資源再生センター火災の教訓と再発防止策を質す【6月議会の質問より➊】

震度6強。18日午後10時22分ごろ山形県沖を震源地とする地震では、新潟県・山形県を中心に被害が広がっています。震度2とされる長野市では、自宅で「あっ!地震」と気付くくらいの揺れでした。
被災地の皆さんに心からお見舞い申し上げます。

さて、6月議会で行った質問の報告です。まずは、「資源再生センター火災事故の教訓と万全な再発防止策の構築について」です。

資源再生センター、7月1日から不燃ごみ受け入れ再開へ

火災により稼働中止となっている資源再生センターの再稼働について、自動火災報知設備の復旧のめどが立ったことから、7月1日からピットを使わずに直接処理工程に投入する方式で、不燃ごみの受け入れが再開されることになりました。

4月4日未明に発生した長野市資源再生センターの火災は、7日午前8時、79時間後にようやく鎮火したものの、施設は使えず、不燃ごみの収集は民間事業者の協力により4月15日再開にこぎつけ、現在に至っています。

火災の教訓、再発防止策が6月議会の焦点に

6月議会では資源再生センターの火災の再発防止策が大きな焦点となりました。

「長野のごみ処理施設火災、通報遅れで大規模化か、報知機作動から1時間20分」、5月10日付信濃毎日新聞の朝刊です。「え~っ!」と感じながら読まれた市民の皆さんは多いのはないでしょうか。

私自身、「通報遅れ」という事態とともに、資源再生センターの火災発生では、自動的に消防局に通報されず消防車の出動に至らないという事実に、認識不足も含めて驚きました。

議会冒頭で市長は、火災の大きな反省点として「自動火災報知設備の警報を受信した場合、警備会社と市職員の複数名による現場確認を行ったうえで消防に連絡する手順としていたため、消火活動を開始するまでの時間的なロスが生じてしまったこと」を指摘し、「再発防止に向け、初期対応を改善するとともに、監視体制を含めた安全対策を見直し、二度と同様な事故が発生しないよう取り組む」としました。

私は、県内でもごみ焼却施設やパッカー車の火災が相次いでいることから、再発防止に向け、今回の火災事故から課題を洗い出し、徹底した備えを講じることが重要であるとの認識に立って、資源再生センター火災事故の教訓と万全な再発補防止策を質しました。

火災の教訓、情報開示・共有されず…市長に質す

火災の大きな反省点として、通報の遅れが生じたという事実、通報の遅れが火災の大規模化、長期化につながった要因との認識が議会に示されたのは、この議会冒頭が初めてです。5月9日の定例記者会見で記者の質問に対し、市長の認識が示された格好ですが、その前日、5月8日の政策説明会では全く報告説明がありませんでした。また、5月21日の政策説明会でも何ら報告されませんでした。会派としては環境部長等に見解を質してきた経過はありますが。

消防局への通報の遅れ、市長の言葉を借りれば「時間的ロス」が火災の大規模化・長期化につながった要因の一つとしての認識は、再発防止策を検討するうえで「肝」ともいうべき事柄、かかる情報が開示されないという事態は極めて深刻であると私は受け止めています。

こうした認識はいつ、どの段階で市行政として共有するものとなっていたのか、なぜ、5月8日の政策説明会段階で、かかる認識が報告説明されなかったのか、市長の見解を質しました。

市長…情報提供の不足で”お詫び”を表明

市長に先立ち、環境部長は「5月9日の定例記者会見で、市長から『時間的ロスがあった可能性が高い』との見解が示され、環境部として初動体制の改善策について本格的な検討を始めたもの」と釈明、「初動体制の見直しの検討状況を議会に説明してこなかったことは反省している。資源再生センターの被害状況や施設再稼働の見通しなどについては市民に適切に情報提供していくことが必要であり、今後、議会への報告説明についても工夫していく必要がある」と答弁しました。

この答弁を踏まえ市長は「議員の指摘通り、初期対応について、もっと早期に調査し、それを踏まえた再発防止策を議会に示せなかった点についてお詫びする」と陳謝しました。

市長の陳謝が目的ではありませんから、適時・的確な情報開示、情報共有にしっかり務めてもらいたいと願います。

火災事故の課題と万全な備えで5点質問

初期対応の改善や監視体制の見直し、市民の健康管理など課題を指摘し、対応を求めました。一問一答方式でポイントを掲載します。

Q1.現場確認前に119番通報できる見直しを。24時間監視通報体制は119番自動通報の仕組みとなるのか。

A.自動119番通報となる仕組みではないが、自動火災報知設備による火災信号を受信後、消防機関にすぐに通報できる初動体制に見直す。

 24時間監視体制は、自動火災報知設備による常時監視と、赤外線カメラによる温度監視設備を設置し、温度が上昇した場合に警備会社に自動送信できないか、検討中。

Q2.不燃ごみピットの構造的問題について。クレーンやケーブルの耐火仕様の変更は可能か。10メートルのピットの深さに対し、3メートルまでしか水没させられない構造の改善はできないのか。

