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06年12月25日
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06年12月議会を振り返って(その1) 格差と負担増をめぐる福祉議会

 12月定例市議会は20日、市が提出した総額で6600万円余を減額する一般会計補正予算案をはじめ、指定管理者制度導入に伴う条例改正案や市立長野高校の校舎建設の工事請負契約の締結に関する議案など45議案すべてを可決し閉会しました。

 議員提出議案では、「道路特定財源の堅持に関する意見書」、「障害者自立支援法に基づく障害者福祉制度の充実を求める意見書」を可決、総理大臣などに提出することを決めました。

 振り返って12月議会は「格差と負担増をめぐる福祉議会」でした。介護保険や障害者自立支援など、高齢者や障害者が安心して自立できる制度としてスタートしたはずですが、1割の利用者負担が重くのしかかり、結果として自立を阻害している問題がクローズアップされ、市独自の支援策を求める意見が相次ぎました。しかしながら市側は、「利用者負担の増に対し低所得者対策は講じている。国の制度であり自治体独自の支援策は地域間の福祉格差を広げる」とし「国において見直しがなされるべき」との姿勢に終始しました。確かに国において制度の見直しが必要であることは論を待ちませんが、国の低いサービス基準にとどまり、高齢者や障害者の自立を妨げている実態を放置する理由にはなりません。朝日新聞の調査では50%を超える自治体で独自の支援策が実施されています。「冷たい市政」とならないよう新年度予算に反映できるよう頑張りたいと思います。まずは概要を報告します。

補正予算の主な内容

◆人事異動等による調整で人件費を減額

 児童手当の対象年齢枠の拡大や人事異動に伴う年間所要額の調整で、職員給与費を2億4165万8千円減額。

◆松代地区住民自治協議会に交付金

 若槻地区に続き11月に設立された松代地区住民自治協議会の運営費に対し「ずくだし支援事業交付金」13万1千円。

◆長野県後期高齢者医療広域連合が設立へ

 75歳以上の高齢者等を対象とする後期高齢者医療制度が平成20年4月に創設されることから、県下の全市町村が加入し設立される長野県後期高齢者医療広域連合の準備委員会に対する市の負担金1420万6千円を追加。

◆障害者自立支援で設備整備に補助金

 障害者自立支援法の本格施行に伴い、就労訓練等の施設整備を図るための補助金2058万円。

◆幼保総合モデル事業を継続、認定子ども園スタートに向けた負担金も

 就学前の教育・保育を一体的に捉え、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ幼保総合モデル事業の継続に伴う運営費交付金と来年2月に認定が見込まれる認定子ども園に対する運営費負担金、合わせて785万8千円を計上。

◆生活保護受給者の増加に備え法定扶助費を追加

 生活保護の受給対象者の増加に備え、法定扶助費を1億9990万円追加。

◆中小企業への資金融資を拡充

 中小企業を支援する資金需要の増加により、制度融資保証料交付金を1億500万円追加。

◆中氷鉋土地区画整理事業に補助金

 中氷鉋土地区画整理組合に対し事業費補助金7500万円。

◆消防装備を更新、充実

 国の補助採択を受け、地震警報機の新規購入費、熱画像直視装置の更新経費として836万円、さらに安茂里分署に配備されている自動対外式除細動器(AED)の更新経費221万円。

