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04年9月20日
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04年9月議会(9月6日〜22日) 

●[2004年9月10日に行う一般質問のテーマ]
  次の事項をテーマに質問しました。

 1.市民健康診断の現状評価と生活習慣病対策の拡充について
   (1)一般健康診査、がん検診の受診率の向上
   (2)前立腺がん「PSA検査」の導入
 2.防災体制の拡充、原子力防災の備えについて
   (1)見直された市民防災訓練のあり方と計画状況
   (2)原発事故、放射性物質事故に対する原子力災害対策の確立
 3.ごみ問題について
   (1)更なる分別収集とリサイクル・資源化の段階的見通し
   (2)生ごみの堆肥化事業のモデル化
   (3)広域連合ごみ焼却場建設に係る課題と対策
 4.合併問題について
   (1)「合併建設計画」の再評価・見直し
   (2)新市財政計画の見通しと長期計画等の見直し
   (3)「地域審議会」と都市内分権の位置付け
 5.その他


●この議会から、会派の事情により所属委員会が変更となりました。
総務委員会から、建設企業委員会に変更です。委員会は9月15日。

質問の内容 04.09.10 

39番、市民ネットの布目裕喜雄です。質問いたします。

1.まず、市民健康診断の現状評価と生活習慣病対策の拡充についてです。

(1)がん及び心臓や脳血管疾患、高血圧、糖尿病など、いわゆる生活習慣病で死亡した市民の割合は、H14年で総死亡者数に対し63.6%を占めています。全国で比較すると人口10万人当たりで約555人、全国平均の約473人を上回り14位という位置です。生活習慣病の早期発見・早期治療に向けては、市民健康診査と各種がん検診・集団検診が大きく貢献してきています。まさに「予防に勝る医療はなし」との言葉通り、今日、市民健康診断とがん検診をより一層拡充し、市民の健康増進を図ることが求められています。
(2)そこで、市民健康診断の受診状況を見ると、一般健康診査の受診者数は昨年度で52,989人と5年間で8000人増、絶対数では増加しているものの、受診率では47%台、横ばいで推移しています。また、がん検診では、乳がんをのぞき、胃がん・子宮ガン・肺がんでは受診者数・受診率ともに減少してきています。大腸がんでは受診者数では増減しつつも、受診率では5年前に比べ2.3ポイント減の24.5%となっています。それぞれの検診の増減には、個別の理由があると思われますが、全体的に減少してきている傾向をどのように評価するのか。生活習慣病の死亡率についてせめて全国平均より低くなる目標を掲げ、対策を拡充することが必要と考えますが、具体的な対応策をお聞きします。
(3)厚生労働省の今年4月発表の「都道府県別死因の分析結果」によると、長野県の特徴は「男性は脳血管疾患、前立腺がんが多く、女性は脳血管疾患が多い」とされています。日本人のがんでは、胃がんや子宮頸がんなどが減り、変わって肺がん、大腸がん、乳がんなどが増加、これに加えて、今ダントツの伸び率で増えているのが男性特有のがん、前立腺がんだとされています。アメリカでは既に10年ほど前から男性のがんの中で最も高い発生率となっています。日本でも急増しており、前立腺がんによる死亡者数は2015年には2000年の2倍以上、95年の約3倍になると推定され、すべてのがんの中で最も増え方の激しいがんだとされています。前立腺がんの治療を効果的に行うためには、症状が出る前にがんを発見することが大切で、そのためには検診などで定期的に「PSA検査(前立腺特異抗原検査)」という血液検査を受けることが最も近道だと専門家から指摘されています。そこで、がん検診のメニューに、女性特有のがんの検診に加え、男性特有のがん検診として、前立腺がん「PSA検査」を導入することを提案します。既に4つの市で実施されています。それぞれ基本検診やがん検診との同時受診方式で、横須賀市では50歳以上の市民を対象に700円の自己負担で、伊勢崎市では50歳から84歳までの市民で全額公費負担で、高松市では40歳以上の市民で1200円の自己負担で実施され、また福岡市でも実施されています。受診率は25.5%から33.4%と高いものとなっています。この件については、長野市医師会も現場開業医の要望として、市に要請していると聞いています。絶対数では小さいかもしれませんが、最も急増していくがんの対策として、早期に計画されるよう強く求めるものですがいかがでしょうか。

