本会議質問の予定原稿より

14日午前、私が行った本会議・個人質問の予定原稿です。
公共交通の利用促進のテーマでは、中央通りのトランジットモール化、路線バスやタクシーの貨客混載に対する問題意識と取り組みは質問ができませんでした。

保健所共同設置の検討打ち切り問題では、”前のめり”で進めてきた市長から「反省の弁」は聞かれませんでした。真摯さが感じられません。
公契約条例の制定を巡っては、「調査・研究」という従来とはトーンが若干異なる答弁に。詳細は続報で。

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取り急ぎ、質問のみの報告です。

保健所の共同設置の検討打ち切りについて

(1)私は、共同設置ありきで進む検討に「市民益は少ない」と疑問を呈し、共同設置を早期に見切りをつけ、医師や薬剤師、獣医師など専門職の人事派遣交流でスキルアップを図ることが、現実的であり、市民益に適った判断であると主張してきた一人です。

検討打ち切りの決定そのものは、収まるべきところに収まったものと受け止めています。

(2)しかし、議会初日の市長発言には驚きでした。いわく「本市が抱える専門職種の確保などの諸課題について県と共有でき、今後も対応していけること、県の保健所業務との間に大きな違いがないことを改めて確認できたことは大きな成果」との発言です。

設置済み保健所同士の共同設置は全国に例がないとはいえ、「みなし派遣」となる職員の身分の問題や、保健センターを中心とする保健行政が市町村業務として切り離されなければならないといった基本的な仕組みが、2年も経たないと判明しないというのは、“お粗末感”が否めません。
また、地域保健法に基づく保健所の業務に「県と中核市で大きな違いがない」に至っては、極めて当たり前のことを改めて確認しただけ、これらは「大きな成果」と言える代物ではありません。

検討の結果、長野市の保健センターを拠点とするネウボラの取り組みや健康づくり事業、犬猫殺処分ゼロを目指す取り組みなど、圏域においても優れた事業展開がされていることを再確認できたことが成果というのであればまだしも、です。「大山鳴動して鼠一匹」、いや鼠一匹もないってところです。

(3)「1年でできないものは2年かけてもできない」が市長の持論。ほぼ2年間に及ぶ検討に割かれた時間と労力は、まさに”失われた2年間”と言えるのではないでしょうかか。保健所共同設置の検討は熟慮なき軽率なトップ判断であったと真摯に反省する弁は聞けないのでしょうか。見解を伺います。

また、今後、県との間において、共同設置方式とは異なる共同運用の手法を含めて検討が復活することはないものと理解しますが、いかがか、見解を伺います。

「公契約条例」、「子どもの権利条例」の策定について

改革ネットで実施した「市長選挙予定候補者に対する公開質問」で、公契約条例の制定、子どもの権利条例の制定等について現職の見解を問いました。

(1)公契約において、税金等が有効に使われ、地域経済の活性化につなげていくことが重要です。地域の公正労働基準が担保される公契約にしていくため、公権力的な規制を規定しない他市の公契約条例及び長野県の契約に関する条例等を踏まえ、市の公共工事や委託事務の品質確保、ダンピング受注の排除、労働者への適正賃金の支払い等を担保する長野市公契約条例の制定が必要であるとの提案に対し、市長は「国・県・他自治体の状況などを注視しながら研究する」と回答、これまでの議会答弁を踏襲するものにとどまりました。

行政用語としての「研究」は、「やらない」と同義語として使用されるケースが多いのですが、どんな問題意識をもってどのように研究しているのか、所見を伺います。

(2)また、子どもの権利条例の制定については、「国の法整備や長野県において策定された条例の効果等も見極めていく中で、必要性も含め、改めて調査検討していく」としました。
子どもの権利条例は、子どもにとっての最善の利益を重視し、子どもを権利の主体としてとらえ、具体的な権利内容を総合的に規定したものです。
「子どもは家族が責任をもって守ればよい。庇護の対象として大事にされればよい。権利ばかりを主張する子どもでは日本の将来はない」みたいな封建的発想を持っているとは思いませんが、「国や県が取り組んでいるから」と他力本願でよいのか。市独自に「長野市は子どもの権利を尊重し施策展開を図っている」とする主体的な市民への、そして何よりも子どもたちにメッセージを送ることが重要であると考えます。併せて見解を伺います。

健康長寿のまちづくり=健康づくり推進条例の制定について

市長は、「健康をテーマにしたまちづくり」を推進したいとしています。

(1)8月に会派で山口県宇部市の「健康づくり推進条例」の取り組みを視察しました。
宇部市では、医師会・歯科医師会・薬剤師会から包括的な条例制定の提案を受け検討が始まったもので、1年をかけた市民ガイダンス、市民ワークショップ、パブリックコメントを通じて、H27年4月から施行されている条例です。
市民全体の健康度を高めるためには、個人の努力だけではなく、社会共通の課題として個人を支える環境づくりを進めることが必要であるとの認識に立ち、「健康づくり」「まちづくり」「ひとづくり」の一体化を図ることを通して「健康文化のあるまちづくり」を推進しようとするものです。

