約14億円の12月補正予算案と12月議会の課題

26日付ブログの続報です。

11月26日、12月市議会定例会が始まりました。会期は19日間で12月4日までです。 総額13億9,990万円の長野市一般会計補正予算案を...

総額13億9,990万円の12月補正予算案

約14億円の補正予算案で、補正後の予算規模は2254億4700万円余と最大規模になります。新型コロナのPCR検査体制の拡充や、災害復旧費、災害関連死として認定されたご遺族への災害弔慰金などが盛り込まれました。

歳入(財源)は国・県支出金約5億円のほか、ふるさと応援寄附金2億、財政調整基金からの繰入1億9,000万、市債4億9,400万等となります。

市民生活に直結する事業・施策を中心にピックアップして紹介します。

市民病院でのPCR抗原検査に一部助成…456万

長野市民病院では10月1日から、社会活動や企業活動のために新型コロナウイルス検査を希望する無症状の市民を対象に、新型コロナウイルス抗原検査(唾液による抗原定量検査)を実施しています。公費負担はなく、12,000円の検査料で、毎週月~木10:30~11:30、1日10人までの完全予約制となっています。申し込みは【健診センター:電話番号026-295-1171(直通)】です。社会活動や企業活動のためのPCR抗原検査において市独自の助成を求めてきていますが実現はしていません。しかし、一部助成が始まることになりました。

12月補正予算では、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患を有する者(無症状者)で希望者を対象に、市が7,500円を負担し、自己負担4,500円で検査できる事業を盛り込みました。

第3次地方創生臨時交付金(約2億円)を充当させる考えのようです。高リスクの高齢者と基礎疾患者に限定されているとはいえ一歩前進です。希望する無症状の市民(例えば特定された濃厚接触者の接触者など)に対する抗原検査への助成の実現とエッセンシャルワーカーに対する定期的検査の実施が課題として残っています。

かかりつけ医におけるPCR検査を支援…2,800万

県との連携事業で、インフルエンザとの同時流行に備え、検体採取を行う医療機関(かかりつけ医)を支援するもので、52医療機関に各100万及び2医師会に各200万を支援します。県目標の1,600人の検査に対応できる態勢を作る一環とされます。

これまでは、保健所とPCR検査センター、5つの医療機関でしかPCR検査が受けられませんでしたが、国の方針を受けてインフルエンザとの同時流行に備える国の方針を受けて、PCR検査体制を拡充するものです。

9月議会段階では約20医療機関とされたかかりつけ医の検査が52医療機関にまで拡大されることは評価したいと思いますが、未だに医療機関は公開されていません。

公費負担による行政検査とされるため、検体採取をするか否かはかかりつけ医の判断によることになります。発熱や味覚障害など何らかの症状がないと、この事業の対象にはなりません。

コロナ対策で新生児臨時給付金5万円を支給…1億185万円

1人10万円が支給された特別定額給付金は、4月27日の基準日に住民基本台帳に記載されている市民を対象としたことから、例えば妊娠中の胎児は対象外となり、出産を控える世帯には「一番お金が必な時に対象とならない」等の不公平感が広がっていました。

全国的には、基準日以降に生まれた新生児を対象に独自に給付金を支給する自治体が結構あり、私も市に実施を求めてきましたが、なかなか実現に至りませんでした。

ようやく、基準日の翌日=4月28日から12月31日までに出生した新生児を対象に1人当たり50,000円を給付することになります。約2,000人が対象と見込まれています。この事業も第3次地方創生臨時交付金充当予定です。

小中学校のトイレ様式化に5億6,320万円…洋式化率66.7%に

国庫補助事業の採択により、5校5棟(小学校3・中学校2)でのトイレの洋式化が進みます。これにより学校トイレの洋式化率は66.7%(R2年4月段階では54.3%)に。工事は来年度に繰り越します。

学校の内訳は、吉田小・南中校舎(3か所)/朝陽小・北校舎(6か所)/下氷鉋小・南校舎(3か所)/三陽中・南校舎(4か所)/東北中・北校舎(8か所)だそうです。

計画的に、そしてできるだけ早期に完全洋式化を実現したいものです。

公立保育園に保育業務支援システムを導入…4,480万円

公立保育所に保育業務支援システムを導入するにあたり、保育所29園にタブレット端末230台を配備し、LGWAN回線を利用したWi-Fi環境整備を進めるもの。

大規模な保育所を中心に事務をサポートする人材配置が進められていますが、さらなる人材配置と併せて、保育士の皆さんが保育に集中できるよう保育業務を支える態勢を作っていくことが課題です。

コロナ禍・利用者減少の公共交通機関への支援に5,910万円

路線バスの維持支援として廃止路線代替バス・7路線に対して運行補助を増額するものとして3,820万円。また長野電鉄・しなの鉄道に対する支援として2,090万円が盛り込まれました。

