長野市役所駐車場の有料化

 週明けから相次いで「来年1月から市役所の駐車場が有料化されるらしいけれど、どういうこと?役所の駐車場が有料というのは聞いたことがない。布目さんは賛成してきたのか」といった叱責をいただきました。
 脱原発の市民グループの皆さんからの意見をはじめ、24日に連合長野地域協議会との懇談会の折にも指摘がありました。

 ふれあい福祉センター(ボランティアセンター)を利用している皆さんからの声です。

 センター内に駐車場有料化の案内が出たこと、11月中ごろから、駐車場利用者の駐車券に「有料化の案内」がされたことから、ようやく市民の皆さんに情報が行き渡り始めたことによると思われます。

 市では12月1日付「広報ながの」で有料化を案内するとしています。

 掲載している図表は「長野市による議会への説明資料」より。

「やむを得ない」と判断し条例に賛成

 今年の6月市議会定例会に有料化の条例案が提出され、私は市役所利用以外の長時間駐車が常態化している中、やむを得ないと判断し、「庁舎・芸術館利用者に不利益にならないよう、条例運用にあたり利用状況を見ながら柔軟に対応すること」を強く求めつつ、有料化案に賛成してきました。
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 私なりの議決責任を果たさなければと思い、有料化に至る経過と今後の課題をまとめてみました。

目的外駐車の抑制が主目的

 現在の市役所駐車場は24時間無料開放で、庁舎利用者には駐車券で訪問先の駐車印を求めています。24時間無料開放であることから、平日夜間の長時間駐車、土日は朝から満車状態が常態化しています。
 市役所や芸術館に用事のない住民の駐車(目的外駐車)を抑制し、市役所・芸術館を利用する市民のための駐車スペースを適正に確保することが狙いとされています。
 そのために、長時間駐車者や目的外使用者に対して経済的負担を求めることにしたものです。

H28年1月4日から有料化スタート

 H28年1月の新庁舎開庁に合わせ、緑町立体駐車場(現在整備中)と駐車場料金徴収システム(ゲート化)を整備することに。
 現在の第2(第二庁舎南側)、第4(ふれあい福祉センター)、第5(線路の東)の駐車場にゲート・発券機が設置されます。
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駐車料金は原則2時間まで無料…来庁者の約9割が2時間以内使用

 市役所・芸術館利用者のための駐車場として設置管理することが基本とされ、ふれあい福祉センター利用者は、市役所・芸術館利用者と同様の扱いとなります。
 今年1月、2月、年度末の駐車場利用調査では、2時間以内の利用が約9割の結果となったことから、機械処理を含め2時間までを無料とする方針となりました。
 芸術館でのイベント鑑賞利用を考えると、開場17時30分-開演18時の場合には入庫から出庫まで3時間近くかかることから、芸術館利用にあたっては3時間無料を提唱してきた一人ですが、公共交通利用者との公平性を保つ観点から一定の負担(2時間超で1時間100円)をお願いしたいとの市側の対応に、「やむを得ない」と判断しました。
 利用料金は下表を参照してください(見づらいかもしれませんが)。
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全額減免=無料の対象

 ア 市が主催する会議への出席依頼者(委員、役員等)
 イ 芸術館におけるイベント主催者
 ウ 社会福祉協議会が主催する会議については、市に準じる
 エ 議員(議会の判断に委ねる)、記者クラブ
 オ 市の業務により2時間を超えた場合
 全体的に有料化が原則で、例外として減免措置するという制度設計ですが、「2時間まで無料を原則とし、2時間超の場合は有料とする。所要時間無料の対象を列記する。目的外利用は別途有料とする」といった柱建てのほうが、市民的にはわかりやすいのかなとも思いますが…。

概算経費は年4199万円、収入見込みは2276万円

 緑町立体駐車場の維持管理を含めた概算として、年経費に駐車場料金徴収システムに1774万、保守・緊急対応サービスに1450万、場内整理(シルバー人材センター)に850万、消耗品等に124万と合計4199万円を見込み、一方、有料化による収入を2276万円と見込みます。
 1923万円を市が負担することになります。
 従来通り、シルバーによる人的対応だと、2700万円の負担と試算されています。

