長野市コロナ・ワクチン接種…かかりつけ医での個別接種を基本に

早や弥生3月です。春の訪れが待ち遠しいものの、春を満喫できる「日常」の回復が最優先ですね。

大阪、京都、兵庫3府県の緊急事態宣言が2月28日をもって解除されましたが、医療関係者からはコロナ感染が再び拡大し、病床逼迫を懸念する不安の声が強まっています。人の移動が増加する年度替わりを控え、感染力が強いともされる変異ウイルスなどの懸念材料は多く、「第4波」への警戒と備えがなお問われる局面といえるでしょう。

さて、新型コロナ対策の切り札として期待されるワクチン接種。16歳以上を対象に無料(公費)で行われます。16歳以上の制限は、現在薬事承認されているファイザー社の新型コロナワクチンが16歳以上を薬事承認の対象にしているからです。

長野市は15日付で、新型コロナウイルスのワクチン接種や小中学校へのタブレット端末配備を進めるため、5億3,100万円を追加するR2年度一般会...

長野市…65歳以上の高齢者、約140の医療機関で個別接種へ

国において、医療従事者の先行接種が限定的に始まり、4月12日からは高齢者への接種を始めるとされる中、長野市は3月1日、高齢者へのワクチン接種体制について、市内約140カ所の医療機関=「かかりつけ医」や診療所などで行う「個別接種」を基本とし、補完のため「集団接種」を行う方針を発表しました。国は4月12日から高齢者への接種を始める計画ですが、市町村へのワクチン供給の具体的なスケジュールは不明です。

長野市保健所健康課の提供資料より

かかりつけ医での個別接種は、身近で基礎疾患や既往歴が把握され、副反応にも対応できることに大きな効果が期待されます。「早くて近くて安心」をコンセプトにして注目される「練馬区モデル」に倣う対応ですが、医師会の協力のもとに個別接種を基本とした市の方針は、高く評価されると思います。

市内高齢者8万人を想定

一般接種はまず65歳以上の高齢者からです。市内の高齢者は111,468人(R3.1.1現在)。高齢者のインフルエンザ予防接種率が72%(R2)であることを勘案して(R1年は60%)、8万人余りを見込んでいます。

米国・ファイザー社製のワクチン供給を想定し、2回接種を計画しています。

ワクチンが順調に供給される場合で、12週・約3ヵ月で高齢者向け接種が完了できる計画となっています。1回目から3週間の期間をおいて2回目の接種になります。

実施する医療機関や集団接種の会場は3月下旬に公表される予定です。

「接種券」の案内後、かかりつけ医に事前に電話予約

「個別接種」では、かかりつけ医や身近な医療機関などに事前に電話し、予約してから接種することになります。3月下旬から送付予定の「接種券」が必要です。

補完的に集団接種も、市内6会場を検討中

「個別接種」を補完する「集団接種」は、かかりつけ医がいない市民等に対応するためとし、最大6会場(上図・候補会場をで討中)で、水・土曜日の午後に実施する予定とします。今後、開設される「ワクチン接種コールセンター」に事前の電話予約が必要です。

1回目と2回目が同一会場となるように調整するとします。

接種開始時期や接種スケジュールの詳細は調整中

しかし、ワクチン供給の見通しが不透明なことから、接種開始時期や接種スケジュールの詳細は今後調整するとしています。こればかりはやむを得ません。

また、市では個別接種を実施する医療機関に対し、ワクチンの管理・接種・記録等にあたり別途支援することを検討するとしています。

副反応への懸念は拭えませんが、副反応への十分な対策を前提に、ワクチン接種の効果が懸念を上回ると考えます。できる限り、ワクチンを接種されることを呼びかけたいと思います。

いずれにせよ、カギは国がワクチンの供給計画の具体を早期に市町村に明示し、市町村が混乱なく接種体制を進められることです。

長野県が発表している現時点でのワクチン接種順。

1 医療従事者等

新型コロナウイルス感染症患者(新型コロナウイルス感染症疑い患者を含む)に直接医療を提供する施設の医療従事者

※新型コロナウイルス感染症患者の搬送に携わる救急隊員等及び患者と接する業務を行う保健所職員等を含む。

2 高齢者

令和3年度中に65歳以上に達する方(昭和32年4月1日以前に生まれた方。)

※ワクチンの供給量、時期等によっては、年齢により接種時期を細分化する可能性があります。

3 基礎疾患を有する者

1.令和3年度中に65歳に達しない方のうち、以下の病気や状態の方で、通院/入院している方

慢性の呼吸器の病気

慢性の心臓病(高血圧を含む。)

慢性の腎臓病

慢性の肝臓病(ただし、脂肪肝や慢性肝炎を除く。)

インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病

血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)

免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を含む。)

ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている方

免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患

神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障がい等)

染色体異常

重症心身障がい(重度の肢体不自由と重度の知的障がいとが重複した状態)

睡眠時無呼吸症候群

2.基準(BMI30以上)を満たす肥満の方

4 高齢者施設等の従事者

高齢者等が入所・居住する社会福祉施設等(介護保険施設、居住系介護サービス、高齢者が入所・居住する障がい者施設・救護施設等)において、利用者に直接接する職員

5 60~64歳の方 ワクチンの供給量によっては、基礎疾患を有する方と同じ時期に接種
6 上記以外の方

ワクチンの供給量を踏まえ、順次接種

※ワクチンの供給量・時期等によっては、年齢により接種時期を細分化する可能性があります。

3月議会の大きな論点の一つに

3日から始まる市議会代表質問ではワクチン接種体制が喫緊の課題として大きな焦点になります。市議会初日に市長は「国が定める優先順位に従い、高齢者や基礎疾患を持つ方から順次、接種券を送り、接種方法や予約方法などを周知する」としました。今日の発表で接種や予約の方法の基本が示されたことになります。

報道によると、一般向け接種に向け冷凍庫(ディープフリーザー)は3月中には県内全77市町村に1台以上搬入、6月末までに計204台が配分される見込みとされます。

接種の優先順位は、重症化リスクの高い65歳以上の県内約65万人から始め、約12週間で終える想定。次いで慢性の呼吸器疾患や心臓病といった基礎疾患で通院・入院している人、高齢者が入所・居住する施設などの職員、60歳~64歳の順に進め、その後、16歳以上の県民全員に広げることになります(上表の県資料も参考に)。

▶個別接種を実施する医療機関の最終見通し、▶自主申告とされる基礎疾患を持つ市民への具体的な周知、▶副反応に対する認識・理解の周知による接種勧奨、▶医療機関における副反応への対応、▶ファイザー社製以外のワクチンへの対応、▶接種記録の管理と活用、▶実施医療機関への支援を含めた財源確保の見通し、▶高齢者・介護施設等における従事者の同時接種、▶インフルエンザの流行・発熱患者への備えと対応などをはじめ課題が山積です。

逐次、情報を更新していきます。

続報です。【4月9日追加】

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