「戦争法」強行採決から5年…廃止へ粘り強く

9月19日は「戦争法」強行採決から5年を迎えた日でした。

菅政権によっても、憲法が禁ずる集団的自衛権の行使を容認する「戦争をする国」への歩みが継承されています。

「戦争法はいらない」とする世論は、5年を経てもなお根強いものと思います。廃止の声を粘り強く上げ続けたいと思います。

中央段階における平和フォーラムの取り組みと、社民党の声明を紹介します。

戦争法強行採決から5年 国会前に3500人

 戦争ができる国づくりをすすめる戦争法が強行採決されてから5年、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が主催する集会が国会正門前で行われ、3500人が集まりました。
 主催者を代表し、小田川義和共同代表が憲法を破壊する安倍政治の継承をやめさせようとあいさつをした後、福島みずほ議員(参院・社民党党首)、辻元清美議員(衆院・立憲民主党)、志位和夫議員(衆院・共産党委員長)ら野党国会議員からの発言がありました。福島議員は、防衛費の拡大、南西諸島での自衛隊基地強化などにふれ、憲法9条破壊を阻止しようと訴えました。辻元議員は、地元高槻市で19日行動を継続してきたことを報告したうえで、軍事予算を医療や温暖化対策、子どもの教育などに振り分けること、野党を力を束ねて大きく政治を変えていこうと自公政権からの転換を求めました。志位議員は敵基地攻撃能力保有は日米一体化して敵国を焼け野原にするもので、憲法9条では断じて認められないとし、安倍政治の負の遺産を打破していこうと訴えました。連帯のあいさつでは上西充子さん(法政大学教授)がデモンストレーションの重要性や、コロナ禍においては大集会だけではなく小さな集会を積み重ねていくことの重要性を述べました。「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会の木村辰彦さんは、防衛省が辺野古の軟弱地盤対策のために申請した「設計概要の変更申請」について、沖縄県知事が自信をもって申請を不承認とできるよう、多くの人から意見書を県に出してほしいとよびかけました。安保関連法に反対するママの会の町田ひろみさんは、保育の現場やPTAの現状について話し、身近なところから声をあげていくことで民主主義を根付かせようと話しました。
 集会では参加者の間を極力あけるように訴え、シュプレヒコールをしないようにしましたが、憲法破壊を許さず、政治を変えていこうとする人々の熱気が伝わる行動となりました。


2020年9月19日

「戦争法」を廃止し、「安倍なきアベ政治」の暴走を止めよう(声明)

社会民主党

 5年前の今日、多くの市民と社民党はじめ立憲野党が反対する中、憲法違反の「戦争法」(平和安全保障法制)の採決が強行されました。改めて「戦争法」の廃止を訴えます。平和主義・立憲主義・民主主義を破壊する暴走を続けた安倍首相は、「丁寧な説明」という国民との約束をいっこうに果たさないまま退陣し、安倍政権の継承・発展を唱える菅新政権が発足しました。内閣は替わりましたが、私たちは決してあきらめることなく、「戦争法」の廃止と「安倍なきアベ政治」の暴走を止め、平和主義・立憲主義・民主主義の回復を勝ち取り、政治を取り戻す決意であることを表明します。

 安倍政権は、「積極的平和主義」と称して日米同盟を強化するとともに、「共謀罪」(テロ等準備罪)や特定秘密保護法、集団的自衛権行使を容認する「戦争法」などを強行し、「戦争できる国」づくりを進めてきました。この5年間も、南スーダンPKO部隊に対する駆け付け警護や宿営地共同警護の新任務付与、「集団的自衛権行使の裏口入学」と批判されてきた米艦や米空軍爆撃機の防護の実施、弾道ミサイル警戒にあたる米イージス艦への洋上給油、「多国籍軍・監視団」(MFO)への国際連携平和安全活動の初適用など、「戦争法」の既成事実化と日米の軍事一体化の実績づくりを着々とすすめてきました。米領グアム沖に向かう北朝鮮の弾道ミサイルへの「存立危機事態」の拡大適用の可能性も否定されていません。そして閣議決定だけで自衛隊を中東へ派遣し、「専守防衛」の枠を越えた敵基地攻撃能力の保有を検討しています。

 防衛関係費は、6年連続で過去最高を更新し、8年連続の増額となり、膨張が止まりません。2020年度予算には、戦闘機F2の後継機の開発費111億円が初めて計上され、また海上自衛隊の中東派遣に関する護衛艦の燃料費や人件費、護衛艦いずもの空母改修費なども含まれています。最新鋭ステルス戦闘機F35Bやイージス艦搭載システムなどの購入で、後年度負担の残高がますます膨らんでいます。トランプ米政権は、在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)を巡り、日本に対し現行から5倍の増額を求めていましたが、今度は、エスパー米国防長官が防衛費自体のGDP比2%以上への引き上げ要求を突きつけてきました。

 安倍前首相は、退陣表明後、異例の談話を発表し、抑止力の強化を名目に、事実上の敵基地攻撃能力を包含した、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を打ち出しました。平和主義や戦争放棄という憲法の理念に背き、戦後曲がりなりにも建前として堅持してきた「専守防衛」や「必要最小限度の実力」すらかなぐり捨てる敵基地攻撃能力の保有の検討をすすめる暴挙をみとめることはできません。事実上の敵基地攻撃能力の保有は、周辺国の緊張を不必要に高め、北東アジアの軍事緊張も激化させかねません。憲法を逸脱する敵基地攻撃能力保有の検討を断念するよう強く求めます。

 社民党をはじめとする野党は、2015年に安倍内閣によって成立した「戦争法」(平和安全保障法制)は違憲であり、専守防衛を逸脱し立憲主義を破壊するものであることから、2016年2月につづいて、19年4月にも廃止法案を提出しました。また、「戦争法」廃止署名や、「戦争法」違憲訴訟も広がりを見せています。私たちは決してあきらめません。大学入試の英語民間試験や記述式試験の導入中止、9月入学撤回、恣意的な検察庁法改正案の廃案、一律10万円給付の実現など、野党と市民が力を合わせれば、政治を変えることができます。私たちは、「戦争法」廃止を目指し結成された「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」をはじめとする広範な市民の皆さんとともに、「戦争法」の廃止と平和憲法の改悪阻止をめざし、「安倍なきアベ政治」の暴走を続ける安倍亜流の菅新政権をなんとしても打倒します。

以上

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