新庁舎内に事前精算機を設置

 芸術館でのイベントの際、市営緑町立体駐車場などからの出庫時間を考慮し、新庁舎内には事前精算機を導入する予定としています。

庁舎400+ホール350=750台予定⇒開庁時は692台でスタート

 庁舎・芸術館基本計画では750台の駐車台数の確保を予定していましたが、第一庁舎解体後に整備する広場の「立体駐車場整備」を平面整備とし、代替として市営緑町駐車場を立て直すことにしたことから、来年1月の開庁時は692台分の確保にとどまり、庁舎西側の広場整備が完了した段階(H30年4月)でも720台~750台分の確保が想定されている状況です。

広場ロータリーに「ぐるりん号」の乗り入れを検討

 庁舎解体後に整備される広場ロータリーに「ぐるりん号」などを乗り入れ、公共交通利用の利便性を確保するとしています。
 「市役所前」バス停を経由する路線バスの乗り入れについても検討するよう求めてきています。
 これからの課題の一つです。

他市の事例

 市役所駐車場の有料化には唐突感が否めないのは事実です。公的機関の駐車場有料化には市民サービスの観点から慎重でなければならないというのが基本だと考えます。
 しかしながら、第一庁舎・市民会館の建て替えにあたり、庁舎と芸術館を合築したことにより、恒常的に空き駐車場の確保が不可欠となった事情があります。

 因みに、松本市民芸術館には専用駐車場はなく、公共交通の利用及び周辺民間駐車場の利用とされています。

 公的機関、特に庁舎の駐車場有料化は、横浜市や川崎市、千葉市、浜松市など都市部の自治体で実施されています。およそ、1時間無料で1時間超は有料(例えば30分150円)といったケースです。ただし、身障者等や低公害車(電気自動車やハイブリッド車)利用者は所要時間無料とされているのが特徴です。
 公共交通機関利用者との公平性と負担の適正化が目的とされています。横浜市では利用料金にかかわる件ですがパブリックコメントを実施していました。

今後の課題…点検・確認していくべき事柄として

1.「利用状況を見ながら柔軟に対応する」ことをしっかり担保し、利用者の意見も聞きながら、条例を弾力的に運用、あるいは条例の見直しを含め再検討すること。
 特に、芸術館利用の際の「2時間無料」が実態に合うのか、検証が必要です。

2.身障者等の利用にあたり、他市の事例を参考に、無料化を導入すること。
 本来であれば、条例案審議の際に求めるべき課題であったと思います。遅ればせながらですが、強く要請していきたいと思います。
 なお、現在のところ、第一庁舎解体後の広場には「身障者用駐車場」のスペースを設けるとされていますが、詳細はこれからです。

3.ふれあい福祉センター利用者の利便性を確保すること。
 「社会福祉協議会が主催する会議については、市に準じる」とされているものの、ふれあい福祉センターを利用するボランティアの皆さんの駐車場利用については、社協側としっかり詰める必要があります。音読ボランティアや点字ボランティアの場合は、一日センターに詰める場合があり、所要時間無料とする対応が必要だからです。

4.市営緑町立体駐車場からの安全なアクセスを確保すること。
 国道19号を跨ぐことから、広場整備までの期間と、広場整備後の2期間に区分けし、安全なアクセスを確保することが重要です。
 現在設置されている歩道橋の活用方法を含め(例えば歩道橋の延長)、庁舎・芸術館にスムーズにかつ安全にアクセスできる方法を検討していくことです。

5.新庁舎前広場を有効に活用すること。
 第一庁舎解体後に整備される広場の在り方について、路線バス等の乗り入れ、平面駐車場の確保について、利用者視点で具体的な検討が必要です。
 今のところ、まだ概要しか示されていません。新庁舎開庁以降、周辺道路環境の整備と合わせ検討していくことになります。
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6.シルバーの皆さんの雇用を確保すること。
 現在の駐車場の維持管理は、シルバー人材センターの皆さんにお願いしています。このところ、シルバーの皆さんから雇用の継続、仕事の確保について要望をいただきます。
 1月以降も駐車場内の整理はシルバーに依頼する考えが示されてはいますが、雇用の確保等について、しっかり対応することが大切です。

 などなどです。
 11月27日から始まる12月市議会の総務委員会で、しっかりと取り上げていきたいと考えます。

 ご意見をいただきけば幸いです。

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