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09年4月28日
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「生活の足」…長野電鉄・屋代線の存続に向けて


法定協議会が5月1日に発足
 長野電鉄が「単独では運営が困難」として、存続に向けた協議を長野市などに申し入れていた問題で、長野市は地域公共交通活性化再生法に基づき、須坂市や千曲市とともに「長野電鉄活性化協議会」(法定協議会)を5月1日に、長野電鉄はもとよりバス会社を含む関係団体を集め、立ち上げます。屋代線にとどまらず長野線を含めた長野電鉄の地方鉄道路線全体を対象とするもので、中野市や山ノ内町、小布施町、高山村もオブザーバーとして参加することになりました。事務局を務める長野市交通政策課は、H21年度中に4回程度の会議を持ち利用促進につながる「総合連携計画」を策定したい考えです。まずは初年度で沿線住民アンケートなどの調査事業から始め、H22年~24年度で事業化を図りたいとしています。

 バス会社や沿線自治体すべてが絡んでいる点が今後の「ポイント」になると思われます。

県内では29地域の公共交通再生の取り組みが認定
 一方、国は、路線バスや鉄道など公共交通網の存続・再編を図る地域の取り組みを支援する「地域公共交通活性化・再生総合事業」に、今年度44億円を確保、さらに閣議決定した追加補正予算案に25億円を計上しました。全国で337地域、県内では29地域の取り組みが補助対象として認定されています。

  「長野電鉄活性化協議会」も5月1日の発足後に事業申請を予定、追加認定される見通しとなっています。

長野地区公共交通対策会議で存続に向けたアクションを企画
 27日、長野地区公共交通対策会議(代表委員を務めています)の役員会を開き、長電屋代線の存続に向けた具体的な取り組みについて協議。確定した取り組みを紹介します。

沿線住民アンケート…屋代線沿線の1万世帯にアンケートを実施、5月連休明けからアンケート用紙(返信ハガキで集約)の配布活動に取り組むことに。
「屋代線の将来を考える」をテーマに「公共交通を考える市民の集い・第2弾」…7月4日(土)午後1時30分から松代文化ホールで「集い実行委員会」の主催で催すことに。すでに実行委員長の茅野實氏(県環境保全協会長)をはじめ、鷲澤正一・長野市長や笠原甲一・長電社長らがパネラーに内定しています。パネルディスカッションのコーディネーターは信濃毎日新聞論説委員の小林孝氏にお願いしました。基調講演・問題提起をしていただける人材はこれから調整です。

「乗ってみよう!屋代線」…5月28日に対策会議として屋代線の現地視察を計画、屋代駅の車両工場・綿内駅の変電所・須坂駅の運転司令室・工場などを合わせて調査することにしました。
地方鉄道の現状と課題を現地視察…地方鉄道の現状と課題を探り、屋代線の将来を考えるため、6月1日に三重県の三岐鉄道北勢線、2日に福井鉄道福武線の現地視察を計画しました。

《三岐鉄道北勢線》は、近畿鉄道が長年にわたり運行してきた路線で経営難から廃止を表明、これを受けて三重県と沿線自治体が協議し、自治体による鉄道施設整備と赤字補てんを前提として三岐鉄道(民間)が路線を継承・再生することになった鉄道路線です。沿線自治体の支援の中身と住民との連携をテーマにします。

《福井鉄道福武線》は、地域公共交通活性化再生法に基づく「鉄道事業再構築実施計画」認定第1号の路線。「公有民営」「上下分離」の変形です。福井市・鯖江市・越前市の沿線3市が福井鉄道㈱から鉄道用地(レールは別)を取得し、同社に無償貸与することで資産保有に伴う費用負担を軽減するとともに、福井県と沿線3市で鉄道インフラの更新や維持管理費用を一定期間負担するスキームが特徴です。「上下分離方式」と沿線のサポートをテーマにします。

それぞれ、私鉄の労働組合を通して視察受け入れをお願いしているのですが、事業者はもとより、地元行政との意見交換も計画しています。

NPOが支える岐阜県の樽見鉄道や、廃止後に三セクで存続させている伊勢鉄道や養老鉄道なども現地調査したい鉄路です。
地方鉄道の課題と将来について学習会
 役員会の後、私鉄総連(民間の鉄道・バス会社の労働組合の全国組織)の総合政策局・鉄道部長の平速人さんを招き、地方鉄軌道の現状や再生に向けた国の考え方、さらに地域公共交通活性化再生法による法定協議会の活用などについて学習会を持ちました。地方の中小私鉄は、輸送人員が3年連続で増加し長期逓減傾向に歯止めがかかりつつあるものの、2000年鉄道事業法の改正による規制緩和で全国で26路線・595㎞が廃止になっています。これに対し、国は都市部の空港アクセス鉄道や都市鉄道の利用増進にウェイトを置きつつ、地方鉄道の活性化(09予算で22.3億)、コミュニティ・レールの推進や環境対応・省力化に資するシステム(15.8億円)などを予算化、さらに地域公共交通の活性化・再生総合事業の拡充に44億円(バス交通を含む)と地方鉄道も重点を置いています。

先進事例として、地域を挙げての鉄道存続に向けた取り組みが進む「茨木交通湊線」(ひたちなか市)、公共交通計画の策定とLRTの導入を進める富山市の取り組み、運行休止から第3セクター立ち上げによる鉄路の再生に取り組む「えちぜん鉄道」、「駅長のたま」やいちご電車・おもちゃ電車で有名な「和歌山電鐡貴志川線」などが紹介。国交省のホームページでも紹介されているものですが、鉄路の存続は、自治体と地域沿線住民の連携、住民の創意工夫がキーワードです。
 注目された話は、観光庁の「観光圏整備実施計画」の認定による国の支援で、高知市の土佐電鉄の「ICカード導入」が対象になったこと、そして現在、国会で審議中の「地域力再生機構の法制化」で、地方自治体が出資して赤字に陥っている第3セクターや地域の中核企業の事業再生を支援する仕組みが新たにできそうだということです。
 学習会の内容は未消化の部分もあります。切磋琢磨して「公共交通の布目」をめざしたいと思います。6月議会での対応も考えなければなりません。

 「沿線住民アンケート」や「7.4公共交通を考える市民の集い」は内容が確定してから詳しく報告します。
 明日29日は、若穂住民自治協議会が企画された「電車に揺られてたっぷりと古代の旅」に参加します。初めて屋代線に乗車してみます。沿線の皆さんとの意見交換も楽しみです。


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