2.次に、防災体制の拡充と原子力防災の確立についてです。

(1)新潟県や福井県での水害被害の生々しい記憶が残る中で、防災訓練が実施されました。被災者の皆さんには改めて心からお見舞申し上げます。さて、市の防災訓練は、今年から地域の防災力の向上、防災リーダーの育成を目的とした市民防災訓練として、408の区のうち403の区で459の自主防災会を中心にきめ細かく実施することとされました。各地域において洪水ハザードマップ等も活用した訓練計画が詰められている段階であると思いますが、消防局から指導されている各地域の自主防災会の訓練の実施状況、進捗状況はどうなのでしょうか。またあわせて、災害対処・復旧としてボランティアの受入体制の確立も求められているところですが、どのような計画となっているのでしょうか。
(2)こうした中、8月9日に発生した福井県・関西電力美浜原発の配管破断事故は、11人の死傷者を出す大惨事となりました。今回の事故は、原発そのものの老朽化の問題、27年間、一度も点検・検査がなされていなかったという安全面での問題、いずれもずさんな安全管理のもとに原発が稼動している極めて危うい現実を改めて突きつけました。 原発の事故にいかに備えるかという問題も、原発の立地如何にかかわらず、防災上、問われてきています。1999年9月の東海村JCO臨界事故を受けた、国の法改正によって、原発の立地地域に限らず、核物質の貯蔵、加工、廃棄施設や輸送過程が防災対策に追加され、都道府県は「地域防災計画」を改定することとなりました。例えば、最も近い原発からでも約40キロ離れている兵庫県が原子力防災計画を策定、放射性物質の事業所外運搬災害、放射性同位元素取扱事業所災害、放射性物質不法投棄に加え、県外の原子力災害などの4ケースを想定し対応しています。また原子力関連施設がない埼玉県では、独自に「放射性物質事故災害対策」を県地域防災計画に盛り込み、長野県でも、防災計画に盛り込まないまでも「原子力防災対策の指針」をまとめ、市町村に示し対応をすすめています。県内・市内に原発こそありませんが、新潟県の柏崎・刈羽原発から長野県境まで約40km、長野市まで直線で100km、いったん大事故が生じれば、その被害は確実に県内・市内にまでおよぶことは明白です。市内にも、放射性物質を扱う事業所が存在し、また高速道路の四車線化に伴い、原発の核燃料の輸送対象になるかもしれない危険があります。
 そこで次の対策を講じられるよう求めます。原子力災害、放射性物質事故災害に対応する市の責任窓口の明確化、周辺地域の原発の動向に関する情報・データの収集及び把握、事故が発生した場合の、国・県、事故発生県、あるいは事故発生事業所との緊急連絡体制の確立、住民への周知と避難、原子力防災資材・機材の確保を進めるとともに、長野市地域防災計画のなかに原子力災害対策を盛り込み備えることです。避難をはじめとする防災の基本は市町村にあります。県の水準・取り組みを越えて、長野市が防災先進モデルとなることを切に願うものです。いかがでしょうか。

3.三つ目はごみ問題についてです。

(1)ごみ問題の究極の目標は「燃やさない・埋めない」すなわち「ごみを出さないこと」「ごみとしないこと」にあります。そのためには拡大生産者責任が貫かれなければ無理です。とはいえ、理念・目標を「絵に書いたもち」にしないために、ごみの発生抑制を段階的に進めていくしかありません。例えば、7月に市民ネットで行政視察した富良野市では、「燃やさない、埋めない」を基本理念に資源化率99%を目標に、現在14種分別を実施、93%の資源化率となっているとのことです。分別の徹底と生ごみの堆肥化、可燃ごみの固形燃料化によって達成されているものです。因みに長野市の資源化率は20.7%。富良野市が人口2万5千人規模、年間3千トンのごみだからできるということなのでしょうか。大都市である名古屋市では8種区分、資源化率31.9%という取り組みになっています。長野市において現行7種区分となっている分別の更なる細分化、リサイクル・資源化の徹底が求められていると考えるがどうか。段階的な見通しはいかがか、お聞きします。また、広域連合のごみ処理基本計画では資源化率30%以上、減量化率(総ごみ量から最終処分場を引いたものの総ごみ量に対する割合)90%以上を目標としていますが、達成見込み及び新しい目標の設定について、どのように考えているのか、伺います。
(2)次に家庭系生ごみの堆肥化についてです。行政視察しました、中核市・旭川市で行われている「地域型生ごみ堆肥化モデル事業」の特徴は、小学校を拠点としてモデル校に「生ごみ高速発酵処理機」(50キロ/日)を設置、町内会に生ごみポストとして小型生ごみ処理機(20キロ/日・2台)を設置、給食の生ごみ、家庭からの生ごみを学校に集め堆肥化している点です。堆肥は学校や市民菜園で活用されます。事業費は年間300万円、5年計画の事業となっています。2年後に見直すとのこと。全市で展開すると50億円と試算され、なかなか大変な事業になるとの話もありましたが、長野市において「行政区」あるいは「学校区」を単位としたモデル事業として展開していく道も十分検討に値すると思うがどうでしょうか。
(3)広域連合のごみ焼却場建設に係る課題と対応について伺います。長野広域連合における新しいごみ焼却施設の市内建設地の検討委員会が開かれています。30エリアから17エリアに絞込み、今後「評価指標」に基づきさらに絞り込んでいくとのことです。委員会を傍聴しましたが、法定規制地域を除外し、地域を絞り込むのは当たり前の手法ですが、余りにも選定されているエリアが広いと率直に思いました。500メートル・メッシュ方法の採用をとの意見もありましたが、多数とならずに議論が進んでいます。エリアで選考していく手法について荒っぽさを禁じえません。建設候補地を絞り込んでいく過程においても合理的根拠、納得できる手法がとられないと、十分な住民合意を得ることができなくなることを懸念します。今後、いわゆるピンポイントで建設地2ヘクタール分の箇所を選定していくことを考えればなおさらです。どのようにお考えなのでしょうか。また、検討委員会の審議について情報公開を進める確認がされていますが、いつ、どのような形で情報公開をはかるのか、市民の声の反映はどのようにするのか、計画を示していただきたいと思います。
 また、焼却溶融方式は「ストーカ式焼却+灰溶融方式」とし検討が進められています。検討委員会の視察地もすべてこの方式の施設で行われました。しかし、さる7月の静岡市の灰溶融炉の事故は深刻に受け止める必要があります。現在、事故原因の究明が進められていると聞いておりますが、事故原因の解明及び安全性の確認のうえに立って、長野市の施設の焼却溶融方式についての慎重にも慎重を期した再検討が必要なのではないでしょうか。

