不採算のアルピコ交通3路線…廃止代替バス路線で存続へ

新型コロナ感染警戒レベルが全県で「1」に引き下げられ、ワクチン接種が医療従事者を対象に先行して県内一部で始まりました。長野市におけるワクチン接種の計画全容はワクチンの供給体制が定まらず、まだ明らかになっていません。いずれにせよ、気を緩ませることなく、引き続き感染防止に努めましょう。


さて、アルピコ交通㈱が自主運行による路線維持が困難として不採算バス路線、3路線について廃止協議を申し入れていた問題で、長野市は赤字分を補填する廃止代替バス路線として存続させる方針を16日の市議会・政策説明会で明らかにしました。

地元安茂里地区の2路線が含まれることから、事前に説明を受けてきています。

結果オーライなのですが、バス事業者の路線バス維持をめぐる環境はコロナ禍のもと極めて深刻です。

廃止路線は、北屋島線・犀北団地線・小市団地線の3路線

路線の廃止協議の申し入れは、H30年度(台風災害・コロナ感染症以前)で、北屋島線(⻑野駅〜古牧⼩学校〜北屋島)が1,800万円の赤字、同じ系統で運行している犀北団地線(⻑野駅〜裾花⼩学校〜犀北団地)・小市団地線(⻑野駅〜⼩市団地)の赤字は1,760万円に上るとされ、これ以上の赤字を抱え込むことはできないとの経営判断によるものです。

具体的な理由として、➊コロナ禍のもと、路線バスの利用者が減少し、現在、例年の8割ほどまでに回復しているとはいえ、赤字幅がさらに広がっていること、➋路線バスの赤字分を補ってきた高速・貸切バス事業の利用が激減、回復が見込めない中、より厳しい経営状況に追い込まれていること、➌乗務員の長時間勤務等により人件費の圧縮を図っているが、「働き方改革」により拘束時間の短縮を求められているため、今後は新たな人員配置による人件費の増加が見込まれること、➍朝・夕の通勤・通学時間帯に利用者が集中し、そのピーク時に合わせた人員・車両を配置をしていることから、大幅な経費削減が図れず、利用者が少ない日中や通勤・通学と反対方向への便についても運行せざるを得ない状況にあることなどが挙げられています。

長野市…廃止代替バスとして存続、沿線住民と協議し10月から

長野市側は、当該の3路線が、朝夕の通勤・通学時間帯には一定の利用があり、路線の存続が求められると判断、市が補助金を交付し「廃止路線代替バス」として維持し、市民の足を確保するとしたものです。ただし、利用状況を精査し、日中の減便を含めた運行内容の見直しを図るとします。

年間補助金は3路線計で3,200万円を見込み、7月までに事業者・該当地区と協議の上、運行の見直し、利用促進策を検討し、ダイヤ改正等の見直し周知期間ののち、10月から廃止代替バスの運行に移行する予定です。

市内では、これまでに廃止代替バスを篠ノ井新町線や金井山線、大豆島保科温泉線など6路線で運行、8,700万円をバス事業者に補助しています。とはいえ、事業者にとっては収益を上げる路線運行にはならず、市から委託されて市民の足を守る事業を担うということになります。

市の政策判断を評価、利用促進へ抜本的な施策展開が求められる

私は、上記3路線の朝夕の利用者数をみると、大型のバス車両が必要なことからも廃止代替として路線を維持確保する政策判断は評価します。

一方で、昨年の地域公共交通活性化再生法の改正により、地方自治体にマスタープランとなる「地域公共交通計画」(従来の地域公共交通網形成計画、長野市は策定済み)の策定を努力義務(原則としてすべての自治体が策定)とし、地域の多様な輸送資源(自家用有償旅客輸送、福祉輸送、スクールバス等)も計画に位置付けることとしました。

市民・住民の足が途切れないようにすることに力点が置かれ、人口や住民の年齢層など地域の実態に応じて(1)コミュニティバス(2)乗り合いタクシー(3)マイカーを使う自家用有償旅客運送―といった存続の選択肢を検討。事業者を公募するか、自治体が直接運営する取り組みも盛り込んでいます。

今回の事案では、通勤・通学といった朝夕の輸送量を考慮することが不可欠ですが、日中の利用促進と合わせ、地域コミュニティバスへの転換との組み合わせとか検討できないものかと考えます。特に日中の減便・ダイヤ見直しには利用者の皆さんの理解を含め、チェックが必要です。

更に、長電バスの不採算路線への対応も気がかりな点です。情報収集に努め、市民の足が守られるように努めたいと思います。

県及び長野市の3月補正予算や新年度予算案では、危機に瀕する公共交通の維持に向け、コロナ禍への対応として新たな支援策が盛り込まれています。内容を吟味し、さらなる提案につなげていく所存です。

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