公共施設マネジメント…特別委視察から長野市に”活かしたい点”

 日曜日夜半から38.5度の熱と咳、鼻水でダウン。不摂生が祟ったのでしょうか。
 26日、総務委員会委員にご案内をいただいていた文化財防火デー・善光寺総合消防訓練は欠席の憂き目となりました。

 病院の診断では、インフルエンザではないとのことで、隔離生活を免れています。
 皆さん、ホントに無理せずご自愛ください。

 昨日段階で熱も下がったため、東京・衆議院議員会館で開かれた平和フォーラム主催のオスプレイの飛行訓練に関する防衛省・外務省交渉には予定通り参加してきました。

 ということで、先週の公共施設のあり方調査研究特別委員会の視察のまとめ編=「長野市政に活かしたい点・学びたい点」について、まとめてみました。
 かなり総論ではありますが、特別委員会の今後の調査・審議に向け活かしていきたいと思います。

 因みに、特別委員会では、行政視察の感想を含め意見を提出することになっています。
 副委員長が取りまとめ、議会の視察報告書として情報公開されることになっています。
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 私の感想と意見です。個々の自治体の取り組み状況のまとめと合わせご覧いただき、ご意見をたまわれば幸いです。
 ➡160123公共施設マネジメント【さいたま市編】…特別委の視察より➊
 ➡160124公共施設マネジメント【焼津市編】…特別委の視察より➋
 ➡160125公共施設マネジメント【豊中市編】…特別委の視察より➌

公共施設のあり方調査研究特別委員会・行政視察より…私の意見

 今回視察したさいたま市・焼津市・豊中市は、いずれも人口密集度が高く、人口一人当たりの公共施設床面積が全国平均を下回るため、マネジメントの目標が、施設の縮減よりも複合化・多機能化による市民サービスの維持・向上に力点が置かれている。焼津市の「縮充」という考え方に象徴されるのではないかと受け止める。

 広大な中山間地域に加え、五輪施設を抱える長野市にとって、一人当たり床面積4.0㎡と全国平均を上回っている現状に照らすと、財政負担の見通しと合わせ削減・統廃合の急迫度に相違があると感じるが、マネジメントの考え方、市民との合意形成のあり方については学ぶところが大きかったと言える。

 「20年間で20%削減(しかし、五輪施設を除く)」という総量規制の合理性の再検証、マネジメント指針を先取りして具体化が進められる施設再編に対する対応、市民の合意形成の手法とあり方、財政と一体となったマネジメントの具現化といった観点から、公共施設マネジメント指針をしっかり読み込むことの必要性を痛感したところである。

 視察した自治体では、複合化・集約化の事例として学校施設がモデル事業あるいはパイロット事業として位置づけられている。小中学校の耐震化工事に合わせ、周辺施設の複合化を図る事例である。
 いかんせん、長野市においては、小中学校の耐震化が公共施設のマネジメントを踏まえた取り組みにできておらず、せっかくの耐震化工事において、地域コミュニティの中核としての学校施設の活用について、広く検討ができてきていない。一部施設では地域にも開放される多目的ホールという考えで施設整備が行われた学校もあるが、全体的には後追いとなっている。

 議会側としても反省が必要なところではあるが、今後の小中学校の再編については、学校施設の複合化・多機能化の視点から、十分な検討を行っていく必要性を改めて痛感する。

 その上で、長野市に活かしたい点を中心に何点かをまとめる。

1.公共施設マネジメントの推進体制の構築

 公共施設マネジメントは、ハコモノとインフラに区分される市有財産を、市民サービスの維持・向上を図る観点から、いかに再構築していくのかが問われる。
 そのためには、職員の意識改革と全庁的な推進体制の構築が不可欠である。

 長野市は、行政管理課の公共施設マネジメント推進室で対応しているが、マネジメント指針から再配置計画・長寿命化計画の策定段階を迎える今日、統括的な推進体制の構築が急がれるべきである。
 
 資産管理から資産経営の視点の下に「マネジメント対策本部」(焼津市)、「市有施設有効活用本部」(豊中市)等の設置と一元的なマネジメントの推進を長野市版として取り入れる必要がある。
 その際、縦割りから横割りでマネジメントを統括する手法も(豊中市)も参考にしたい。

 また、公共施設マネジメント指針の具体化の試金石と位置付けられた北部市民プールの廃止に伴う皐月保育園の改築、篠ノ井市民会館の廃止に伴なう施設再編では、20%削減という数字が独り歩きし、トータルな市民サービスの維持という観点からは、行政管理課と施設所管課との間のチグハグ感が否めないところである。さらに市民の合意形成という点でも大きな課題を残している。

