新設される市長公室の役割を質す【3月議会の質問より➐】

新年度の組織機構の見直しで、従来、企画政策部の下に置いてきた秘書課機能を、新設する「市長公室」に移管させ、部局横断的な横串機能を強化するとしています。

因みに市長公室長は「部長級」の処遇となります。
今日現在、既に人事内示が行われ、現秘書課長が公室長を務めることになります。

市長公室を置いている自治体は多いのですが、その役割・機能は千差万別です。

市行政において、部局横断で取り組むべき政策課題が増大する中、隙間を埋める政策立案の発想がより重要であり、横串で貫かれる全庁的な政策・施策、事業の検討、プロジェクト的な政策調整機能の強化が重要であると考えています。

【長野市HP】H30年度組織・機構の見直しの内容

政策決定過程のブラックボックス化、屋上屋が懸念

しかしながら、トップマネジメントが強調される「市長公室」は、加藤市長の「特命室」という性格が色濃いのではないか。穿った見方をすれば、政策調整機能を集約する「市長公室」が、政策決定プロセスの透明化に反し、ブラックボックス化してしまうのではないか、ということが懸念されます。

また、部長級とされる市長公室長と企画政策部長との役割分担、さらに特別職である副市長との役割分担を考えると、「屋上屋」の組織になることも懸念されます。

副市長2名体制の早期実現を提唱

私は、38万人を擁する中核都市であることに鑑み、副市長の2名体制の実現、女性副市長の登用を図り、総合的な企画調整を行うことを最優先すべきと考えています。

市長公室の役割、政策立案・決定過程の市民、議会に対する透明性の確保、副市長2名体制の実験に対する考えを市長に質しました。

市長…「政策形成・方針決定には変更ない」

市長は、「市長公室の役割は、重要課題について進捗管理と部局横断的な横串機能を働かせ、政策立案過程の隙間を埋めるもの」としたうえで、「政策形成・方針決定に際しては従来通り庁内会議で議論し決定する」「政策立案、方針決定の段階での情報を議員、市民に積極的に提供し、多くの声を行政サービスに反映していきたい」と答弁しました。

意思決定は従来通りだから市長公室の設置でブラックボックス化するものではないとの考えを示したものです。

市の政策決定は、政策調整会議を経た部長会議で行われていますが、政策調整会議等の形骸化を払拭できる答弁ではありませんでした。

副市長2名…必要性が生じれば検討

また、副市長2名体制の実現では、まず、今年度から副市長が1名体制になっていることについて「結果的には意思決定や政策形成の迅速化、部局間の円滑な連携が図れるなど良い面もある」とし、市長公室の設置によるトップマネジメントの強化により「当面は副市長1名体制で市政運営を図り、今後、必要性が生じれば、市長公室のあり方も含め、副市長2名体制や女性副市長の登用についても検討していきたい」と答弁しました。

「将来的な検討課題」との認識を示すにとどまった答弁です。
副市長2名体制の早期実現、市長公室がブラックボックス化させないことを強く求めました。

農業土木と森林整備の課の統合…数合わせでは?

また、農業土木課と森林整備課を統合し森林農地整備課とすることについて、農地保全と森林整備の重要な仕事の軽視につながらないかと課題を指摘し、再検討を求めました。

管理職である課長ポストを1人削減するための「数合わせ」ではないかとの疑問が拭い去れません。

農林部長は、「両課の業務のうち、土木技師が担う業務に共通部分があり、組織の一体化で効率的な業務執行が可能になる」との考えを示し、「新たに設置する森林農地整備課には、土地改良担当、林務担当、土木担当を配置し、それぞれの分野の責任を明確にするとともに、効率的で一体的な執行体制を構築する」と答弁しました。

今年度から中山間地域において土木事務所と産業振興事務所をスタートさせています。この体制の検証を含め、統合の効果を見極めていく必要があります。

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