安倍首相の辞任

8月28日の安倍首相の辞任表明から2日、永田町では「ポスト安倍」レースが加速しています。

2012年末に発足した第2次安倍政権は、憲政史上最長となる約7年8カ月続きましたが、突然の幕引きとなりました。

「1強」といわれる中、立憲主義、民主主義を壊し政治を私物化してきたアベ政権・アベ政治の”終わり”を求め続けてきた一人ですが、「負託に応えられない」と決断せざるを得ないほどに病状が悪化しているということなのでしょう。一日も早い回復を願うものです。

早速に自民党内ではポスト安倍レースが激しくなっています。安倍政治は保守政治の中でも異質でした。次期首相選びが、自民党・保守政治のコップの中での争いとは言え、一強政治の「負の遺産」を教訓とし、少なくとも、立憲主義・民主主義の回復につながる政権の樹立に向かってほしいものです。もっとも、今の自民党にそうした自浄作用が働くとは考えにくいですが…。

市民と野党の力が試される政治局面になります。自公政治に代わる新しい国民のための政治を切り拓きたいものです。

社民党幹事長の談話を掲載します。

2020年8月28日

安倍首相の辞意表明について(談話)

社会民主党幹事長 吉田忠智

1.本日、6月18日以来、約70日ぶりの記者会見を開いた安倍首相は、「病気が理由で正しい判断ができなくなる」、「国民の負託に自信をもって応えられる状態でなくなった」などと説明し、正式に辞意を表明した。定期健康診断から約2か月後の今月17日に、安倍首相は慶応大学病院で検査を受け、24日にも再検査をしていた。首相の体調を案じていたが、突然の辞意表明に驚いている。元気であれば、臨時国会を開き、新型コロナ対応をはじめとする諸課題について、しっかり説明してほしかった。結果として、突然の幕引きの格好になったが、病気と闘ってこられた安倍首相に、お見舞いを申し上げるとともに、まずは病気の療養に専念していただきたい。

2.安倍政権は、8月24日に2799日となり、連続在職日数も歴代最長になったばかりである。政権の評価はただ長ければ良いというのではない。国民からすると、安倍政権の実績は見当たらず、負の実績ばかりが目立っている。アベノミクスや安倍外交をはじめ、安倍政権の進めてきた政策の行き詰まり・破たんは明らかである。新型コロナ対応も、混乱と無為無策が続いていた。安倍首相は、拉致問題、ロシアとの平和条約、憲法改正が志半ばであり、「断腸の思い」というが、最後まで道半ばとなった。

3.安倍政権は、強行採決の連発など議会制民主主主義を破壊する暴挙を繰り返し、国会と憲法をないがしろにし、民主主義そのものを劣化させてきた。集団的自衛権行使容認を含む安保関連法(「戦争法」)の強行や特定秘密保護法・共謀罪法を強行し、何度も基地建設反対の民意が示された沖縄に対し、辺野古新基地建設を強行し、民主主義と地方自治の蹂躙を続けてきた。森友学園や加計学園、「桜を見る会」など見られるように、公文書の改ざん、虚偽答弁、データねつ造、偽装や隠蔽は日常茶飯事となり、ウソとごまかしの政治が続くとともに、「忖度政治」が横行し、行政と政治の私物化が進み、政治腐敗も深刻となった。しかし安倍首相は、「政治は結果責任」、「任命責任は私にある」といいながら、一切何の責任もとらずに退陣へと至るのは、極めて遺憾である。

4.この間、政権が進めてきた新自由主義的構造改革が私たちの社会自体の危機への対応の限界値を非常に低くさせた。国民が切実に望んでいるのは、政治自体の転換であり、国民の命と健康、くらしを守るための政治の実現である。立憲主義、民主主義、平和主義の破壊を続けてきた、7年半余りのアベ政治の暴走の検証と総括が問われている。そうした意味で、安倍政権の当事者たちによる密室談合や権力の私物化は許されない。新政権は選挙管理内閣として、当面する新型コロナ対応に全力をあげるとともに、与野党双方が今後の政治についてしっかり方向性を打ち出したうえで、早期に国民の信を問うようにすべきである。社民党は、「アフター・コロナ」を見据えたポスト「アベ政治」の政策を展望し、改憲阻止と国民の命と健康、くらしを守るための政治の実現のために、野党共闘の深化と総選挙準備に全力をあげる。

以 上

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