 そうしたことから、職員の意識改革を進め、公共施設マネジメントの意義と課題を共通認識とする取り組みの強化が求められる。

2.データベース構築の必要性

 職員の意識改革を進める手立ては、専門的な知見の研修も必要であるが、統合型データベースの構築と活用が不可欠と思われる。
 市民にとっての必要度・満足度を推し量るとともに、コスト意識を持って仕事にあたる意識の醸成につながる。

 焼津市の産学官連携による公共施設等統合データベース構築は学びたいところである。

 長野市でも、新公会計制度への移行に伴い、データベース化は進められてはいるが、長野市のDB構築の現状と課題を検証することが必要である。

 個々の施設の再編を検討していく段階で、さいたま市では、データベース・チェックシートによる施設担当課との庁内事前協議制度(さいたま市)が導入されているが、面白い試みである。庁内推進体制の一環としても意義ある取り組みとなるのではないか。

 また、データベース構築により、施設評価(焼津市における3次にわたる評価システム)や維持改修工事の優先順位化の「見える化」と事業の財政的確保(さいたま市の事例)が図られることとなり、庁内的な合意形成とともに、市民に対する説明責任を果たすことにつながっていると考えられる。
 個々の施設評価の手法や維持改修工事の優先度評価の手法は検討したいものである。

3.長寿命化を考えるサイクルの構築

 施設の長寿命化計画(=施設保全計画)の策定にあたり、施設の維持改修サイクルについて、さいたま市では20年間を一つの区切りとする80年計画、焼津市では15年区切りの30年間・60年間サイクルを基本にしているように受け止めているが、長野市においても大きな違いはないと思われるが、施設の長寿命化の課題と対策を市民との共通認識にしていくうえで、一定のサイクルと必要な維持改修のあり方を提示していくことは重要であると思われる。
 

4.市民との情報共有

 「総論賛成・各論反対」となるのは総論の理解が不足しているからだとする焼津市担当者の言はその通りであろう。総論として公共施設マネジメントの必要性を広く市民に周知し共通認識にしていくことが、個別施設の再編計画となる再配置計画を市民とともにつくっていくうえで欠かせないプロセスとなる。

 漫画版パンフレットの発行(さいたま市)や、シンポジウムの取り組み(3市すべて)は、具体化を急ぎたいところである。

 その点において、「20年間で20%の削減」というマネジメント指針上の総量規制の合理性や施設再編の基本的な考え方をわかりやすく市民に情報提供し、共有化していくことが重要である。

5.市民の合意形成

 さいたま市のワークショップの取り組みは、大いに参考にすべきである。施設が設置されている当該地域の代表者だけでなく、全市的な利用者市民、納税者市民を委員として構成している点、複合化・集約化する施設の選定からワークショップの合意形成の対象とされている点は、長野市においてもワークショップの運営による合意形成を図るとしていることからも、市民との合意形成の手法、ワークショップのあり方について、議会側も提案を含め、しっかりとした取り組みが求められる。
 「ワークショップ・マニュアル」も長野市版の策定を図りたいものである。

6.市民参画による施設運営

 豊中市の千里文化センター「コラボ」の市民実行委員会による施設運営への参画は特筆である。

 直営施設の運営にあたっての市民参画という事例であるが、指定管理者制度を含めて、施設の複合化や多機能化を見据え、運営主体と市民参画の新しい仕組みとして検討したい課題である。

7.モデル事業・パイロット事業の構築

 公共施設マネジメントの具体を市民に理解してもらうためには、モデル事業・パイロット事業が欠かせない。
 現状では、皐月保育園の改修や篠ノ井市民会館の再編、芹田公民館施設の再編等をモデルとするには、ワークショップ等が位置づけられていないことから難しいと思われる。今からでも遅くはないのだが…。

 市民の意見を聴きながら施設の再編を進めるという市行政側の基本的なスタンスを確立していくうえでも、モデルあるいはパイロット事業の具体的な選定を検討すべきである。

8.基金の創設

 長野市のマネジメント指針においては、基金の創設の必要性が謳われているが、その具体が見えていない(新年度予算における目だしを含めて)。

 さいたま市の7年サイクルによる基金の積み立てと取り崩しによる維持改修の仕組みを参考にしつつ、早期の具体化が求められる。
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