A.メーカーに確認したが、クレーンに耐火性能を持たせることは不可能。ごみピットはピット内の汚水が流れ込む汚水槽との水位と同じとする強度で構造されていることから、水位を上げて水没させる構造への改修も困難とされる。

不燃ごみピットの内部(火災前)、市HPより

Q3.市民の健康管理について。緊急事態に対する市民の健康管理に平常時から具体的な計画を立案し備えることが重要。検討状況は。

A.市では、危機管理指針に基づき、必要に応じ担当部局でマニュアル等を作成している。保健所ではH17年3月に健康危機管理基本指針を策定し、これまでに36分野別に健康危機管理マニュアルを整備している。今後も訓練を通じ危機事象の対応を検証し平常時の備えとしていく。

Q4.ごみ分別の徹底について。改めて全市的にごみ分別徹底の出前講座を組織的に行うことが重要だが、見解は。広報ながのにおけるごみ分別特集記事の掲載、全戸配布による周知を考えては。

A.広報ながの5月号や市のホームページで改めてごみ分別の徹底を掲載し、また地区ごとに環境美化役員を対象に説明会を5月末までに開催し、徹底をお願いしてきた。今後、広報ながの10月号で、ごみ分別強調月間に合わせ記事を掲載するとともに、集積所にごみ分別を啓発する表示物の掲示などを検討する。

広報ながの5月号の掲載記事

Q5.平常時からのリスク管理ついて。火災などで施設稼働が困難な場合に備え、代替運用策を平常時から確立していくことが重要。見解は。

A.他市の緊急時の対応、民間事業者における緊急時の処理可能量などを調査し、民間事業者や他市との応援協定の締結を視野に入れ検討を進める。また、長野広域連合では、千曲市に建設中のB焼却施設と連携した対応を図る他、他の広域連合や一部事務組合などの自治体と相互連携できるよう検討を進めている。

6月13日の市長定例記者会見

6月13日の市長定例記者会見では、記者の質問に次の通り答えています。

Q11(記者)
 資源再生センターの火災の件で教えてほしい。対策として熱感知器を導入するとの話が市議会であったが、どういうものを導入するのか。また、導入する時期はいつか。
 併せて、今回初動対応に問題があったと市長も以前から発言しているが、2カ月経ってもまだ詳細な経過報告がないことについての認識を聞かせてほしい。
A11(長野市長)
 できるだけ早く、状況や今後の対策を説明したい。現状復旧を急いでいるが、(今回の)原因と初動対応について、反省を含めて報告しないといけないと改めて感じている。
現状では、熱感知器の設置の検討や、できるだけごみを積み上げないことなどを見直しすることで進めている。
Q12(記者)
 対応マニュアルについて、空振りでもいいから通報するとの話があったが、もともとマニュアルはあったのか。
A12(長野市長)
 警備会社から担当の職員に連絡して、担当の職員から消防へ通報する手順になっていた。その手順が時間的なロスを生んだことが、火災が大きくなった原因ではないかと思っている。
Q13(記者)
 明文化されていて、マニュアルとして引き継がれていくものなのか、共通認識なのか。
A13(広報広聴課長)
 詳細は、担当課に確認してほしい。
Q14(記者)
 今後は、空振りでもいいから通報するということを、明文化してきちんと引き継いでいくとのことでよいか。
A14(長野市長)
 よい。

議会としても、また市民との情報共有を図る観点からも、できるだけ早い報告説明を求めたいと思いますし、施設の早期完全復旧を願います。

公共施設の119番自動通報体制の構築について…次号で

この度の資源再生センターの火災の調査の中で、公共施設における火災発生時の119番自動通報体制は、すべての公共施設に完備していないことが判明しました。現状では、消防法の基準を満たしているのですが、今回の件から、市民の財産である公共施設を焼失させないための初期対応の見直しも提案しました。次号で報告します。

➡アップしました。

「資源再生センター火災の教訓と再発防止策を質す【6月議会の質問より➊】」の続報です。(アイコンの写真は自動火災報知システムではありません) ...

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