加えて、「健幸長寿のまち宇部」(健康の康は幸せ・幸福の幸)を掲げ「宇部市健康都市宣言」を行っています。

そして、この条例を踏まえ、長野市では健康増進法及び食育基本法に基づく「第三次長野市健康増進・食育推進計画」=「ながの健やかプラン21」に相当する「宇部市健康づくり計画」を背骨にして、高齢者福祉計画や障害福祉プラン、子育てプラン、スポーツ振興計画、教育振興基本計画などの個別計画との連動を明確に位置づけている点が大きな特徴です。

条例を制定することにより、健康長寿のまちづくりの推進体制が明確となり、「健康づくり」「まちづくり」「ひとづくり」の一体化を図り、具体的な方策を健康づくり計画に盛り込むことができたとされます。
健康づくりを行政の共通の統一目標にすることで、全庁横断的な施策展開がまさに具現化できるということであり、市民の健康づくり意識を高めていくことに有効であると考えられます。

また、条例と計画のもとに、40歳以上の市民の健康づくりイベントや講座等への参加や、がん検診の受診に対してポイントを付与し、そのポイントを換金または寄付できる「はつらつポイント制度」が実施されています。さらに、世界中で実施されている住民参加型のスポーツイベントで自治体同士が参加率を競い合う「スポーツチャレンジデー」など、健康づくりに向けた多彩な取り組みを進めています。

(2)健康寿命の延伸、がん検診受診率の向上による早期発見・早期治療、糖尿病予防をはじめとする生活習慣病対策、食の改善などをはじめ、健康をテーマにしたまちづくりのスタートラインとして、包括的条例の制定等に取り組んではいかがかと考えます。見解を伺います。

放課後子ども総合プラン、「一緒に遊ぶ機会の提供」について

(1)放課後子ども総合プラン有料化の説明会が学校区ごとに行われています。地元の児童センターやこどもプラザの館長・施設長、支援員の皆さんからは、「迷っている保護者が多い。有料化により登録児童そのものが減少する。すべての希望児童の受け入れという本来の目的・趣旨が損なわれてしまうこと、子どもの居場所がなくなってしまうことが心配」との声が寄せられています。
説明会の現状と保護者の声は。
 
(2)有料化に向けて、「利用したくても利用できない」という声にいかに応えるのか、プランの充実を如何に加速させるかが問われます。
減免措置の拡大により、利用しない・利用できないと答えた13.4%の救済策となる見通しはどうなのか。エアコンなどの整備、支援員の資質向上、研修機会の拡充、そして処遇改善について、具体的な計画・考え方を伺います。
特にセンター・プラザ共に、支援員、補助員の確保に四苦八苦しています。早期の処遇改善策を講じる必要があります。見解を伺います。

(3)登録児童と未登録児童が「一緒に遊ぶ機会の提供」について、モデル実施が3学校区で始まっています。このモデル事業の目的・趣旨は何なのでしょうか。1週間に1回、わずか1時間で、如何なる効果を期待するものなのでしょうか。
 *利用できない子どもの救済策?
 *はじめて聞いたとする施設長や支援員の皆さんからは「意味がない」との声。目的・趣旨が不明との声。

(4)「希望するすべての児童を受け入れる」とする長野市版放課後子ども総合プランは、有料化により、登録児童が減少し、希望するすべての子どもに門戸が閉ざされることに確実になります。
現状で登録児童の3割から5割の参加が実態。登録しとけば利用したいときに利用できる良さの反映と受け止めるものです。長野市版は、児童センターとこどもプラザをセンター基準で一体的に運用する、学童クラブと放課後子ども教室を一体化させることを特徴とするものですが、無料で実施してきたため矛盾が現れなかったと考えます。

有料化により、希望するすべての児童の受け入れができなくなる根本的な壁にぶつかることが十分に想定されます。どうするのか。居場所を探す子どもの姿、家に閉じこもる子どもの姿が目に浮かびます。

改めて主に低学年の学童クラブである児童センター、学校施設を利用する放課後子ども教室のそれぞれの役割を分けて制度設計を見直すことが必要。百歩譲って、学童クラブに相当する児童センターは有料化、放課後子ども教室に相当する子どもプラザは希望するすべての子どもに無料で開放するといった見直しが必要であると考えるがいかがか、見解を伺います。

