鷲沢市長の施政方針演説から

 23日から始まった市議会は、今日までが議案調査のための休会日、明日から代表質問が始まります。
 2月23日の議会初日、鷲沢市長の施政方針から、ポイントを紹介します。

《3期目折り返し…残り2年の課題》
 市長は冒頭、3期目の折り返し地点にいることを振り返り、「一歩一歩ではあるが、市政の各般にわたり着実な成果が現れてきている」と総括、任期残り2年の間に、都市内分権の推進、中山間地域の振興、新規就農者の支援と農業振興、公共交通機関の再生、長野市民病院の黒字化について、「やり遂げたい。少なくとも目途はつけたい」としました。また、飯綱高原・戸隠の両スキー場の経営について「何とか黒字化への道筋をつけたい」とも述べました。

 また、「小・中学校施設の耐震化、市役所第一庁舎・長野市民会館の建設など大規模プロジェクト事業をはじめ、必要な公共事業を計画的にしっかり進める。これらにより地域経済を下支えし、景気の回復、雇用の創出を図る」とし、「長野市の将来を見据える中で、Jリーグ基準のサッカースタジアム整備や茶臼山エリア全体の活性化など、検討を進める」としました。

 ⇒「着実な成果が現れている」との総括に異論を挟むつもりはありませんが、市民の暮らしに格差が広がり、安定した雇用が極めて危機的な状況にある、この10年を振り返り、何ができたのか、何ができなかったのかといった角度からの総括も語ってもらいたかったと思います。まちづくりアンケートでは「安定した雇用」が市政に求める第1位の課題なのですから。
 また、スキー場の黒字化は具体策が問われます。累積赤字をどうするのか、何か思惑があるのでしょうか。議会の中で明らかにしていきたいものです。

《新市民会館建設…「H26年度竣工へ着実に」を強調。6月に基本設計とりまとめへ》
 昨年来の焦点の一つ、新市民会館の建設については、「全体構成や平面プランなど建設の基本となる部分の設計案ができ次第、市民や議会、市民ワークショップの意見を聴いて6月頃を目途に基本設計を取りまとめる」方針を明らかに。「H26年度の両施設の竣工に向け、着実に一歩ずつ作業を進める」としました。旧市民会館の解体は5月中に完了する予定で、市役所玄関棟の解体及び第二庁舎渡り廊下の架設工事の実施に着手を予定します。

 ⇒合併特例債の活用期限の延長問題は、12月議会で「ケリがついている」との判断なのでしょう。一切触れませんでした。しかし、市民の間には未だ大きくくすぶっている問題、「何を言っても、計画通りに粛々と進むんだね。」との諦めの声にぶつかります。質問で改めて、市民の意見の反映、市民の合意形成について質すつもりです。

《サッカースタジアム…整備計画見直しか》
 急浮上しているAC長野パルセイロのサッカースタジアム整備問題では、AC長野パルセイロのJリーグ準加盟が「審査継続」になった点について、「チームのJリーグへの入会目標年次と、市のスタジアム整備の目標年次が不一致であったことが理由とされたことから、AC長野パルセイロと協議し、少しでも早期に整備ができるよう努める」と表明。また、チームに対し試合の観客動員数の増加やサポーターの拡大を求めていく姿勢を明らかに。

 ⇒当初案のH27年度(2015年)までに整備する計画を前倒しする可能性を示唆した格好です。H27年度整備は、そもそも、市が支援計画を提出する段階からパルセイロ側とは十分にすり合わせが行われていたはずで、「整備の目標年次の不一致」がネックになるというのは、何ともお粗末というか、背景がよく見えません。
 市長の施政方針では、サッカースタジアム整備は「検討の段階」とされているにもかかわらず、「整備ありき」で進んでしまうことに、「またか!」との思いが募ります。パルセイロの今後の活躍ぶりは、そうはいっても流動的、地域の盛り上がりをいかに組織していくのか、この見通しを担保することが先決だと思います。

《権堂再生…審議会の事業決定受け具体化へ》 
 また、権堂地区の再生計画では、権堂B-1地区の再開発計画が都市計画審議会で可決されたことからか、淡々と報告されました。曰く「権堂地区再生計画に盛り込まれた提案事業を住民主体の『「まちづくり協議会』と共同して進める。権堂B-1地区は法定再開発組合の設立を支援していく」というもの。
 
 ⇒「街の活性化が喫緊の課題」とされる権堂地区、再生計画の提案も大変“きれい”にまとめられているのですが、権堂に「何が無いのか、何が足りないのか」といった肝心のところがイマイチ見えないままに議論が進んでいることに、戸惑いというか焦りを感じている一人です。
 一般質問でも取り上げる予定ですが、議会の責任は重いと思います。

