4月から月額2,000円の利用者負担が導入された放課後子ども総合プラン…このほどH30年度の利用登録状況が公表され、6月議会の一般質問でも取り上げられています。
子どもの放課後の居場所の有料化は、保護者の経済的負担を重くし、子どもに自宅での留守番を強いる結果をもたらしています。子ども達の健全な育成が憂慮されます。
子どもたちの放課後の過ごし方の実態を正確に把握し、見直すべきは見直す市行政の姿勢が問われています。
登録児童数は632人の減、登録率で2.7%の減
5月1日基準日の登録児童数は、19,974人の児童数に対し8,354人で登録率は41.8%、H29年度に比べ632人の減、登録率ではマイナス2.7%です。
新1年生は登録率では0.3%増えたものの実数では▲80人、特に4年生が▲182人、▲5.5%、6年生が▲146人、▲4.8%と減少度が際立っています。
利用を継続しない理由…利用料負担のためが200件・21.6%
放課後子ども総合プラン事業にH30年度は利用を継続する予定がない児童を対象に実施されたアンケート(928人が回答)では、複数回答ですが、「利用者負担のため」が200件で21.6%、「留守番ができる」484件、「一緒に過ごす家族等がいる」108件、「習い事などで過ごす」68件などが687件、74.0%という結果です。
「利用者負担のため」のみを選択した保護者は200件のうち149件で利用継続しない世帯の16.1%とされます。
利用者負担に関するアンケートでは、利用者負担が導入されれば利用しないと答えた割合は13.4%でしたが、これを上回る傾向が伺えます。
学年別では、1年生が26件・28.7%、2年生が41件・20.2%、3年生が424件・19.0%。
ほぼ毎日利用のうち16.2%が利用をやめる結果に
利用頻度別では、週3日以上の利用で「利用者負担のため」を理由とした保護者は72件。
内訳は、1年生12件、2年生22件、3年生15件、4年生14件、5年生9件。
また、この72件のうち、「利用者負担のため」のみを選択した件数は50件。
内訳は、1年生8件、2年生15件、3年生10件、4年生9件、5年生8件。
利用者負担のみを理由として利用継続しない149件のうち、週3日以上の利用者が50件という数字は、週3日以上の利用と答えた309件のうち16.2%に相当します。
つまり、ほぼ毎日利用している利用者の10人につき1人~2人は、利用者負担のために利用をやめたことになります。
利用者負担が「少なからず影響」とする甘い認識
この傾向について、こども未来部長は「とりあえず登録していた世帯が登録を控えたことが要因と考えられるが、利用者負担は少ながらず影響している」と答弁(6月議会)しましたが、「少なからず」といえる数字ではありません。
「留守番ができる」からと答えた484件、52.2%の子どもは、家で1人で留守番を余儀なくされていることになるのでないでしょうか。
子どもたちに安全で安心な居場所づくりを目的とする放課後子ども総合プランは、目的に反し、「1人で留守番」を強いることになっています。
減免の適用は2,306人
減免制度が拡大される中、8354人の登録児童の内、減免適用は2306人、27.6%です。
経済的事情によるものが686人、8.2%。遠距離の地域性によるものが105人、1.3%。多子利用が1301人、15.6%。複数の減目面があるものは214人、2.6%となっています。
就学援助認定世帯は151人とされていますが、小学生の準要保護児童数は約2,500人であることを考えると、登録児童はかなり少ないように思われます。
また、ひとり親家庭の子どもの放課後子ども総合プランの登録状況も確認が必要です。
改めて問われる、放課後の子どもの居場所の在り方、そして子育て支援の質
子ども未来部長は、「細やかな対応が必要である」とし、4月以降2回にわたり、減免制度の周知を図っているとします。
個々の世帯の状況、子どもの状況に応じたきめ細やかな周知・勧奨が十分に行われているのか、検証が必要です。
改めて、放課後の子どもの居場所の在り方が問われます。子育て世帯への支援に何が問われているのか、子どもの育ちをいかに支えるのか、抜本的に考え直す必要があります。