4.最後に合併問題についてです。

(1)新市の財政計画で10年間分の試算がされました。10年間で1兆3、249億円の財政計画といわれても市民にはぴんと来ません。例えば豊野町土地開発公社の事例に見られる「売れ残る土地」に象徴されるような負の財産の引継もあり、重い負担となる現実があります。本来引き継がれるべき貯金が10億円近く減って引き継がれるという事態も生んでいます。また、有利な起債とはいえ、借金となる合併特例債を291億円使う見込みともなっている計画です。「三位一体改革」のもとで、国庫補助金の削減、地方財政計画の見直し、地方交付税の起算となる基準財政需要額の算定根拠の見直しなどが指摘される中で、本当に大丈夫なのでしょうか。「市民に新しい負担は生じない」とされていますが、であればなおさらのこと、厳しい財政状況を見据え、かつ市民の必要度・満足度にてらして、新市のまちづくりの計画、財政計画について厳しくチェックするとともに、事業を厳選していくことが問われていると考えます。
(2)そこで具体的に伺います。一つは「合併建設計画」の再評価・見直しについてです。新市の「合併建設計画」は、それぞれの町村の基本計画や諸施策をまとめたものにならざるをないでしょうが、駆け込み事業を懸念する声もあり、建設計画における諸事業のチェック・検証が必要であると考えます。合併旧町村で計画する事業について、事前・中間・事後の行政評価、事業の見直しはどのように行われるのか、伺いたいと思います。
(3)二つ目は「サービスは高いほうに、負担は低いほうに」を基本に事業のすりあわせが進められてきていますが、「当面現行どおり、合併後に見直し」とする事業が多くある点に関してです。この「見直し」はどういう形で進められるのか、住民参加はどのように保障されるのか。また、合併する5市町村が新長野市として一体感を持った「多軸都市」として発展していくためにも、一体感を持ちえる基本計画・まちづくりのグランドデザインづくりが必要であると思いますが、新市になることによって「長期計画」の見直しはどのように進められるのでしょうか。また前述したような自治体財政を取り巻く環境を考えたときに「新市財政計画」の執行の見通しははいかがか、お尋ねします。
(4)三つ目は地域審議会と都市内分権のモデル実施についてです。合併に伴う、まちづくりの受け皿となる地域自治組織のあり方について、市長の諮問機関である「地域審議会」方式をとることになりました。地方自治法の改正、合併特例法の改正によって「地域自治区」や「合併特例区」の選択肢もある中で、この方式を選んだわけです。既に決まったことですから、この地域審議会が、旧町村の住民が、本当の意味で自らのまちづくりを考え検証するテーブルになっていくことを願っています。旧町村においても「行政連絡区」制度を発足させるとし、現在、説明会が取り組まれているようですが、地域審議会と「区」制度との兼ね合いはどうなるのか。さらには、調査研究段階とされている都市内分権における「住民自治協議会」との兼ね合いはどうなのか。また新しく発足する支所は、「都市内分権」で言うところの「地域総合事務所」にあたるのか。支所への予算対応、人的対応、予算の執行の問題をはじめ支所長の権限は何なのか。そもそも合併を1月に控え、合併町村における都市内分権のモデル的先行実施を進める構えがあるのか否か。明快な答弁をお願いします。
 住民自治をはぐくみ、地域の自立と活性化を進めていきたいとの想いから、質問しました。合併のスタート地点から合併の10年先、20年先を見越して、地域住民自治、地域コミュニティの拠点となる足がかりをしっかり作っていくべきであると考えるからです。

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