◆35人学級維持費、就学援助費を追加

 35人学級では対象学級の増により県への協力金275万円を、また小中学校での要保護及び準要保護対象生徒の増に伴う就学援助費463万8千円をそれぞれ追加。

◆安全な市営バス、スクールバスの運行に

 年度当初から安全な運行を確保するため、市営バス・スクールバスの運行業務委託事業費をそれぞれ7520万円、1822万円を債務負担行為として計上。

◆長野東バイパス、用地取得へ

国道18号長野東バイパス事業の側道用地について、平成25年度までの用地取得費として2億8300万円。

◆道路・河川の改修費を増額

 工事発注時期の平準化を図るため、道路の新設改良費、河川水路の改修費に3億8700万円。

◆芹田小学校プール、改築へ

 来年6月にオープン予定の芹田小学校のプールの改築事業費に債務負担行為で1億4080万円。

主な議案の内容

◆新たに15の公の施設で指定管理者制度に移行

 合併地区の豊野西部児童センターや大岡特産センター、(戸隠)そば博物館、鬼無里地域資源活用総合交流促進施設(鬼無里の湯)など9施設、ならびに市営住宅等6施設に指定管理者制度を導入することに伴い、必要な条例改正と一部施設の名称変更が行われました。改正では、@指定管理者に公の施設の管理を行わせること、A市民が公の施設を利用する開館時間、休館日、指定の期間等の管理基準、B指定管理者が行う業務の範囲、C市の歳入となる使用料から指定管理者の収入となる利用料金制に変更した場合の利用料金の承認の手続きや金額の範囲、利用料金の額等が定められ、平成19年4月から指定管理者による運営が始まります。

◆市支所設置条例を改正

 芹田、古牧、三輪、吉田の4地区において、現在の連絡所に代えて支所を設置するために条例が改正されました。

◆入院時生活療養費を福祉医療費給付金に追加

 入院時の生活療養費に係る標準負担額の2分の1に相当する額を福祉医療費給付金に付加することになりました。10月1日以後の生活療養費から適用されます。

◆市内2箇所に駐輪場

 長野電鉄善光寺下駅と丹波島橋南バス停留所の周辺における自転車等の秩序ある適正な駐車の促進を図るため、新たに自転車駐車場を設置することになりました。

◆保科温泉マレットゴルフ場を開設

 来年4月から若穂地区に保科温泉マレットゴルフ場を設置するとともに、利用者の大幅減等の理由から、戸隠地区の中社体育館や大岡マレット場、塩崎マレット場を廃止することになりました。

◆長野県後期高齢者医療広域連合を設置

 現行の老人保険制度に替わる新しい医療保険制度として平成21年度からスタートする後期高齢者医療制度の事務を処理するため設置される広域連合組織の規約を議決しました。

◆若槻分署、若穂分署に消防ポンプ車等を配置

 若槻分署にはタンク付消防ポンプ車を、若穂分署には消防ポンプ車を配置するため、それぞれ消防ポンプ車の財産取得を行いました。

◆山村留学事業における事故で和解が成立

 大岡地区の生活体験学校において昨年6月に発生した大岡中学校の在籍・山村留学生の死亡事故について、損害賠償額2850万円で和解成立の運びとなり、議決しました。

◆市民病院のMRIを更新

 老朽化した磁気共鳴断層撮影装置(MRI)を更新するため、2億9000万円を計上しました。市民病院の検査機器は順次更新される計画です。

◆新生市立長野高校、第1期建設工事へ

 総事業費50億円を予定する新生・長野市立長野高等学校の校舎建設の第1期工事として、総額21億1375万5千円の工事請負契約を締結、校舎の建設が始まります。
◆教育委員、選挙管理委員などを選任

12月議会の焦点・論点

 私自身が12月議会の論点として着目し、代表質問や個人質問で浮かび上がった論点を列記すると次のようになります。
■いじめによ自殺が相次いだ中、長野市内のいじめ対策は十分か?
■「長野市版・放課後子どもプラン」は、子どもたちの安心・安全な居場所を確保できるか?
■医師・看護師の不足が深刻化する中、長野市の実態は?、そして看護師の確保策は?
■介護難民の発生、障害者の自立阻害に長野市は十分な対応ができているのか?
■後期高齢者医療制度は安心の医療となるか?
■「障害者自立支援法に基づく障害者福祉制度の充実を求める請願」は全会一致で可決、「介護保険の情実を求める請願」「療養病床の廃止・削減と患者負担増の中止等を求める請願」は否決に
■中心市街地の小学校統廃合問題…後町小学校の閉鎖はやむをえないのか?
■県立高校再編のもと市立長野高校は魅力ある高校として再出発できるのか?
 また、所属する福祉環境委員会では、認定子ども園のスタートにあたっての課題、増加する多重債務者の相談支援策などを取り上げました。随時、整理して報告します。



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