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2010年3月7日
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「家計を直接支援」する施策の実現、利用者負担や市民会館問題を質す


5日に一般個人質問を行いました。テーマと質問内容は次の通り。持ち時間は18分間で、再質問をしたことなどにより、すべてのテーマについて質問できませんでした。また、原稿をカットした部分がかなりあります。このことを断ったうえで、一応用意した全文を掲載します。実際の質問内容と異なる部分があることをご了解ください。

   1.「家計を直接支援」の市長公約の実現度は
   2.利用者負担の見直し、健康・教育分野の値上げ検討の凍結を
   3.地域公共交通の再生について
      ア)効果のある「ながのバス交通プラン」にするために

      イ)鉄路として「屋代線」を残すために
   4.市民会館は権堂で禍根を残さないのか
   5.公共施設の見直し、維持改修に向けた全体計画を(これは質問できませんでした)
   6.情報公開とまちづくり意見等公募制度の見直しについて

1.「家計を直接支援」の市長公約の実現度は

(1)市長は3期目の市長選のマニフェストで、「雇用確保が市政運営上の最重要課題」であり、「子育て、介護などに対する直接的な家計支援を通して、市民の可処分所得を増やし、消費拡大を図ること」が不可欠とし、暮らしを支えるセーフティネットの拡充に前向きな姿勢を約束しました。3期目の最初の予算編成にあたり、家計を直接支援する施策として、何が重点として盛り込まれたのか。また、今年度のまちづくりアンケートでは「とくに力を入れてほしい施策」として「安定した雇用の確保」が第1位となったが、新年度予算で新しい雇用をどれだけ見込んでいるのか。所見を伺います。[市長]


2.利用者負担の見直し、健康・教育分野の値上げ検討の凍結を

(1)利用者負担の見直しにおいて、この間、働く女性の家受講料、勤労者女性会館しなの木使用料、成人学校受講料の値上げが実施され、今議会には新たに老人憩いの家の使用料の値上げ等が提案されています。市長はこれまで「経済不況、少子高齢化などの社会情勢を踏まえ、経済的弱者、高齢者などへの配慮や家計への影響その他の政策判断の要否を含めて検討を行い、利用者に対する十分な説明を行いながら進める」と答弁してきました。

(2)私は、この間、少年科学センターや博物館などの子育て、社会教育にかかる分野、がん検診など市民の健康福祉に関わる分野においては、利用者負担の値上げを凍結すべきと提案してきました。今日的な検討状況について伺いますが、まず、H22年度実施で検討されてきた少年科学センター、博物館の入場料の値上げは「見送り」としたという理解で良いのでしょうか。[教育委員会]

(3)H23年度実施で検討されている肺がん・胃がん・大腸がん・前立腺がんなどのがん検診の負担は現状を維持することを基本に、受診率の向上策により力を注ぐべきであると考えますが、いかがですか。[保健福祉部]

(4)今議会に提案されている利用料・使用料の見直しで、利用者に対する十分な説明がしっかり行われていますか。[企画]

(5)放課後子どもプラン、児童館・児童センターの有料化は実施せず、無償で行うことを決めたことは評価したい。しかし、子育て・教育の分野で児童センターは無料、少年科学センターは有料とか、がん検診では乳がん・子宮がんは無料クーポン、前立腺がんは有料といった差異が生じます。利用者負担の見直しにおける基準が、ダブルスタンダードとならず、市民の福祉向上に向け一貫したものとなることを強く求めます。いかがですか。[企画]

3.地域公共交通の再生について、効果のある「バス交通プラン」とするために

(1)市民の欠かせない足である生活バス交通を「都市の装置」として維持・充実させる、バスサービスの向上によって「選ばれるバス交通」に変貌させるとする「バス交通プラン」の意義は共有したいと思います。まずは便利で利用しやすい生活バス交通網に生まれ変わらせることが重要だと思うからです。しかし、それだけでバスへの利用転換が図れるわけではない。もう一つの柱として、実際に利用する環境を作り出す施策が必要であることを強調したいと思います。

(2)プランでは、バスの年間利用者数をH20年の820万人からH25年で1000万人の22%増を目標としています。この目標を達成するためには、自動車重視の交通政策・都市政策から大転換し、公共交通をまちづくりの根幹に据え、市民の交通権を保障する新しい交通まちづくり政策の展開が不可欠であり、地球温暖化防止の取り組みと一体でマイカーの利用抑制を具体化することを、もう一つの柱としてきちんと据えることだと思います。

(3)マイカーに頼らずバスを利用してみよう、「マイカー離れ」を促進するためには「マイカーを我慢すると得になる」というインセンティブが具体的に必要です。エコでスローなライフスタイルの提唱など、環境面からの積極的な施策展開が重要なのです。例えば、バス交通を利用する買い物客にバス回数券サービスを提供する(マイカー買い物には駐車券サービスがあるように)、通勤をマイカーからバスに転換させる市民にはプレミアム付きのバス回数券を支給するなど、回数券を活用した「エコポイント制度」として、新しい仕組みをつくることができないか、検討と実施を求めたいと思います。さらに実効性のあるノーマイカーデーの実現に向け、企業に対し税制上の優遇措置を設け、エコ通勤を政策誘導するなど、新しい取り組みを具体的に広げていきたいと考えますが、どうでしょうか。

