組合、自治体議員などで構成しています。

現在、生活バス交通の活性化、長野電鉄屋代線の存続、長野以北の並行在来線の存続などに取り組んでいます。

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