総務委員会…長野市消防団と意見交換

 8月1日、市議会総務委員会で長野市消防団の皆さんと、「長野市消防団の現状と課題」について懇談会を開きました。

 消防団からは、猪俣正由団長をはじめ副団長(4名)や方面隊長の皆さんに参加いただきました。市消防局長らも同席しました。

 各地域では、分団の皆さんとの懇談会が定期的に開かれており、様々な要望をいただいていますが、市議会として消防団役員の皆さんとの意見交換は初めての取り組みとなります。

 団長から、消防団の組織や活動の現状、団員確保や装備等の充実などの課題について説明報告をいただきました。

団員充足率は99.5%だが…団員確保が喫緊の課題

 長野市消防団は74分団・6方面隊で構成されています。定員3,430人に対し実団員数は3,413人で充足率99.5%、女性団員は62人で構成比1.8%となっています。
 また、中山間地域の6支所では、支所職員が消防団員となる機能別消防団員が47人配置されているそうです。

 しかしながら、団員確保は大きな課題です。団全体の平均年齢は41歳、勤続年数が11年。中山間地域では46歳で21年の平均勤続年数となっています。

 団員の定年を延長(班長以上は70歳、団員は65歳)したことで充足率は高いものの、とくに中山間地域では職場が市街地であることが多く、現実的には厳しい現状があり、「分団の統合」もこれからの検討課題の一つとされます。

装備の充実、安全対策の優先を

 装備の充実による団員の安全対策が喫緊の課題とされました。
 具体的には…

➊現在、各分団に配備されている消防ポンプ車132台、小型動力ポンプ167台は、毎年3台ずつ更新されていますが、適正配置と更新台数の増加の検討。
➋無線機等の配備、長靴・手袋などの無償貸与の検討。
➌バイク隊の安全装備の充実。
➍音楽隊の演奏会制服の更新。

などが指摘されました。
 長靴や手袋は、団毎に対応が異なるそうですが「自前」のケースもあるそうです。団員報酬をプール資金として団で貸与対応している分団が多いようです。これは何とかしなければなりません。

 報酬等をはじめとする消防団員の処遇改善が、この間、議会で取り上げられてきています。
【関連】➡140406「消防団支援法…求められる団員の処遇改善」
 長野市は「長野市消防団員の定員及び任用等に関する条例」の第15条で、「団員の報酬及び費用弁償は、予算の範囲内でこれを支給する」と規定し対応していますが、国が示す算定基準と比べるとかなり低い水準となってます。
 H27年・昨年度から年報酬が各階級一律2,000円の引き上げが行われましたが、低水準には変わりはありません。

 団長は、報酬の引き上げについて「たくさん貰えることに越したことはないが、ボランティア精神で地域防災力の一翼を担っている。安全対策の充実を優先してもらいたい」と述べました。

 極めて慎重にかつ謙虚に述べられたものと推察しますが、報酬等の引き上げとともに、装備面での充実を如何に図るか、議会側への宿題となります。

方面隊体制の効果は…

 長野市消防団は、74分団を基本に、大規模災害への対応や迅速な指揮命令系統を図るため、H24年4月から6方面隊に機構改革されました。

 方面隊体制への移行が、より迅速な出動態勢につながっているかも課題の一つです。

 団では、迅速かつ的確な指揮命令系統を確保するため、これまで分団長が兼務していた方面隊副隊長を分団長経験者の専任とすることを今年から試行しているそうです。

 団長は「白馬村を中心とした神城地震等で迅速な対応が図れた」とし、方面隊態勢の利点・効果が強調されました。大規模災害対応が趣旨ではありますが、効果が更に発揮されることを願います。

消防団協力事業所や消防団応援ショップの拡大も

 長野市では、消防団活動に協力している事業所等に対して、新たに表示証を交付し、協力事業所が地域への社会貢献を果たしていることを社会的に評価する制度を導入しています。
 消防団協力事業所表示制度で、協力事業所の信頼性の向上と、消防団員の活動し易い環境の整備を図ることを目的とするものです。

 現在67社ですが、中小・零細の事業所がほとんどで、大きな規模の事業所の協力が課題とされました。

 また、県が実施している「信州消防団員応援ショップ事業」は、登録店舗が市内で153店舗(県では1042店舗)あるものの、店舗の地域的な偏在の解消や飲食店(現在19店舗)系の拡大が要望されました。

9月議会の委員長報告で取りまとめ

 意見交換会の後、第一庁舎8階の食堂で懇親会を行いました。団長らからはこうした懇談会の継続を求める意見が寄せられました。要望事項への議会としての対応も注目されることになります。

 総務委員会としては、この日の意見交換を踏まえ、9月市議会での総務委員会委員長報告に要望事項を取りまとめていくことになります。
 9月議会の総務委員会でのしっかりとした協議が求められるところです。

 地元の安茂里分団の皆さんの意見も聴きながら、9月議会に臨みたいと思います。

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