(4)長野バス交通プランの総事業費は3年間で13億6900万円を見込んでいます。内2分の1の6億8450万円は国からの補助金、残り2分の1は長野市やバス事業者が負担する仕組みです。大変大きなプロジェクトです。問題は、国の補助金の見通しが厳しいことです。国の支援が小さくなった場合に、この計画をどうするのか。事業を選択して限定的に実施していくことになるのか。長野市行政の独自の財政で実施していくことになるのか。方向性を明確にした計画の推進を求めたいと思いますが、いかがですか。また、総合連携計画への国の支援は3年間という限定つきです。H25年以降の計画をどうするのか。プランを維持していくための経費もかかってくることから、今から方向性を見出すべきと考えますが、いかがでしょう。

(5)環境と人にやさしい公共交通優先のまちづくりを進める上で、例えば、最低でも総予算の1%(1%では不足するかもしれないが)を公共交通の維持・活性化に充当するといった財政スキームが必要であると考えますが、所見をうかがいます。


4.地域公共交通の再生について、「屋代線」を鉄路として残すために

(1)屋代線総合連携計画・素案では「屋代線の役割は必ずしも経済的効率性だけで評価するのは適切でない」と指摘し「貴重な社会資本である屋代線を持続可能な鉄道として次世代に継承できる方策を導き出す」とされているのですが、鉄路として残す方策がよく見えない計画となっています。法定協議会では当初、交通事業者の経営改善努力と沿線住民の取り組みを前提にしつつも、鉄路を残すためには、「公有民営・上下分離」方式など公的支援による新しい経営形態の検討が第一義的に行われ、そのもとにサービス向上・利用促進策が位置付けられていましたが、素案をまとめる最終段階で、これが逆転し、公的支援が大きく後退、先送りされました。屋代線の経営状況、利用状況を見るときに、存続が前途多難で重い課題であることは理解しますが、それにしても、地域と一体となって鉄路を残し、河東地域の生活と文化を守り育むという熱意と意欲が極めて乏しい計画と言わざるを得ません。また、実証運行にバス代替輸送をメニューにあげたことからも、廃線に向けた準備と受け取られかねない問題を内包し、沿線住民の熱意ある運動に水を差すものとなっていることは極めて残念なことです。

(2)こうした問題意識のもとに以下、質問します。

一つは、そもそも「長野電鉄単独での運行継続は困難であり沿線自治体に存続に向け支援を求める」ことが出発点であることを考えると、存続のためには、まずは公的支援による再生スキームを検討したうえで、このスキームに基づく沿線住民の役割・負担、そして事業者の役割・負担を示し、沿線をはじめとする市民に存続の可否を問うとともに、乗って残す取り組みの促進を図っていくことが求められていると思うがどうかという点です。合わせて、富山市におけるライトレールの先進事例をはじめ、ここ数年のうちにもハイブリッド電車やバッテリー電車など電車をめぐる技術革新が大きく進展することをも見据え、市街地鉄道ネットワークを展望することが重要であると思うがどうかということです。

二つ目は、バス代替輸送実験について「廃線を意図するものではない」とした点です。長野電鉄木島線が廃止されバス代替運行に切り替えられましたが、バス利用は伸び悩みマイカーに切り替わってしまっていること、全国的にバス代替運行は成功していないことをしっかり押さえることが必要です。「バス代替でも仕方がない」という方向性を導き出すような取り組みではないということを明確にすべきですが、明快な所見をうかがいたいと思います。

三つ目。実証運行の期間が3カ月と極めて短期に設定されていることです。いろんな事情がからんでいるようですが、マイカーから電車への利用転換は、ライフスタイルの転換と環境問題への意識変革が問われる時代的転換となるものであり、このことを僅か3カ月で実証すること自体に無理があるのではないですか。少なくとも計画期間3年間をスパンとした実験と位置付ける必要があります。どのように考えますか。

四つ目に、利用増を図るためのアイデアとして、例えば、①長電バスガイドが屋代線に車掌として乗車し、観光名所案内をはじめアテンダント・アピールを行うとか、②和歌山鉄道貴志川線の「タマ駅長」、上田電鉄別所線の「ハーモニカ車掌」をヒントに、「ウリボウ駅長」「サル駅長」や、「沿線写真展車両」「沿線ガイド車掌」を導入するとか、さらに③サイクルトレインの実施が昼間時間だけとされていることから、朝夕の利便性を向上させるため、駅ごとに無料レンタル自転車を配置し、自宅から駅まで、駅から目的地まで自転車を利用できる移動環境を構築するとか、④「松代イヤー」や「信州ディスティネーションキャンペーン」と連動した、屋代線観光列車を企画運行するとか、できることはたくさんあるのではないか。また⑥ラッピング車両による広告収入の増を図ることも考えるべきと思います。いかがですか。