部落差別、人権侵害に対する行政の取り組みについて

(1)3月議会で、5年間余にわたり続いている部落差別発言、近隣住民への差別発言事象について、市としての対応を質しました。地域・市民生活部長からは、初動段階での不適切な対応を総括し、「相談者に寄り添った丁寧な対応をはかる、早期解決のために関係団体と一層緊密に連携をとって適切な対策を講じる」との答弁がありました。
残念ながら、未だに連日のように昼夜を問わず、差別発言が繰り返され、つきまとい行為までにエスカレート、その対象は近隣住民にも広がっています。5月には長野地裁で「差別発言禁止等仮処分命令」が決定し、また、7月には「間接強制申立」が決定されていますが、全く沈静化していません。
被害者は、侮辱罪、名誉棄損罪、脅迫罪で刑事告発を検討されているようですが、司法の判断に委ねるだけで、事態が解決するとは思えません。

まずは、3月以降の市の対応と、今日、市行政として何が課題で、解決のために何が必要と考えているのか、伺います。

(2)市民一人たりとも、人権侵害にさいなまれることのないようにしたい。差別を許さない、強い決意のもとに、できることをしなければなりません。
そこで、二つのことを提案します。

一つは、長野市から長野県に対し、県の迷惑防止条例の規制強化を働きかけることです。長野県の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」、いわゆる「迷惑防止条例」は、暴力的不良行為等を対象とするもので、「つきまとい行為等の禁止」条項がなく、今回のような人権侵害行為を規制できない状況にあります。
 新潟県や京都府の迷惑行為等防止条例は、つきまとい行為等の禁止を定め、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則規定を設けています。
つきまとい行為等には、「著しく粗野もしくは乱暴な言動をすること」「その名誉を害することを告げること」などの行為が含まれます。すべて、今回の事態に合致するものです。

二つは、長野市の「人権を尊び差別のない明るい長野市を築く条例」において、差別及び差別を助長する行為に対して、市行政として「指導・助言」ができる規定を設け、勧告等の行政措置を可能にする対策が必要であるということです。
 県レベルですが、熊本県や福岡県の「部落差別事象の発生の防止及び調査の規制に関する条例」を参考にし、具体化できないものか、それぞれ見解を伺います。

公共交通の利便性の向上、利用促進について

(1)「衣食住」に加えて、「交通」の確保は、地域の再生に必須の課題です。
市では公共交通ビジョンを踏まえ策定された地域公共交通網形成計画の具現化が問われる局面となっています。
生活圏域における移動手段の確保、中山間地域と市街地を結ぶ移動手段の確保など交通ネットワークの再構築が問われるとともに、公共交通の利便性の確保による利用促進も問われています。

地域公共交通網形成計画の策定を踏まえ、まず、3点質問します。

1点目。網計画の具体化にあたり、市では、地域公共交通活性化再生法に基づく、国の認定が必要な再編実施計画ではなく、市単独の任意計画となる「実施計画」の策定を進めるとしています。何故、国認定の再編実施計画としないのか、その理由と、「任意の実施計画」における国の支援の如何を質問します。

2点目。網形成計画には、利便性の向上、利用促進に向け具体化すべき課題が並んでいますが、特にミニバスターミナルを含めたパークアンドライドの整備、バスロケーションシステムの早期導入に向けた具体的な計画は如何か。

3点目。今年度におけるノーマイカー通勤運動やもう2回バス乗車運動の取り組みについて。3月議会では、「市内事業者に対し、ノーマイカー通勤運動の参加を呼び掛けるとともに、もう2回バス乗車運動として、くるるの活用などを提案することで、相互に効果的な活動になるよう取り組む」と答弁がありました。
 9月16日から実施される今年の県下一斉ノーマイカー通勤ウィークには、長野市として参加することにしました。一歩前進ですが、市民的な取り組みに広げていく意欲的な問題意識が感じられません。改めて、具体化に向けた問題意識と実施計画、また参加を広げるには「くるるポイント」の特別な恩典設定など政策的に誘導することが不可欠ですが、どのような動機付けを工夫していくのか。伺います。

(2)新田町以南の善光寺表参道・中央通りが県道から市道に移管されることで、中央通りの一体的な整備が喫緊の課題となっています。自家用自動車の通行を制限し、バス、タクシーなどの公共交通機関だけが優先的に通行できる歩車共存道路、いわゆるトランジットモールの具体化が問われます。トランジットモール化に向け、沿線の商店街等の理解と協力は不可欠ですが、どのように進めてくのか、市行政としての決意と工程を伺います。

(3)また、運転手の担い手不足の解消などを目的に、9月1日から路線バスやタクシーの貨客混載が制度的に可能となり、人だけでなくモノも運べるようになりました。過疎地の交通空白地域や交通不便地域で、路線バスの維持・存続による住民の足の確保、モノの提供サービス(例えば買い物、図書館の本)による利便性の向上など課題解決の糸口になると考えます。それぞれ事業者が主体的に検討すべき課題ではありますが、市行政として問題意識をもって検討・対応することが問われると思います。見解を伺います。
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