台風19号・7月集中豪雨等の災害復旧費…1億5,200万円

12月議会の課題・論点

12月定例会には、補正予算案をはじめ、公契約等基本条例案、太陽光発電の環境や生活への悪影響を抑止しつつ再生可能エネルギーの普及を進めるための条例案などが提案されています。

実効性のある公契約等基本条例へ

公契約等基本条例案は、公契約等に関し、基本理念を定め、市や受注者の責務を明らかにし、公契約等の公正性・競争性・透明性を高め、良好な公共サービスの提供を確保するとともに、労働者等の労働環境の向上を図り、地域経済の健全な発展や市民が安心して暮らせる持続可能な地域社会の実現に寄与することを目的に定める新しい条例です。

条例骨子案に対するパブコメでは244件もの意見が提出され、とても関心の高い条例案となっています。

9月に実施された「(仮称)長野市公契約等基本条例(案)骨子」に対するパブリックコメントの結果がこのほど明らかになりました。 ➡意見募集の結...

私は、市独自の賃金下限額の導入等を求めてきましたが、パブコメでは、設定を求める意見が24件に対し、設定すべきでないとする意見が28件と、ほぼ拮抗する意見が提出され、骨子案を大きく修正変更するまでの力とはなりえていません。

しかしながら、パブコメを踏まえ、「労働者に一人親方を含むことの明確化」(労働者の定義)、「労働環境の向上の明確化」(基本理念)、「労働者の相談窓口の設置」(労働者の申出制度)、「下請負契約における元請負者の責任の明記」の4点について、条例案に反映されることになりました。

条例案は、いわゆる理念条例ですが、一人親方や派遣労働者も対象とし、工事請負契約や業務委託契約にとどまらず指定管理者協定も対象にするなど、理念条例としては完成度の高いものになっていると考えてはいます。

問題は、建設工事の場合に、重層的な下請け構造のもと、提出を義務付ける「労働環境報告書」で支払われている賃金実態・労働実態を正確に把握し、賃金をはじめとする労働環境の向上に実効性あるものとして機能させることができるかにかかっています。

また、業務委託契約や指定管理者における労働者の労働環境の向上でも、まずは実態把握が正確にできるような仕組みにしていくことが重要です。

全般的に、すべての公契約において、労働者の賃金・労働環境の向上に資する実効性のある条例として運用されるよう、問題提起を続けていきたいと考えています。

太陽光発電…20kw以上の施設が届出対象に、住民説明会・事前協議制盛り込む条例に

これまで届出対象を50kWとしたガイドラインでは、50kW未満の施設では事前説明がなされず、環境への影響が懸念されること、また再生可能エネルギーの有効活用・太陽光発電設備の導入推進の必要性から、実効性を担保するために条例化するもので、条例名は「太陽光発電設備の設置及び地域環境との調和に関する条例」です。

出力20kW以上を届出対象とし、事業区域の境界から50m以内の住民等を対象にした説明会の開催及び事業者と住民の協議の新設、砂防指定地や面積3000㎡を超える事業に事前協議制度が新設されます。

ガイドラインから規制を強化するものとなっています。新規条例の施行前の駆け込み整備が懸念されますが、適正に運用されるようチェックしていくことが大事です。

災害復興、コロナ対策に新年度予算編成などが論点に

12月市議会定例会では、災害復興、逃げ遅れゼロに向けた避難体制の構築、新型コロナ対策では、感染状況の現状認識に始まり、年末に向けて深刻化する雇用危機への備え、PCR検査体制の拡充と医療機関等の態勢整備などが論点になると思われます。

また、厳しい財政状況の下での新年度予算編成の在り方、第5次総合計画後期基本計画の策定方針、公共施設見直しにおける個別施設計画の住民合意の形成、気候変動に対応しうる第3次環境基本計画(地球温暖化対策地域推進計画と統合し、新たに策定する地域気候変動適応計画と生物多様性地域戦略を包含する計画へ)の策定、子どもたちの学びの環境、城山動物園の存続・城山市民プールの廃止・少年科学センターの(仮称)ながのこども館への再編を内容とする城山公園ふれあいの森再整備方針(別稿で報告予定)、会計年度任用職員制度の効果と課題なども大きな関心事です。

まだまだ他に課題山積ですが…。

今議会は本会議での質問ありません。というか、監査委員に就いたことから、任期中の1年間は、議会の慣例申し合わせで、監査委員の守秘義務との兼ね合いから質問をしないことになっているため、質問ができません。法制度的に禁止されているわけではありませんから、慣例打破という戦法もありですが、みんなから止められています??。残念ながら…。

その分、委員会審議を中心に市政全般をしっかりチェックしたいと思います。

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