 さて、今議会は、昨年の3.11大震災、福島原発事故から1年を迎える中での議論となります。地域防災計画の見直し、放射能汚染への備えをはじめ、文化芸術拠点施設である新市民会館の建設と会館運営管理計画案の課題、サッカースタジアム、茶臼山モノレール、LRT導入の検討など、大規模プロジェクトの今後の見通しと財政負担、次世代エネルギーパークの是非、屋代線の跡利用、公共交通機関の整備、中山間地域の活性化・農林業の振興、住民自治協議会の自立に向けた課題などが論点になると思われます。
 3月1日に行う一般質問のテーマは、先に報告しましたが、委員会審議を含め、しっかり臨みたいと思います。

 新年度は、「第4次長野市総合計画後期基本計画」がスタート、高齢者福祉計画である「第6次高齢者福祉計画・第5期介護保険事業計画(あんしんいきいきプラン21)」、そして障害者基本計画に基づく「第3期障害福祉計画」、さらに策定中の「教育振興基本計画」などなど、長野市政の骨格的な計画が新たに始まる年、一つの結節点となる年です。《新年度予算案》は改めてとしますが、市長の施政方針から、上記以外のポイントを列記します。(全部を網羅していません。恣意的選択によります)

◆都市内分権の推進…行政の取り組みに消極的な面がみられるとの批判もあり、住民との共同に主体気にかかわる意義を喚起、共有するとともに、住自協の事務局長設置に対して財政支援を試行する。中山間地域に配置してきた地域活性化推進員は、必要となる人材を地区で雇用する経費に対する支援に変更する。
◆公共交通機関の整備…2年間、実証運行してきた9路線の地域循環バスや空白型乗合タクシーについて、7路線を本格運行に移行。バス共通ICカードは、名称を「くるる」とし10月からの運用開始を目指す。中心市街地ぐるりん号は、車両を更新・増車、運行間隔を20分から15分に短縮、運行時間も朝夕1時間ずつ拡大し充実を図る。10月から(100円から150円に)運賃を改定する。
屋代線廃止に伴う代替バス交通のPRを図るとともに、計画の評価指標や利用促進策を検討。一括無償譲渡の申し入れがあった屋代線跡地の活用は、沿線地域の声を聴くとともに沿線市など関係機関と調整し、土地の状況や付帯する鉄道施設などを精査し、長野電鉄と協議の上、今後の方向性を決める。LRTなど新交通システムの導入は、「交通対策審議会」で検討、H24年度に基礎調査を実施、H25年度中に方向性を決める。
◆環境対策の充実、エネルギーの適正利用…太陽熱利用の普及促進を図る補助制度を導入、電力使用の効率化を図る。「次世代エネルギーパーク」をエムウェーブに整備する。地域振興基金を活用して、防犯灯のLED化を進める(H24年度に1億円)。
長野広域連合が計画するごみ焼却施設は、「環境影響評価書」が2月中に公表されることから、建設の同意が得られるよう努力する。
◆文化芸術活動への支援と文化の創造…親子で参加できる鑑賞会など、新たに「子どものための文化芸術プログラム」を実施。新市民会館の運営等ソフト部分は、策定した運営管理基本計画に基づき、引き続き、運営管理実施計画として具体化を図る。貸館業務を中心に行っていた旧市民会館とは異なり、自主事業を積極的に行い、文化芸術拠点施設として「育む」「楽しむ」「創る」「つなぐ」の四つの役割を果たせる計画づくりに取り組む。
中山間地域の活性化…新規就農者支援事業の助成金交付者は、県外出身者を含め21名に。国の新たな事業も活用し農業の担い手の確保・育成に努める。
防災対策の推進…地域防災計画は、新たに「原子力災害対策編」の創設や糸魚川・静岡構造線断層帯による地震の被害想定を加えて見直す。県の地域防災計画との整合を図り、パブコメを実施したうえで決定していく。
産業基盤の整備…新たに県テクノ財団と金融機関との連携による企業コーディネート・サポートチームを編成し、相談体制の充実へ。また補助金・融資制度をセットとしたパッケージ型の研究開発支援資金を創設。中小企業の資金繰りを支援するため「緊急借換え資金」をH24年度まで1年間延長する。住宅リフォーム補助事業を1億円で継続する。
◆子育ち・子育て環境の整備…「福祉医療費給付事業」を拡充。乳幼児等の対象年齢を現行の小学3年生までを小学6年生までに拡大、今年10月の診療分から実施し子育て世帯の経済的負担の軽減を図る。「長野市版放課後子どもプラン」は、新たに7小学校区で校内施設を拡充、計51校区で実施に。また児童センター等の開館時間を利用者負担のもとに延長する。
◆茶臼山公園一帯の整備…北口駐車場から動物園北口までモノレールを設置
大峰新斎場は、新年度に本体建設工事に着手。松代新斎場は地元東寺尾区の合意を受けて、松代地区周辺住民の理解を得ていく段階。
◆長野駅東口の区画整理事業で、複合交通センター用地にバス待機所などの暫定整備を進める。

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