長野県が設置する「地域の移動手段確保に関する検討会」の具体など交通政策で県に要請

13日午後、長野県交通運輸労働組合協議会で、長野県に対し、地域公共交通・生活交通の再生・活性化をめざし、総合的な交通政策の展開や交通危険個所の改善などを要請しました。
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毎年、私鉄や運輸など、公共交通や物流に関わる労働組合でつくる「協議会」として取り組んでいるもので、協力議員として参画しています。

《今年の大きなポイント》は、去る1月4日付信濃毎日新聞で大きく報道された「県が地域交通確保検討へ、17年度、主体的に関与」の具体です。

信毎は次のように報じました。

「県は2017年度、人口減少社会を踏まえ、公共交通など住民の移動手段をどう確保するか本格的な検討に乗り出す。利用者の減少で交通事業者の経営は悪化が見込まれる一方、高齢者の交通事故は多発。通院や通学、買い物など「地域の足」の確保はこれまで市町村が中心になって担ってきたが、喫緊の課題と判断し、より県の関与を強めることにした」

「具体的には17年度早々にも、県や市町村、バスやタクシーなど交通事業者、観光や福祉関係者などでつくる検討会を設置。秋ごろをめどに中間取りまとめをし、同年度末に最終取りまとめをする。事業化できるものは18年度当初予算に反映させる」

「県内は近年、15年3月の北陸新幹線(長野経由)金沢延伸開業、16年11月のリニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区着工と交通の大動脈の整備が加速した。ただ、住民の日常生活の移動手段が確保されなければ住みよい県にはならない。県がこうした課題に真正面から向き合うことは意義がある一方、効果的な対策が見いだせるかどうかが問われることになる」

要請では、新たに設置する「検討会」の具体的な目的・役割は何か、公共交通維持のため市町村事業に積極的に関わるとされているが、政策の基本的な方向性は何か、財政支援の考え方は何かを問うとともに、検討会への関係労働組合の代表参加を求めました。

県側は、「地域における移動手段の確保・保管に関する検討を市町村、交通事業者など関係者と進めるもの」とし、「生活交通(生活の足の確保)と県内観光(観光客の円滑な移動)の2つの部会を設け、検討する」と回答しました。

「生活交通」についは、日常生活を支える「持続可能な」移動手段の確保の在り方について、交通事業としての視点だけでなく、福祉、地域づくりなど複眼的な視点で検討を図りたい」、また「県内観光」については、高速交通網からの二次交通や周遊観光ルートの設定などに基づく県内観光地へのアクセスなどを検討したい」と述べました。

さらに、「持続可能で効率的な移動手段の確保・補完に向けた取り組みの具現化を図り、成果や課題を共有することも予定している」としました。

ある程度の具体が明らかになりました。期待したいところです。

しかしながら、市町村事業への財政的支援については、「財政支援を外してもいないし、支援を前提にとも考えていない」と述べるにとどまりました。
国の補助スキームの活用を前提とする財政支援の枠組を超えていないところが課題といえます。

また、路線バス、コミュニティバスなども含めた路線検索の機能を備えた「観光・交通情報サイト」の構築を進めていて、新年度から運用を開始したいとしました。
「バス・ナビゲーション・システム」の運用です。

この件については、私は市に対しスマホを活用する「バス・ロケーションシステム」の導入と合わせ、早期実現を求めてきていますが、市側は「県が中心となってシステム開発を行っている。早期実施を求めているところ」とされてきた課題です。

一歩前進です。

さらに、「県内観光」の振興の観点から、suicaなどの電子マネー機能を備えた全国10エリアの交通ICカードの片利用(例えば”くるる”などの地域独自カードへの共通接続システム)の実現に向けて具体的な一歩を実現したいものです。

要請では、しなの鉄道・北しなの線の駅ホームの段差解消も求めましたが、「豊野~北長野」駅間は、飯山線(乗降口の高さが異なるため)との整合をどのように図れるかが課題となっているとしました。

また、バリアフリー化に関し、JR川中島駅のエレベータ設置は来年度着工になること、北長野駅はH32年度までに整備する考えが示されました。(後段部分は初耳!?)

エレベータ設置は、国・県で6分の1、上限2000万円の補助となります。

長野市が年度内に策定する「地域公共交通網形成計画」の具体と合わせ、同計画が課題先送りではなく有効な計画となるようチェックしたいと考えます。

3月議会のテーマの一つです。

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