5.市民会館は権堂B地区で禍根を残さないのか

(1)第一庁舎・市民会館の基本構想にあたり、市民ネットは、耐震対策として合併特例債を活用し両施設を建て替えとする基本方針を「是」としてきましたが、市民会館の建設地は権堂地区が余りにも不確実性が強いことから、現実的な方針として、また市民の理解を得られる場所として「現在地」を提唱してきました。この現在地にこだわって質問します。

(2)「権堂地区の再生は、中心市街地活性化に欠かせない要素である」との認識は理解しますが、権堂地区の再生が中心市街地の活性化に不可欠であるとの認識と、市民会館建設による再生の効果は別の問題です。建設検討委員会が提言した短所や懸念について、果して明快な答えが用意できているのか、疑問です。一つに、権堂商店街との賑わいの相乗効果が不明確であるとされた点。二つに権堂が持っているまちのイメージと文化芸術拠点としての市民会館とのイメージの調和に疑問が残ること。三つに大型店の存続に特化した再開発との印象があるとされた点。四つに、イトーヨーカドー長野店は再開発を大前提に存続させる姿勢を示しているとされるが、現下の経済状況で今後の動向は極めて不透明であること。協定締結を考えているとのことですが、どのくらいの期間を想定しているのか。期間次第では、遠くない将来に宙ぶらりんの計画になりはしないのか、以上、明快な考えを示してもらいたいと思います。

(3)現在のイトーヨーカドー、及び長野電鉄本社ビルは昭和53年及び昭和52年に建設されたビルです。築33年、32年の建物。イトーヨーカドーの建物は診断の結果、耐震基準を満たしているとされています。本社ビルは耐震診断が実施されていないものの、老朽化しているとはいえず耐震改修の道が残されている施設といえます。民間施設ではありますが、有効活用を図るべき建物であると考えますが、どのように考えるのか。耐震対策、そして今ある建物の価値を考えると、再開発事業とはいえ、スクラップ・アンド・ビルドだけで良いのか、合わせて考えをうかがいます。


6.公共施設の見直し、維持改修に向けた全体計画を

(1)市有施設の「耐震改修促進計画」では、H27年までに耐震化率90%を目標とし、また、行革推進局では「公共施設の見直し検討委員会」をつくり、H22年中に公共施設再編の指針を策定し、H23年度に具体的な再編案をまとめるとしています。耐震対策に始まり、公共施設の維持に要する経費は莫大なものになると思われますが、現在あるすべての公共施設について、その有効性、市民にとっての必要度・満足度を検証し、施設の配置・再編、維持改修の考え方を含めた、公共施設維持にかかるビジョンと計画が必要だと考えます。

(2)ビジョン作りへの考えとあわせ、H28年度までを期間とする第4次総合計画10年の間で、公共施設の維持改修経費はどれだけ見込まれるのか。必要な財源をねん出できる見通しはあるのか。さらに、公共施設の施設整備基金を創設し、将来に向けた準備を始める必要があると思うがどうか。所見をうかがいます。


7.情報公開とまちづくり意見等公募制度の見直しについて

(1)年明けから、いわゆるパブリックコメントの募集が相次いでいます。合計で 件。消化不良を起こしかねない状況であるとともに、行政側からみるとパブコメが単なる通過点、必要な手続き程度にしか位置付けられない問題をはらんでいるのではないでしょうか。政策形成過程から市民の声を聴き、政策決定に反映する、本来の趣旨・目的が形式となっていないか、懸念されます。市民の意見が少ない場合、重要な施策だが関心が低いという認識に立って、「関心を高めるために何が不足しているのか」という課題を明確にして施策が実施される必要があります。声なき声があることにもっと真摯な仕組みを形成していくべきではないか。いかがでしょうか。

(2)パブコメ段階の情報として、計画に要する事業費や市民の負担が示されていないことが課題であると思います。計画だけ示されても、この計画にいくらかかるのかが分からなければ、施策の優先度合いを評価することはできないのではないですか。市民が費用対効果を見極め、そして市民自らが市民にとっての優先度合いを決定していけるようなパブリックコメントにすべきでしょう。納税者意識を喚起していくうえでも必要な手立てだと考えますが、どうですか。

(3)「長野市の将来を考える年代別会議」は公募市民によるモニターの仕組みとなるものと思われますが、その具体は。

(4)情報公開について、市長は「現在、情報公開の対象となっている庁内の政策会議の内容を対象からはずす方向で検討している」としました。もっとも公開対象となっていてもマスキングだらけの「黒塗り公開」では意味がないのですが、政策決定のプロセスの透明性を確保するという観点からは、部長会議や政策会議は公開対象として維持すべきです。情報公開を後退させないことが大切であると考えるが見解を伺います。

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