ライドシェア、ここが問題!…アルピコ労組で学習会

25日、アルピコ労組川中島バス支部の交通政策学習会に講師として参加し、一緒に学び合いました。
40人余りの明けや公休の組合員の皆さんに集まっていただきました。
主なテーマは、道路運送法で禁止されている「白タク行為」の合法化につながる「ライドシェア」の問題点。
長野市の「地域公共交通網形成計画」の概要と課題なども合わせて資料をつくりました。 路線バスの運行状況がわかる「バスロケーションシステム」の導入は、皆の関心事です。

こんなことを話しました

「ライドシェア」という言葉はまだなじみがないかもしれません。
直訳すれば「車の相乗り」ということになりますが、専門家は「ライドブッキング」(=車の予約)というべきと主張しています。

H27年10月に、楽天の三木谷社長が代表理事を務める新経済連盟が、シェアリングエコノミーという考えに基づき、世界に乗り遅れないために、「ライドシェアの実現」と「法的整備」を提唱したことに始まります。

※新経済連盟=「eビジネス、ITビジネスをはじめとした様々な新産業の発展を通じ、国政の健全な運営、地域社会の健全な発展に資すること」、「新産業の公正かつ自由な経済活動の確保、促進及びその活性化による国民生活の安定向上に寄与すること」を目的とする(定款第3条)経済団体。

IT時代…スマホを活用したサービスの提供による経済活動というのが大きな特徴です。

自家用車の空き座席を用いて、有償で他人を運送するサービス(いわゆる「ライドシェア」)を、新たな交通サービスの類型として法律上位置づけるべきとの主張です。

すなわち、二種免許を持たない一般ドライバーが自家用車を使い運賃を得て乗客を輸送できるように法整備を進めるべきということです。

道路運送法78条は自家用車を有償で旅客運送の用に供することを禁止(いわゆる「白タク」の禁止)していますから、現行法上は違法となるサービスです。

「民泊」の「自家用車」版となる考え方です。

もちろん、タクシー業界は挙げて反対しています。

「ライドシェア」導入の背景には、アメリカのウーバー(Uber)、リフト(Lyft)などのベンチャー企業が、独自にドライバーと利用者を結びつけるスマートフォンアプリを開発し、予約・決済を代行し手数料を得る「ライドシェア」ビジネスモデル(「有償旅客運送のあっせん業」)として確立させ、世界に広がりを見せていることがあります。ウーバーは、世界70カ国地域の450都市で事業展開されているそうです。

ウーバーらは斡旋手数料として運賃の2割程度を得て、収益を上げているとされます。

ライドシェアの問題点は、交通政策の視点からは、利用者=乗客の安全が担保されないこと、交通の公共性が壊されてしまうことにあります。

さらに、マッチング事業者は運転者と乗客の運送契約の単なる仲介者であり、旅客運送について契約上の責任を負わないことから、労働政策の視点からは、運転者と事業者との間には労働契約関係はなく、運転者は、自営業者(「独立事業者」)であり、「労働者」でないとされることから、労基法上の保護(労働時間規制など)を受けないという「雇用の破壊」を産むことにあります。

米国サンフランシスコでは、チャリオット(Chariot}という事業者による通勤バスサービスが「ライドシェア」として展開されています。路線バスも例外ではなくなっているのです。

国内では、自家用有償運送の規制緩和が進み、「公共交通空白地有償運送」としてウーバーアプリを活用した取り組みが「社会実験」として広がっています。

昨年視察した、「白タク」合法化の震源地ともなっている京都府京丹後市の取り組みも紹介しました。

「アリの一穴」とさせない取り組みが重要です。

余談ですが、実は初めて「パワーポイント」(スライド)を使った学習会に挑戦しました。
スライド枚数は何と59枚にもなってしまいましたが、飛ばすところは飛ばして、何とか終えることができました。


「いやぁ、分かりやすかった」との声に安堵です。

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