9月市議会の論点より[その2]

[その1]に続き…

◆福祉医療費の中学生3年生までの拡充に後ろ向き
 市の子どもに対する福祉医療費は、昨年10月から対象年齢を小学校6年生にまで拡大され、子育て世代における経済的負担の軽減に役立っているところだが、既に長野市を除く県内18市では中学校3年生にまで拡大されている。
 市側は「県の補助は2分の1で、補助対象年齢は入院が小学3年生まで、通院は小学校就学前までであり、対象年齢の拡大に伴い市の単独費が増えている状況。中学3年生まで拡大した場合、市単独費はさらに1億5,000万円増える見込み。中核市レベルでは約半数が小学生までとしており、長野市では昨年10月に小学6年生まで拡大したばかりなので、さらに調査・検討したい」に述べるにとどまる。
 今議会で、対象年齢を中学3年生まで拡大する請願を全会一致で採択した。市の速やかな対応が求められる。

◆ごみ焼却施設灰溶融炉…安全性は確実に確保
 「長野広域連合が計画するごみ焼却施設の灰溶融施設は、炉を固定したままごみ焼却により得られた電気により溶融するもので、国内で最も多き採用されている方式」「ダイオキシン類等の有害物質の排出低減、最終処分量の縮減による最終処分場の延命化、資源化率の向上及び最終処分場の環境負荷低減などか図られることから決定したもの」「焼却設備と灰溶融設備が分離していることから、受け入れの態勢に応じ、焼却灰を溶融せず直接セメント原材料などにリサイクルをすることも可能であり、ランニングコストの縮減も期待される」「H19年度以降に稼働した本市と同じ処理方式による灰溶融施設、10施設においては事故の報告がなく、技術の向上と合わせ安全性は確実に確保されている」
 灰溶融炉設備は、「建設費に15億から20億円、ランニングコストとして3億円から4.5億円と試算」

◆善光寺表参道・中央通り沿いで公衆トイレ整備計画策定
 懸案となってきていた中央通り沿いの公衆トイレの整備について、「新田町交差点から善光寺交差点の間に新たに公衆トイレ2カ所の設置、善光寺山門東の公衆トイレ「御安心処」の整備拡充、店舗等民間トイレの活用、案内表示の設置を柱とする計画を策定」。H26年度中の完成をめざすとする。善光寺山門東のトイレ改修は補正予算に盛り込まれ7,200万円をかける計画。

◆中央通り歩行者優先道路化事業 7億円から7億6千万円へ
 石畳事業で、中国から輸入する石が高騰するなど、6,000万円増える見込みとする。円安影響もあるが、「石」は相場モノ、安い段階で調達する工夫も必要であろう。この点については、建設企業委員会で要望。事業そのものの効果の検証も必要である。

◆地域おこし協力隊、H26年度導入へ
総務省の中山間地域支援対策である地域おこし協力隊を来年度から導入する方向を示し、協力隊員の採用については、移住交流推進機構=JOINのサイトを活用し、応募者による現地視察や現地説明会に取り組む」とする。
「地域おこしと定住促進の二つを実現しようとする画期的な事業」との認識に立ち、年間400万円(人件費200万円・住居や車の借り上げなどの活動費200万円)、3年間の補助となるメリットの大きい財政支援措置を活用することに。

◆野生鳥獣の焼却施設の建設…調査検討へ
 野生鳥獣被害額は長野市で7300万円に上る。「市では、捕獲獣の処分は埋設処理を主とし、食肉加工(若穂地区)も始まったところであるが、焼却による処理も検討しなければならない」
国の鳥獣被害防止総合対策交付金事業として、捕獲獣の焼却施設の建設に国から2分の1が補助される制度があることなどから、「調査研究」へ。

◆総合窓口新システムについて、支所にも導入
 新庁舎に開設予定の総合窓口について、「現行の市民課窓口業務に加え、ライフイベントに伴う福祉関係の手続きの一部も取り扱う予定」。「ICTを活用した総合窓口支援システムは、27の支所にも導入予定」とする。
 新庁舎において、第二庁舎とも連携し、実効性のあるワンストップサービスがどのように実現できるのか、システムのあり方を含め、しっかりと検証したい。

◆市有施設の耐震化率…H25年度中に90%以上に
 小中学校では394棟中349棟で耐震性能が確保、耐震化率は88.6%(4月1日現在)。今年度内に23棟の耐震化が完了予定で耐震化率94%を見込む。
 公立保育園では、H27年度までに耐震改修促進計画の目標値である)%以上を達成させる。

◆道路・橋梁・トンネルの耐震強化
道路防災事業では、対策必要箇所は64か所で事業費は11億5000万円を見込む。橋梁は、補修・補強が必要な213橋について今年度から事業に着手、11億円を見込む。市が管理するトンネルは3カ所、点検を行い今後対応する。

◆給食食材…契約栽培について農協に検討依頼
 「地元産農産物の学校給食への利用拡大を図るため、契約栽培による供給が可能かどうか、課題や対応策を農協に検討を依頼、実現に向け調整していく」
 「農産物のインターネット販売について、インターネットショッピングモール運営事業者と委託契約を締結、長野市版インターネット販売システムを構築し、来年1月頃には開設を予定」

◆まちづくり計画の進捗
 住民自治協議会による「まちづくり計画」の策定状況は、策定済みが第四・若槻・安茂里の3地区、策定中は浅川・柳原・松代・更北の4地区にとどまる。残る25地区中19地区では「地域福祉活動計画」は策定済みで、大豆島・長沼・第一・第二で策定中とされる。
 まちづくり計画の策定は、自分たちのまちを見つめ直し、創っていく、住自協の主体性・自立性を高め、住民のマイタウン意識を醸成していくカギだ。先行事例に学び合い、活動の底上げを図っていくことが重要。

◆常設型の国保直営診療所は存続の方向で
 「中条・戸隠・鬼無里・大岡など5カ所の診療所は基本的に存続の方向で」「信更など出張型診療所については、インフルエンザ予防接種での利用や、複数診療所の医師兼務など効率的な運営に努める」
 中山間地域における医療体制の維持・確保は、住民にとって「命の綱」である。中山間地域の人口減少・高齢化と市街地の医療機関の利用の増大、生活圏域で衣・食・住・医療・移動が完結でき、日常生活が成り立つ地域コミュニにティをどのように構築していくか、医療の確保はその「カギ」だ。

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